健康食品辞典

サプリメント・健康食品・食材・食品・飲料などに利用されている素材・成分を中心に掲載しました。

フランス海岸松

2011年12月30日 | 健康
○フランス海岸松

 フランス海岸松は南仏の大西洋沿岸のみに生息する海洋性の松である。この樹皮から得られる抽出物には40種類を超えるフラボノイドが含まれており、半世紀以上も前からヨーロッパを中心に抗酸化物質として活用されてきた。現在は一般にピクノジェノールフラバンジェノール(いずれも商標)という名称で世界的に知られている。

 樹皮が生薬となる例は多々あるが、これは16世紀のフランスの探検家J・カルチェの率いる探検隊がカナダを探索中に壊血病にかかった時、現地の先住民に松の樹液を飲むことを教えられて助かったという記録が発見のきっかけとなった。1940年代にケベック大学(カナダ)の客員教授をしていたJ・マスケリエがこの記録を知り、帰仏後も樹皮成分(フラボノイド)の研究を続ける中で、生理活性の高いこのフランス海岸松エキス(以下、海岸松エキス)に辿り着いたのである。以後、フランス厚生相が血管の保護効果がある医薬品として認可すると共に、90年代に入ってからはアメリカでも研究が進み、サプリメント市場に登録するや爆発的な評判を得た。

 海岸松エキスには数多くのフラボノイドが含まれているが、なかでも注目度が高いのはプロアントシアニジンで、通常のフラボノイドに比べて水への溶解性が高いため、抗酸化物質として即効的に働くという特徴がある。また、多数の有機酸からなる機能成分が連携して高いSOD活性を示すことが明らかにされている。このことから、海岸松エキスは毛細血管を保護し、動脈硬化・心筋梗塞・脳梗塞・静脈瘤などを予防する効果のあることが明らかにされ、多くの研究者によって報告されている。

 海岸松エキスにはこのほか、月経困難症・生理痛・子宮内膜症・冷え性・更年期障害など、女性特有の疾患を劇的に改善する効果のあることが日本の医師や研究者によって明らかにされている。1998年に金沢市で開催された日本補完・代替医療学会の第1回学術集会で、医師の小濱隆文(恵寿総合病院)、神奈川大学医学部の鈴木信孝らによって海岸松エキス(ピクノジェノール)による886例の臨床予備治験の結果が報告され医療関係者の注目を集めた。小濱はその翌年も発表を行い、子宮内膜症患者に対してピクノジェノールの投与により重度の月経痛と骨盤痛が軽減したこと、また子宮内膜症以外の原因による月経痛・骨盤痛も軽減されたことを報告している。また、藤野武彦(九州大学)らはサントリー健康科学研究所との共同研究により、フラバンジェノールに血液の流れをよくする作用のあることを確認し、学会発表を行っている(第44回日本人間ドック学会)。

たらの葉茶

2011年12月29日 | 健康
○たらの葉茶

 日本各地に自生するウコギ科の落葉低木タラの木(楤木)は、春先にそのほろ苦い若芽がタラの芽として天ぷらや和え物に用いられるのでよく知られているが、日本では古くから樹皮、根皮を糖尿病腎臓病・胃腸病の民間薬として用い、中国でも根皮を強壮・神経衰弱に、韓国では咳止め・糖尿日・ガンなどに用いてきた歴史がある。

 タラの木の葉を茶材に用いることに着目したのは長村洋一(藤田保健衛生大学)らの研究グループである。長村らは、種子島ではタラの木の樹皮を糖尿病の特効薬のごとく見なして繁用しているという事実を知り、糖尿病ラットに抽出エキスを飲ませて血糖値効果を確認、その葉を採取して洗浄・乾燥した得た茶材(タラの葉茶)にも同じ効果があることを知り、さらに実験を重ねて、その抽出エキスに肝細胞へのグルコースの取り込みを促進するインスリンと同様の作用のあることを見出した。また、この作用の原因物質を調べて斉藤節生(城西大学薬学部)は11種類の新しいトリテルペン系のサポニン(タラの芽のほろ苦さの原因物質もサポニン)を分析し、その化学構造のいくつかが肝臓病の薬とされるグリチルリチンによく似ていることを発見しており、長村の四塩化炭素で肝障害を起こさせたラットによってGOTの抑制率を調べ、タラの葉サポニンがグリチルリチンと比較しても遜色のない治療効果を見せることを確認している。さらに、薬物性の肝炎だけでなく、ウイルス性肝炎にも有効であることが明らかにされた。ウイルス性肝炎が進行するときには、本来ウイルスを攻撃すべき免疫力(抗体)が逆に感染者自身の肝細胞を破壊するという厄介な障害が起こる場合があるが、タラの葉サポニンはその自滅的な破壊作用を抑制することを突き止めている。

シジュウム茶

2011年12月28日 | 健康
○シジュウム茶

 シジュウム(psidium)はフトモモ科の落葉小高木で、南米(部汁、ペルー、コスタリカなど)が原産。古くからインカ帝国のインディオによって栽培され、甘酸っぱい果実は食用のほか皮膚病の薬にも使われていた。その葉を干して粉末にしたシジュウム茶は、見かけは黄色みの強い粉茶に似ており、少々抵抗感のある薬臭さが気になるが、飲んでみると苦味も後味の悪さもない。

 シジュウムの葉にはミネラル(鉄、カルシウム、リン、マグネシウムなど)やビタミンC、タンニンが含有されているが、抽出エキスにはアレルギー性症状を引き起こす原因となるヒスタミン遊離を非常に強く抑制する作用があるため、花粉症に効果的であるほか、入浴剤として使用するとアトピー性皮膚炎、湿疹、老人性皮膚掻痒症などによるかゆみを抑える作用がある。北中進(日大薬学部)が行ったラットへのエキス投与実験ではこの作用を立証するデータが得られたという。また、馬場俊一(日大駿河台病院)はあらゆるタイプのアレルギーに有効があると発表している。

 シジュウム属には50~70種の植物が数えられ、グァバ茶として知られるグァバもその一種で、その性状や成分には非常に似通ったものがあることは興味深い。

水溶性ビタミン(4)

2011年12月27日 | 健康
ビオチン

 ネズミの成長因子として卵黄から発見された物質で、ビタミンB複合体、ビタミンH、補酵素Rとも呼ばれる。細胞の成長やDNA合成、血糖値の維持に作用し、毛髪や皮膚の健康維持、貧血予防に有効とされる。食品ではレバー、イワシなどの魚介類、ピーナツ、クルミなどに多い。「食事摂取基準05年版」では、ビオチンの目安量は1日あたり成人男女とも45ug(妊婦は+2ug、授乳婦は+4ug)としている。また保健機能食品制度では、ビオチンを1日摂取量あたり14~500ug含む食品にはビオチンの機能を表示することができる。

ビタミンC

 抗壊血病の因子として発見されたビタミン。物質名はアスコルビン酸。ストレスや疲労、風邪、喫煙の害、高コレステロールなどさまざまな場面でビタミンCを補給することによって症状が軽くなったり、予防する働きを持つことがわかっている。また、発ガン物質であるニトロソアミンの生成を阻止する働きがある。ビタミンCはアルカリ性の環境や加熱によって分解されやすく、また空気や酸化酵素によって酸化され、効果が低下する。食品では新鮮な野菜、果物、緑茶、イモ類に多く含まれ、動物性食品や穀物には少ない。「食事摂取基準05年版」では、ビタミンCの推奨量は1日あたり成人男女とも100mg(妊婦は+10mg、授乳婦は+50mg)としている。また保健機能食品制度では、ビタミンCを1日摂取量あたり24~1000mg含む食品にはビタミンCの機能を表示することができる。また、健康食品については(財)日本健康栄養食品協会による「ビタミンC含有食品規格基準」(1986年8月公示、93年7月一部改正)がある。

水溶性ビタミン(3)

2011年12月26日 | 健康
※ナイアシン

 抗ペラグラ因子として発見された水溶性ビタミン。物質名はニコチン酸。酸化還元補酵素の構成成分として重要。糖質や脂質の代謝に作用し、血行改善、脳神経の働きを高める効果がある。体内ではアミノ酸のトリプトファンから合成されるが、トリプトファンの含有が少ないトウモロコシを常食としている中南米では、欠乏症としてペラグラ(顔や手足の発赤や浮腫、皮膚炎、下痢などを伴う全身性疾患)が見られる。食品では魚肉、レバー、酵母、小麦胚芽、米糠、緑黄色野菜、豆類、穀物に比較的多く含まれている。「食品摂取基準05年版」では、ナイアシンの推奨量は男性は18~49歳で15mgNE(ナイアシン当量)、50~69歳で14mgNE、女性は18~49歳で12mgNE、50~69歳で11mgNE、上限量は男女とも100mg(ニコチン酸として)としている。また保健機能食品制度では、ナイアシンを1日摂取量あたり3.3~60mg含む食品にはナイアシンの機能を表示することができる。

※パントテン酸

 鶏のペラグラ治療因子として発見されたビタミンB2複合体。エネルギーの産生に関わる補酵素A(CoA)の主要成分。多くの食品に広く含まれているので欠乏症(皮膚炎、手足の痺れ、灼熱足症候群、知覚障害など)は少ないが、妊産婦や授乳婦は多く摂る必要がある。食品では酵母、レバー、牛乳、魚肉、大豆(納豆)などに多く含まれている。「食品摂取基準05年版」では、パントテン酸の目安量は1日あたり成人男性6mg、女性で5mg(妊婦は+1mg、授乳婦は+4mg)としている。また保健機能食品制度では、パントテン酸を1日摂取量あたり1.65~30mg含む食品にはパントテン酸の機能を表示することができる。

水溶性ビタミン(2)

2011年12月23日 | 健康
※ビタミンB6

 ネズミの皮膚炎症を改善する因子として発見された水溶性ビタミンで、ピリドキシン、ピリドキソール、ピリドキサミンなど同様の作用を持つ化合物の総称。アミノ酸の代謝に関与する補酵素として働く。また、近年は抗アレルギー作用など免疫機能の正常化に役立つことが指摘されている。通常の食生活では欠乏する例は少ないが、不足すると皮膚炎、多発性神経炎、動脈硬化性血管障害、貧血、口内炎、舌炎、食欲不振などの原因になる。ビタミンB6はどの食品にも比較的多く含まれているが、特にマグロやサンマなどの魚類、肉類、レバー、鶏卵に多い。「食品摂取基準05年版」では、ビタミンB6の推奨料は成人男性で1.4mg、成人女性で1.2mg、上限量は男女共に60mgとしている。また保健機能食品制度では、ビタミンB6を1日摂取量あたり0.3~10mg含む食品にはビタミンB6の機能を表示することができる。

ビタミンB12

 抗悪性貧血因子として発見された水溶性ビタミン。物質名はシアノコバラミン。タンパク質や核酸の体内合成に欠かせないビタミン。細胞のエネルギー獲得にも有効である。葉酸と共に造血に関わるため赤いビタミンとも呼ばれ、肝機能強化にも有効である。欠乏すると貧血になり、息切れ、めまいのほか、神経系に作用して各種神経炎、神経痛、うつ状態、記憶力の減退などの原因ともなる。含有量が多い食品は魚肉、牡蠣、あさり、帆立貝などの貝類、レバー、牛肉、卵、牛乳などだが、よほど偏食しない限り日常の食生活で不足することはない。「食品摂取基準05年版」では、ビタミンB12の推奨量は1日あたり成人男女とも2.4ugとしている。また保健機能食品制度では、ビタミンB12を0.6~60ug含む食品にはビタミンB12の機能を表示することができる。

水溶性ビタミン(1)

2011年12月22日 | 健康
※ビタミンB1

 抗脚気因子として発見された水溶性ビタミン。物質名はチアミン。1910年、農芸化学者の鈴木梅太郎が米糠より単離に成功し、オリザニンと名づけた。糖質代謝に関与する補酵素として働き、成長促進、心臓の機能の安定、中枢神経や末梢神経の正常化、消化液の分泌、食欲増進などに影響する。B1を多く含む食品は酵母や米糠であるが、通常の食品として豚肉、うなぎ、カツオ、鶏レバー、大豆、落花生、ニンニクなどに含有量が多い。「食事摂取基準05年版」では、ビタミンB1の推奨量は1日当たり男性は18~49歳で1.4mg、50~69歳で1.3mg、女性は18~49歳で1.1mg、50~69歳で1mgとしている。また保険機能食品制度では、ビタミンB1を1日摂取量あたり0.3~25mg含む食品にはビタミンB1の機能を表示することができる。

※ビタミンB2

 動物の成長因子として発見された水溶性ビタミン。物質名はリボフラビン。細胞の再生などに関与するフラビン酵素の働きを助け、特に脂質の代謝を促し、発育や粘膜保護に役立つ。体内で過酸化脂質の生成を防止する作用もある。B2が不足すると脂質をエネルギーに利用しにくくなって発育不良をきたすほか、咽頭桶口内炎を経て口角炎、舌炎、角膜炎、肛門や陰部の皮膚炎、脂蝋性皮膚炎、白内障などに冒されやすくなる。B2を多く含む食品は酵母、八つ目ウナギ、レバー(豚・牛・鶏)、ウナギ、サバ、サンマ、牛乳、納豆アーモンドなど。「食事摂取基準05年版」では、ビタミンB2の推奨量は1日あたり男性は18~49歳で1.6mき、50~69歳で1.4mg、女性は18~69歳で1.2mgとしている。また保険機能食品制度では、ビタミンB2を1日摂取量あたり0.33~12mg含む食品にはビタミンB2の機能を表示することができる。

その他の肉類

2011年12月21日 | 健康
鹿肉

 フランスではジビエ(野禽獣)料理の代表的素材の一つ。日本ではもみじ肉とも呼ばれ、古くから食されてきたが、今日では一般家庭で食べる機会は少ない。現在、食用として出回っているのはニュージーランドなどから輸入された飼育鹿か、エゾシカなど冬季の解禁時に狩猟した野生鹿である。

 栄養的には高タンパク・低脂肪でエネルギーは110kcal(生肉100gあたり)と低め。他の食肉に比べて鉄や銅などのミネラルを多く含んでいるのが特徴である。肉色は赤く、あっさりとした味である。鍋物や煮込み、ローストにする。

兎肉

 家畜化されたイエウサギと野性のノウサギがいるが、食肉用として市販されているのはイエウサギの肉である。鶏肉に似た肉質でやわらかく、脂肪は約6%と少ない。ビタミンB12の含有量が生肉100g中5.6ugと、他の肉類に比べ2~5倍程度含まれるのが特徴である。

 兎肉はパテやテリーヌ、パエリア、煮込み料理、焼き物など、西洋料理ではよく使われる食材である。日本でも昔は貴重なタンパク源として食べられており、現在では地方によってウサギ汁や煮付け、味噌煮、たたき、鍋などの伝統料理がある。最近ではまた、アレルギー対策食品として注目されている。

※鴨肉

 鴨肉は鳥肉類の中でもっとも美味といわれている。食用として流通しているのはマガモ、アヒル、アイガモの3種類である。マガモは全長60cmほどで、雄は頭部が光沢のある暗緑色、首に白い輪があり、”あおくび”ともいわれる。雌は全体が地味な褐色である。日本には9月から11月にかけて渡来してくる冬鳥で、猟鳥に指定されている。

 アヒルは野生のマガモを改良した家禽で、チェリーバレー種、バルバリー種、北京種などがある。アイガモ(合鴨)は野生のマガモとアヒルの交配種である。鴨料理では多くの場合、アイガモが使われている。

 鴨肉は鶏肉に比べてビタミンB1・B2が多く含まれている。B1は鶏肉(若鶏胸肉)が0.07mgに対してアイガモは0.24mg、B2は鶏肉0.09mgに対してアイガモ0.35mg(いずれも生肉100g中)である。また、鴨肉の脂肪は牛肉や豚肉に比べて不飽和脂肪酸の割合が高い。東洋医学では微熱を治め、むくみを解消するとしている。

七面鳥

 英名はターキー(turkey)。わが国では日常的に食べられることはほとんどないが、欧米では、詰め物をしてローストした七面鳥はクリスマスや感謝祭に欠かせない料理である。重さが約5kgと大型の鳥で、雌より雄の方が美味しいとされている。鳥肉類の中では最も脂質が少なく(生肉100g中0.7g)、味は淡白である。食物アレルギーを起こしにくい食材とされている。

色々な魚介類(3)

2011年12月20日 | 健康
※しらうお(白魚)

 シラウオ科の小型魚で日本全国の内湾に棲み、1年で全長約10cmの成魚となり、3~5月頃、川を遡って産卵する。肉質のあぶらぴれがあり、頭に”葵の紋様があるとして江戸時代には特別に管理されたという。脂肪が少ないので(生100g中2g)、吸い物、寿司ネタ寿司ネタ、酢の物、茶碗蒸し、卵とじ、唐揚げ、天ぷら、素干しなどに調理される。クセがなく美味で、いずれにしても丸ごと食べるのでカルシウム(同150mg)の補給によい。

 名前の似ているシロウオ(素魚)はハゼ科の魚で、シラウオとは別種。シロウオは全長約5cm、体は半透明で鱗・側線はなく、本州から九州の海岸近くに棲み、春先に川に遡って産卵する。生きている時は半透明で美味だが、死ぬと真っ白に変色して味が落ちる。生きたまま食べる”踊り食い”は福岡市室見川の名物料理になっている。

※あゆ(鮎)

 日本全国の清流に生息する淡水魚。稚魚は川を下って海で冬を越し、春に再び川に遡って成魚(全長20~30cm)となり、秋に産卵する。川底の石についている藍藻類を食べて成長するため、6月頃のものはアユ特有の香気が強くなり美味である。そのため香魚とも呼ばれる。天然のものは年々少なくなり、近年は養殖アユが多く出回っている。

 アユはビタミンAを多く含んでおり、特に養殖アユの内臓に多い。焼いた養殖アユ100g中、身には480ug(天然は120ug)、内臓には6000ug(同2000ug)含まれている。また、魚には珍しく少量ながらビタミンCを含んでおり、こちらは天然アユに多い(焼き100g中、身に2mg、内臓に5mg)。このほか天然・養殖共にカルシウム、鉄、ビタミンE・B12・Dが比較的多く含まれている。

 アユは内臓も一緒に食べられるので、季節感あふれる香りを楽しみながらビタミン・ミネラルの補給ができる初夏の魚である。なお、内蔵や卵巣を塩辛にしたものは「うるか」と呼ばれ、酒の肴として珍重されている。

※たこ(蛸)

 食用とされるマダコ、テナガタコ、イイダコ、ミズダコなどが代表種である。いずれも水分が80%を超えるが、タンパク質は意外に多く、マダコで16.4g、イイダコで14.6g(いずれも生100g中)を含む。脂質、糖質はほとんどない。かつてタコやイカはコレステロールが多い食品として敬遠される嫌いがあったが、タウリンという含有流アミノ酸に脚光が当たったことで、タコもまた健康食材として出番を迎えることとなった。この、”準必須アミノ酸”ともいわれるタウリンには血中コレステロールを減少させる作用があるため、動脈硬化や心筋梗塞の予防につながる。

※おきあみ(沖醤蝦)

 オキアミ科の甲殻類の総称で、大型プランクトンの一種。海生で主として南氷洋に生息し、ヒゲクジラ類の餌となるほか、養殖魚の餌(年間1万数千トンが充てられる)にされてきたオキアミであるが、近年は健康素材として見直されてきている。食用にされるのは全長3mのナンキョクオキアミで、カルシウム360mg、銅が2.3mg、鉄が0.8mg(いずれも生100g中)と多く、リンやカリウムなどにも富む。加えてエビ類には見られないビタミンA(レチノール)が180ugと優れており、ビタミンB1・B2・C、ナイアシンを含むことでも見逃せないものがある。このほか血圧を下げるのに有効なペプチド類も含むので、動脈硬化や心筋梗塞などの予防にもつながる。オキアミは佃煮や塩辛にされるが、乾燥させた干しアミは大根おろしと和え物にしたり、野菜と共にかき揚げにするとかなりの量を摂ることができる。

色々な魚介類(2)

2011年12月19日 | 健康
※てんぐさ(天草)

 テングサは紅藻類のテングサ科の総称で、マクサ、オニクサ、オオブサ、キヌクサ、ヒラクサなど多くの種類があるが、一般にはマクサのことをいう。インド洋や大西洋など広く世界に分布している。わが国では黒潮が流れる海域に育ち、春から秋に掛けて採取し、若いものはそのままサラダにして食べられるが、大半は寒天やところてんの原料になる。心太は、テングサの粘質物を煮溶かして冷却して固めたもので、1000年前には既につくられていたとされる。夏の味覚として親しまれ、細く天突きしたものを醤油、酢、辛子などで食べる。

※かます(魳)

 カマス科の海産魚で全長50~60cmにもなるが、市場に出ているのは20cmくらいのものが多い。アオカマスとアカカマスがあり、いずれも本州の中部以南に分布する。アオカマスは水っぽいので”水カマス”ともいわれ、干物として多く出回っている。アカカマスは塩焼きに適しており、秋から冬にかけてが旬である。アカカマスといっても皮が赤いわけではなく、多少赤みを帯びた白身魚である。味は淡白ではあるが美味で、乳幼児や病人、高齢者などに喜ばれる食材である。白身魚にしてはカルシウムが多い。骨は硬いが取りやすいので、身をほぐして病人食や離乳食などにも適している。

※たちうお(太刀魚)

 タチウオ科の海産魚で、銀白色で刀の太刀のように見えるのでこの名がある。また”立ち魚”に通じ、早朝や夕方、海上に浮いて頭を上にして立ち泳ぎすることでも知られている。全長約1.5m、体は平たくて細長く、背びれが尾部まで続き、鱗がない。本州中部以南の暖海に分布し、夏に浅海で産卵する。体表の銀粉は模造真珠の材料に利用されている。

 タチウオは白身でほどよい脂があり、関西地方で好まれるが、近年は関東でも切り身で出回っている。脂質が多い(生100g中20.9g)割りにさっぱりしているので、子供から高齢者まで調理の仕方で摂りやすい食材といえよう。シーズンは夏から秋であるが、塩焼き、味噌漬け、立田揚げのほか、ムニエルにしてレモンを添えると洋風の一品になる。ビタミンB1・B2・D、亜鉛や銅などのミネラルもほどよく含むので活力を補うのに役立ち、口内炎・味覚障害・前立腺肥大・骨粗しょう症にも効果がある。