健康食品辞典

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冬虫夏草

2014年02月07日 | 健康
○冬虫夏草(とうちゅうかそう)

 中国の四川・貴州・雲南省、チベット自治区などに産する蛾の幼虫に生えたキノコの一種を用いる。バッカクキン科のフユムシナツクサタケ(Cordyceps sinensis)と呼ばれる菌類で、とくにコウモリガ科の昆虫の幼虫に寄生する。

 幼虫(栄養体)の体内に入った菌は菌糸をのばして生長し、やがて体内を完全に占領し、さらに細い柄(子実体)を出してキノコが発生する。幼虫の長さは3~8cm、子実体は4~10cmの棍棒状で頭部がやや膨らんでいる。市販されている薬材は全長が10cm前後、黄褐色である。

 冬には虫の姿をし、夏に変じて草になると信じられていたため冬虫夏草の名があり、古来、ウドンゲとともに吉祥の印として知られていた。夏至の頃に雪が残っている山に入って、雪の表面から露出している子実体を見つけて掘り出す。かつて冬虫夏草という名はこの中国産のみの名称であったが、現在では一般に昆虫寄生菌に対する総称となっている。日本でも同様の昆虫寄生菌が発見されることもあり、またセミの幼虫に寄生したセミタケを特に金蝉花という。

 近年、中国では冬虫夏草の代替品として北虫草が人工栽培されている。北虫草はイコガの幼虫に冬虫夏草菌の一種C.militarisを寄生させたもので、冬虫夏草と比べ、亜鉛、セレン、ビタミンの量が多いことが認められている。

 冬虫夏草の成分には各種アミノ酸、ビタミンB12、ミネラルのほか、コルディセピン(虫草酸)、ジオクシアデノシン(虫草素)、ポリサッカライド(虫草多糖)、マンニトール(甘醇露)、エルゴステロールパーオキサイドなどが含まれ、抗菌作用、気管支拡張作用、血糖降下作用、降圧作用、免疫賦活作用、抗腫瘍作用などが報告されている。

 漢方では肺腎を補い、去痰・止咳の効能があり、肺結核などによる慢性の咳嗽、喀血、自汗、盗汗、インポテンツ、病後の体力低下などに用いる。虚弱体質の改善に人参、鹿茸などと配合する(双科参茸丸)。

 冬虫夏草は古くから不老不死、滋養強壮の妙薬といわれ、薬酒(冬虫夏草酒)や薬膳料理などにも珍重されている。1993年の世界陸上選手大会で活躍した中国の女子陸上チームが「冬虫夏草入りドリンク」を愛飲していたと大きく報じられ、ブームとなったためそれ以後価格が大きく上昇した。