知って得する!トリビアの泉
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 縄文の昔、福島県いわき市小名浜の海岸線は今より8メートルほど高いところにあったといわれる。現在では小高い土地にいくつもの貝塚が残る。そこで出土しているのは、シカの角で作った釣り針やカツオの骨だ▲縄文人は丸木舟にちょっと手を加えたような粗末な舟で果敢に外洋に出て、回遊するカツオを追っていたのだ。常磐沖は昔も今も毎年初夏に黒潮に乗って北上する上りガツオ、秋には三陸沖から南下してくる戻りガツオの豊かな漁場である▲今日、イワシやサバの漁獲量の減る小名浜漁港だが、カツオは堅調な水揚げが続いている。昨年は中国向けに生食用冷凍カツオを輸出するなど、時代に応える新たな取り組みも始まった。そのカツオ漁の伝統に生きる港を襲った悲報だった▲犬吠埼沖で転覆したカツオ巻き網漁船「第58寿和丸」の事故で、救助された乗組員3人と4人の遺体が僚船で小名浜に帰港した。残る行方不明者13人は数十隻の僚船などが捜索を続けている。乗組員の大半は宮城県はじめ東北地方一円から小名浜のカツオ漁に集まった人々だった▲当時しけで操業を中断していた第58寿和丸は、大きな横波を2度立て続けに受けて転覆したという。専門家は複数の波が干渉して巨大化する「三角波」が生じたと見る。しけの海はベテラン漁師の予測も及ばない凶暴な姿を突然現したのだ▲海が人の想像を超えた猛威を見せる魔の瞬間には、最新のハイテク船も縄文の丸木舟もさして違いはないのだろう。だが人はいつの世もその海の怖さと闘いながら大洋に魚を追ってきた。今はただ行方不明者の生還を願い、亡くなられた海の男の魂の安らかなことを祈る。




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 電話口で「心がピシピシッと音を立てて氷結していくのがわかった」という。05年、06年と続けて架空請求の詐欺に遭った日向野(ひがの)利治さんだ。体験が『実録詐欺電話 私はこうしてだまされた』(すばる舎)にある▼妻に先立たれた寂しさから、ある種のサイトをのぞいたことがあった。だから、どすの利いた声に脈拍は上がり、全身から汗が噴き出したそうだ。ご本人は経済評論家。「不名誉」は人知れず片づけたいとも考えた▼先週末、振り込め詐欺の被害者救済法が施行された。裁判をしなくても、金融機関が凍結した口座からお金が戻ってくる道が開かれた。とはいえ、まずは電話への備えを巡らせたい。なにしろ、70歳に近い日向野さんにして「人生でいちばん怖くて長い時間」なのだ▼息子や孫になりすますオレオレ詐欺では、警察官や弁護士役が入れ替わり出てくる劇団型も多い。警視庁の調査では、被害者の約3割が銀行員らの警告を振り切って送金していた。それほどの演技なのだろう▼増えているのは還付金詐欺。役所を名乗る人物から税金や保険料を返すと言われれば、誰しも前のめりになる。去年の年金、今年の高齢者医療。社会不安を巧みにとらえた話術が、善人を無人ATMにいざなう▼虚栄、親心、お金、異性、健康。どこを突かれても大丈夫な人はそういない。不意の電話に「氷結」した心は、だまされやすくもなる。これだけの被害情報を前に、呼び出し音にすら身構える人が多いのではないか。なのに、毎日約1億円が冷たい穴へと消えている。





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 ススキが幽霊に見えたり、空の雲が羊の群れのように思える錯覚を、専門用語で「パレイドリア」という。よく経験するのは、模様やシミが人の顔のように見える錯覚で、むろん偶然と分かっていても気になるものだ▲70年代に火星上空から探査機バイキング1号が撮影した写真に、人の顔のような地形が写っていた。人面岩と呼ばれ、「人工物か」と話題になったが、その後の観測で不規則な形の岩塊にすぎないと分かる。パレイドリアの一例である▲火星をめぐる錯覚といえば、その地表の「運河」も有名である。19世紀のイタリアの学者が「溝」と名づけた地表の模様が英語で運河と解釈され、知的生命体による人工物と想像された。しかし、これも観測が進むと一部の自然地形を除いて、そんな地形は存在しないと分かった▲怖いと思うとススキが幽霊に見えるように、人が火星に人工的な造形の幻を見るのも地球外生命の存在を期待していたからだろう。その生命存在の可能性を探りに火星へ着陸した米NASAの探査機「フェニックス」から、地表のすぐ下の氷の存在を裏付ける画像が送られてきた▲生命存在の前提となる水だ。それが確認できたのは氷と見られる地面の白い物質が時間経過と共に消滅したからという。白い物質は氷か塩に違いないが、気化したので氷と断定できたのだ。こちらの消滅は、錯覚による幻とはかかわりなかった▲フェニックスは今後も土壌を採取し、水や有機物の存在を調査する。さて、地球の私たちは太陽系で孤独なのか、どうか。仮に探査がそれに悲観的結論を下したとしても、まだ幻を見るわずかな余地は残してほしい気もする。





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 高校3年の時、生徒会長に立候補したら男子生徒にいわれた。「バカだよ、女が会長になれると思うなんて」。大学4年の時、ハーバード大ロースクールに合格したら教授にいわれた。「これ以上女性は必要ない」▲ヒラリー・クリントンさんが自伝「リビング・ヒストリー」で書いている体験だ。女性初の米大統領は今回は実現しない。でも「バカだよ、女が大統領になれると思うなんて」とあざける米国人はもういないだろう。この国はがらりと変わった▲半年前までは本命だった。民主党予備選で50歳代以上の女性の支持は際だっていた。女性というだけで機会を奪われた理不尽さを共有するからだろう。だが、若者が夢を託したのはバラク・オバマさんだ▲きのうまで時代の先頭を走っていたのに「チェンジ」の旋風に行く手を阻まれ、気がついたら時代が彼女を通り越していた。女性だから、ではない。世代間闘争となったから、負けたのではないか▲事実とそれを解釈する観念を区別し、人々が受け入れる理解しやすい観念を「通念」と呼んだのは経済学者のガルブレイスだ。「通念が致命的な打撃を受けるのは、陳腐化した通念を明瞭(めいりょう)に適用できないような不慮の事件が起こって、通念では処理しえないことがはっきりしたときである」(「ゆたかな社会」岩波現代文庫)▲「大統領は白人の男しかなれない」が建国以来の通念だった。今年、この通念は致命的な打撃を受けた。同時に「無敵のヒラリー」という今までの常識も崩れた。「どうせ変わりっこない」とだれもが惰性で思いこむ通念は日本にもある。通念を次々に破る大胆な転換に米国の再生力をみる。




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 外国の観光地では〈日本語メニューあります〉の掲示が珍しくない。すし屋の直訳か、パリにはスシハウスを名乗る店があった。カタカナの看板は「ヌシハウス」「スンハウス」と微妙に間違えていた。日本人客を呼ぼうと、店主が無理をしたのだろう▼団体、個人を問わず、日本人旅行者はどの国でもだいたい歓迎される。米国の大手オンライン旅行予約会社、エクスペディアの調査「ベスト・ツーリスト2008」でも、日本人が「最良の旅人」に選ばれたという▼同社は今春、欧米などのホテルに質問メールを送り、旅行者のマナーや気前の良さなど10項目について、それぞれ最良と最悪の国を尋ねた。約4千軒の回答を集計した結果、日本人の評判は2位の英国とドイツを引き離した▼わが同胞は行儀、静かさ、苦情の少なさなどの項目で点を稼いだ。米国人は金ばなれの良さで首位ながら、騒がしさや服装の評価が集計対象31カ国のビリ。総合の「ワースト」は中国、インド、フランスの順だった。「かき捨て」たはずの恥まで、まんまと拾われたか▼ただ、ホテルの評判がいいとは、要するに扱いやすいということらしい。きちんと現れ、きれいに泊まり、黙して去る。お金だけ落としていく風。加えて、日本語メニューの誤りを正してくれる優しさを持ち合わす▼旅に出てまで気を使い、評判だけいいのは悔しくもある。それで割引があるわけじゃなし、苦情や不満はしまい込まず、サービスのプロ集団にひと仕事させるくらいがいい。わがままな上客というのもある。



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