お昼前に着こうと「新そばまつり」の会場・浜松市佐久間協働センター駐車場に急ぐ。今年で21回目を迎える。急峻な山々に包囲された佐久間は広い平地がないと言ってもよい。十数年前、住処を探しにやって来て山を独り占めできるような借景がとても気に入った場所でもある。会場に到着したときは来場者が少ない感じがしていたが、お昼ごろにはぐんぐん人の波が押し寄せていた。
まず最初、行列に並んだのが会津磐梯からきた「高遠そば」だった。しかし、先に支払いをしてから並ぶのを知らないで並んでいた。前の人が教えてくれたのであわてて会計を済ますと、割りばしをくれた。割りばしの先端に赤とか黒とかの目印があって、順番が来たらそれを見せてメニュー替わりとなるシステムだった。
「高遠そば」は、大根おろしをそばつゆに混ぜて食べるシンプルなもの。「かけそば」は、焼きネギとキクラゲにネギが入っている。われわれの感覚だとかけそばには何にも入っていないのが常識なのだが、ずいぶんリッチな「かけそば」だ。手打ちそばの味はもちろん汁のコクがうまい。三杯目に食べたのは地元の「かけそば」だった。さすがに、満腹になったが気がついてみると、みたらし団子も食べていた。
物産展の長野・阿智村の店は、きのこやリンゴの詰め放題とかのアイディアをはじめ、品物の種類といい物量といい旺盛なパワーがある。それに対し、地元の物産の質量がどこも貧弱なのが残念。いわば、長野や福島の「外人」部隊と地元行政に支えられてなんとか現状を保っているような気がしてならない。「外人」の力を得ながら「地元力」を高めるしたたかさが必要だが、担い手の若い人が少ないのも致命的だ。
春野町でも同じような壁にしばしば直面する。人ごとではないのだ。「外人」の力を借りようと動くのはまだ健全だ。むしろ、それすらやらず愚痴を吐くだけで流れに流されていく現状が少なくない。これでは大都市の一人勝ちとなる。いや、これは日本全体の過疎地を襲う課題でもある。担い手のパワーを養成する場の必要性を痛感してならない。
そば3杯とみたらし団子は食べ過ぎです。
新そばって秋に出るんじゃないんですか。
新そばは確かに秋ですが、秋はイベントだらけ。この時期が寒いけどチャンス到来なんでしょう。