健康食品辞典

サプリメント・健康食品・食材・食品・飲料などに利用されている素材・成分を中心に掲載しました。

減塩食品

2011年10月31日 | 健康
○減塩食品

 わが国で食塩の過剰摂取による弊害が叫ばれるようになったのは、食塩摂取量が他の地域に比べて多いとされる東北地方で脳卒中による死亡率が高いという疫学的調査結果が発表されてからである。これが契機となり1979年には厚生省(当時)の栄養審議会が、72年に決めた1日の塩分所要量15gを10gに下げるべきであるという答申を行い、これを目標値として全国的に減塩意識が高まった。

 現在使われている「日本人の食事摂取基準・2005年度版」で男性成人の目標値は10g未満で従来通りだが、女性は8g未満に改訂されている。平成15(2003)年の国民栄養調査によると、1日あたりの食塩摂取量は20歳以上の男性が11.7~13.5g、女性は9.8~12.0g、全体平均で11.2gである。

 日本人は世界的に見て食塩摂取量が多い民族とされている(欧米諸国の目安量は6g程度)。それは日本料理に欠かせない醤油や味噌などの調味料に塩が多く使われているからである。そのため、減塩食品の多くは醤油と味噌が中心である。

 減塩醤油は厚生労働省の特別用途食品制度で「低ナトリウム食品」に位置づけられており、100gあたり食塩含有量は9g以下とされている。これは一般的な醤油の約半分の量である。これとは別に、塩分濃度を通常醤油の8割程度にした「うす塩醤油」「あさ塩醤油」と呼ばれるものもある。また醤油には濃口と薄口があるが、薄口醤油は色や香りが薄いだけで塩分は濃口よりも多いので注意したい。

 味噌も、ナトリウムの含有量が通常味噌の50%以下のものが減塩味噌として特別用途食品になっている。このほか、塩化ナトリウム含有量を少なくした減塩塩もある。フィンランド製のパンソルトは塩化ナトリウムが57.6%、アメリカ製の岩塩ライトソルトは塩分49.5%の塩である。これらは塩化カリウムや塩化マグネシウムなど他のミネラル成分の配合を増やすことによって、相対的に塩化ナトリウムの割合を減らした製品である。

 減塩食品は確かに塩分は少ないが、塩味が薄いからといって多く使えば絶対量は減らず、元の本阿弥になってしまう。減塩食品による減塩効果を上げるためには調理法を工夫したり、個人の嗜好を変える努力が必要である。

自然塩

2011年10月29日 | 健康
○自然塩

 が生命の維持に欠かせない最重要物質の一つであることは言を俟たないものの、海に囲まれた日本では”たかが塩”と考えられがちであったが、生成された塩が主流を占めて近年、自然塩に含まれていたミネラル類を含む各種微量成分の働きの重要性が改めて見直されてきている。

 塩は、古くは天日干しの塩田方式や弱い火力によってゆっくり煮詰める方法で生産され、その頃は海水中の成分を全て含んだ塩が供給されていたのであるが、日本では1971年(昭和46年)に塩業近代化がスタートして以来、従来の塩田は全廃されて工業的生産に切り替えられ、やがてイオン交換式が主流を占めるようになった。この方式によって得られる塩を自然塩に対して化学塩とも呼ぶが、これによってほぼ純粋に近い精製塩となった反面、ミネラル類などの微量成分は失われることとなった。栄養素やカロリー偏重の近代栄養学の弱点が見直される中で、食塩の微量成分にも照明が与えられたのは比較的最近のことである。

 純粋なものが最善でないことは玄米と白米の比較でよく知られるようになってきている。白砂糖が虫歯をつくりやすくしたり、骨をもろくしたり、血液の抗菌性を弱めたりすることもわかってきている。こうしたことへの反省から、近年はタワー式天然性塩法などが開発されて自然塩に近いものを供給する努力が払われたり、食塩に天然にがりを加えた”ミネラル強化”型の加工塩も作られてきた。

 自然塩の世界が一気に広がったのは、明治以来90年以上にわたって続いてきた塩の専売制度が廃止された1997年以降である。同年4月に施行された塩事業法により、それまで日本たばこ産業(JT)が独占的に行っていた塩の製造・輸入・卸売が一般企業にも解放され(登録・届出制)、自由に塩を製造・販売することが可能になったのである。塩事業法では、自由性の専売塩(精製塩など)を生活用塩と呼び、自然塩などそれ以外のものは特殊製法塩として「平釜式、蒸気利用式、温泉熱利用式、その他真空式以外の特殊な製造方法で作られたものや、ニガリやゴマなど食品が混ぜられたもの」と定義されている。

 現在、自然塩の多くは天日塩と呼ばれるもので、海水の濃縮をある程度まで天日(太陽と風)で行った後、火を使って釜焚きして結晶させたものである。また、火を使わずに最終仕上げまでを天日のみで行う「完全天日塩」もある。濃縮した海水の約90%は塩化ナトリウムだが、それ以外にもニガリと呼ばれる塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、カルシウム、カリウム、鉄、亜鉛などが含まれている。自然塩は天日による濃縮を行うことによって、これらの微量ミネラル群が損なわれないように工夫した塩であるといえよう。

2011年10月28日 | 健康
○塩

 調味料の中で最も基本的なものであり、ヒトの体内では浸透圧調節などの生理作用を担う重要な物質である。世界の塩生産の2/3は岩塩であるが、日本ではもっぱら海水から製塩されている。

 現在、わが国で一般的に使われている塩は食塩、精製塩、並塩である。食塩は海水中の塩化ナトリウム(NaCl)をイオン交換樹脂膜電気透析法という工業的な方法で集めて濃い塩水を作り、これを真空釜で煮詰めて結晶にしたものである。精製塩は食塩よりさらに精製度を高めた塩で、さらさらして固まりにくい。並塩は業務用に使われる塩の標準品で、粗塩とも呼ばれている。塩の主成分は塩化ナトリウムで、食塩、精製塩共に99.1%を占める(並塩は96.5%)。食塩には微量であるがカリウム100mg(精製塩では2mg)、カルシウム22mg(同0mg)が含まれている(いずれも100g中)。

 わが国では明治以降、塩専売法に基づき塩の製造は国の管理下に置かれ、近年では日本専売公社(現・日本たばこ産業)が独占的に行ってきたが、1997年(平成9年)4月に同法が廃止され、新たに塩事業法が施行されて塩の製造や輸入の規制緩和が行われた。これにより、民間企業が昔ながらの塩田方式による製塩事業なども行えるようになり、工業的につくられる専売塩とは別に、自然塩と呼ばれる塩も数多く登場するようになっている。

色々な食用油(2)

2011年10月27日 | 健康
○サフラワー油

 キク科の一年草サフラワー(紅花)の種子から採取した食用油。紅花油ともいう。味にクセがなく、さっぱりしており、主にサラダ油として使われている。脂肪酸組成はリノール酸が75%以上を占め、植物油の中で最も多い含有量を示す。

 リノール酸は体内コレステロールを排出し、動脈硬化や高血圧の予防・改善に有効であることから、サフラワー油は一時”健康油”として大きなブームとなった。しかし最近では、リノール酸は酸化されやすく体内で過酸化脂質をつくりガンの原因となったり、リノール酸から合成されるアラキドン酸によってアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患や免疫力の低下を引き起こすことが指摘されるようにもなっている。つまり、過剰摂取による弊害である。そのため、リノール酸の含有量を少なくし、オレイン酸を多く含むように品種改良したオレイックサフラワー油もつくられている。

※ひまわり油

 日本ではなじみが薄いが世界的にはかなり多く使われており、ロシアで植物油といえばひまわり油が第1位である。ロシアではもっぱら種子から食用油を採るためにひまわりを栽培している。ひまわり油はリノール酸の豊富さ(含有率約60%)ではサフラワー油と並び、加えてビタミンEも豊富なために、動脈硬化や高血圧の予防に役立てる食品開発も試みられ、ひまわり油マーガリンやひまわり油サラダオイルも商品化されたが、リノール酸の過剰摂取は逆に動脈硬化やアレルギーの発症を促進するとの報告が多くあるため、摂取量の見直しもなされている。なお、ヒマワリの種子を処理して得られるミルク状の栄養食品はヒマワリ乳と呼ばれ、牛乳、豆乳に次ぐ、”第3の健康乳”として期待されている。

色々な食用油(1)

2011年10月26日 | 健康
※大豆油

 わが国ではナタネ油と並んで最も多く使われている食用油で、サラダ油やてんぷら油のほかマーガリンの原料にもなる。脂肪酸組成はリノール酸の含有比率が53.3%と高く、オレイン酸(23.5%)やリノレン酸(6.6%)の含有率も高い。

 フィンランドでは食事と動脈硬化の関係について興味深い実験を行っている。対象は30~69歳の男性で、この内、一つのグループには①牛乳の代わりにスキムミルクを大豆油で溶いたものを与える、②牛肉は脂肪分を除いて用いる、③植物性油は自由に用いる、という条件の食事を与えた。もう一つのグループには普通の食事を与え、コレステロールを1日500mgずつ摂取させた。この実験を7週間行った結果、大豆油を中心に食事制限をしたグループは普通食のグループに比べて動脈硬化の危険性が半分以下に抑えられた。つまり、大豆油のような植物性油を多く摂り、動物性油を減らすことが動脈硬化から派生する心臓病の予防にも役立つことが示されたわけである。こうした効果は、大豆油に含まれているリノール酸に血管に沈着するコレステロールを排除する働きがあるためとされている。

※米油

 米糠には約20%の脂質が含まれているが、これを溶媒抽出して作られるのが米油で、米糠油ともいう。あっさりとした味で、ドレッシングや揚げ物に向く。食用油の中では唯一、国産原料で作られている油である。脂肪酸組成はオレイン酸42.6%、リノール酸35%、リノレン酸1.3%など。米油にはシトステロール(植物ステロール)が多く含まれるため、コレステロールの吸収を防ぎ、動脈硬化の予防効果がある。

※コーンオイル

 コーンスターチ(トウモロコシでんぷん)の製造時に副産物として出る胚芽(脂質含有率約35%)からつくられる食用油。淡黄色から黄金色をしており、独特のコクと旨味がある。熱安定性が高く、揚げ物や炒め物などの加熱料理に向いている。サラダ油やマーガリンの原料にもなる。

 脂肪酸組成は必須脂肪酸である多価不飽和脂肪酸が全体の半分を占め、その中でもリノール酸の割合が54.9%と高い。また、一価不飽和脂肪酸のオレイン酸も29.8%と多い。そのほかビタミンEの含有量も多く、100g中17.1mgと植物性油脂の中では高いほうである。胚芽油であるコーンオイルには、米油と同じくシトステロールが含まれており、コレステロールの体内吸収を抑える作用がある。

機能性食用油

2011年10月25日 | 健康
○機能性食用油

 農林水産省が主婦を対象に行った食用油の消費実態調査では、約半数の消費者が健康や栄養面を考えて油を選択しており、植物油独特の風味も重視して料理によって使い分けているという結果が出ている。食用油に対するこのような消費者の健康志向を反映して、数年前から機能性食用油市場が拡大している。製油大手が投入している製品をみると、単に健康によい植物油というイメージ的な訴求ではなく、”体に脂肪が付かない油”、”コレステロールを抑制する油”といった具体的な健康機能性を付加している点が特徴である。

 先陣を切ったのは花王の健康「エコナクッキングオイル」で、1999年2月に脂肪がつきにくい食用油として発売され、半年で400万本を売り上げた。食用油ではじめてトクホ表示が許可されたことでも話題を呼んだ。エコナの主原料はジアシルグリセロールで、同じ脂肪酸組成のトリアシルグリセロール(従来の食用油の主成分)と比較して食後の血中中性脂肪の上昇を抑制する作用がある。また、長期間摂取した場合には内臓脂肪の増加を抑制することが確認されている。

 日清製油が開発した「日清バランスオイル・ダイエット」は中鎖脂肪酸を約10%含む食用油で、酵素を用いて油の構造に特徴を持たせている。中鎖脂肪酸はエネルギーとして分解されやすく、手術後の流動食や未熟児のエネルギー補給などに利用されているが、同社と香川大学との共同研究によって長期栄養試験をヒト対象で行った結果、体脂肪として蓄積されにくい油であることが認められた。

 2001年になると、機能性食用油のターゲットは脂肪からコレステロールへ移り、コレステロールの吸収を抑える食用油が次々と発売された。大豆や米など植物胚芽に含まれる植物性ステロールを配合した製品が多い。これは食事で摂取したコレステロールは胆汁酸と結合して体内で吸収されるが、植物性ステロールは胆汁酸と結合しやすいため、結合できなかったコレステロールが対外に排出されやすくなるからで、花王は健康エコナに植物性ステロール(β-シトステロール)を加えた製品をトクホとして発売した。日清製油は米胚芽油ベースの食用油「バランスオイル・コレステ」を投入した。通常の大豆油に比べて植物ステロールが4.5倍含まれる油だ。

 ホーネンコーポレーションの食用油「健康上々」もコレステロール値の抑制にターゲットを絞っているが、植物性ステロールを使わず、麹菌の一種である紅麹のエキスを配合した。ヒトの体内では肝臓から出る酵素の働きでコレステロールが生成されるが、紅麹に含まれるモナコリンやγ-アミノ駱酸といった成分がこの酵素の働きを抑制することに着目した。同社によると、体内の総コレステロールの2割は体外からの食物の摂取によるが、残りの8割は体内酵素の働きで形成されるという。紅麹エキスはこの8割のコレステロールを抑制するとしている。

 昭和産業の「オレインリッチ」は悪玉コレステロールだけを低下させるといわれるオレイン酸を80%使用したヒマワリ油。酸化に強いため鮮度と風味が長持ちするほか、調理時に油酔いしにくいというのが特長である。このほか最近では、中鎖脂肪酸を関与成分としたナタネ油ベースの「ヘルシーリセッタ」(日清オイリオグループ)が体に脂肪がつきにくい食用油としてトクホを取得、ヒット商品にしている。

黒糖オリゴ

2011年10月24日 | 健康
○黒糖オリゴ

 黒糖オリゴとは黒砂糖中に約0.1~0.3%含まれ、白砂糖の害を防ぐ毒消しの役割を持つ非糖黒色成分をいう。

 白砂糖の主成分のショ糖(スクロース)はブドウ糖と果糖の二糖類で、容易に分解されて即席のエネルギー源となり、疲労回復剤となる。また、保水剤として、皮膚や粘膜の乾燥を防ぎ、化粧料、シロップ剤に利用され、その制菌作用で細菌の繁殖を抑制し、砂糖漬け等として広く用いられている。

 しかし、砂糖の大量摂取は胃粘膜の潰瘍を促進し、歯や骨を弱化する。また、血中の中性脂肪、血糖値、過酸化脂質を上昇させ、高脂血症、糖尿病、動脈硬化、肥満の引き金となり、アトピー性皮膚炎を促進するといった障害をもたらす。

 長寿県として知られる沖縄県には、古くから「白い砂糖は命を縮め、黒い砂糖は命長らえる」ということわざがある。これに注目し、1980年より近畿大学東洋医学研究所愛媛大学医学部医科学教室との共同で、吸着合成樹脂を用いて黒色成分のみを吸着・分離精製する技術を開発。これにより得られた非糖成分を黒糖オリゴ糖と名づけ、あわせて動物実験も行っている。

 それによると、1群5匹のラットを、①白砂糖75%を含む高ショ糖食を与えたコントロール群、②同じ飼料で1日量に黒糖オリゴ1g/kg、及び0.5g/kgを添加したものを投与した群、③普通食で飼育した群の3群に分け、2ヶ月間、自由摂取させて、それぞれの群の血清中の脂質、インスリン量を比較した。その結果は、①のコントロール群は中性脂肪が③の普通食群に比べて2.40倍に増加したのに対し、②の黒糖オリゴ1g/kg、0.5g/kg添加群はそれぞれ62.3%、87.6%にとどまり、黒糖オリゴが中性脂肪の上昇を抑制することがわかった。ここでは過酸化脂質、インスリン量についても同様の抑制結果がみられ、黒糖オリゴがこれらの値を有意に低下させることが明らかになった。

 また、ラットに0.5gのグルコースを与える負荷試験では、血漿中のグルコース、インスリン濃度は投与20分後に最大に達するが、このとき、グルコースと共に黒糖オリゴを与えた群は、コントロール群に比べて20分以後のグルコース、インスリン値がともに有意な差を持って減少した。マウスを用いた実験でも同様の結果を得た(薬学雑誌102、1982、医学と薬学57、2007)。

 黒糖オリゴは腸管腔灌流法により、グルコースの腸管からの吸収を抑制すると考えられるが、これらの効果はこのことを証明しているといえる。また、これらの効用の有効成分の一つとして、3-4ジメトオキシフェニールβグルコシドが発見されている。

 このように、黒糖オリゴは、臨床面でも高脂血症、糖尿病・動脈硬化、肥満等を予防・改善する働きがある。

機能性ヨーグルト

2011年10月21日 | 健康
○機能性ヨーグルト

 最近注目を集めているヨーグルトに機能性ヨーグルトと呼ばれる製品がある。含まれている乳酸菌が持つ生理機能が学術研究のデータによって裏付けられており、それを付加価値として開発されたヨーグルトである。商品のものに効能が表示されているわけではないが、マスコミ等を通じてその機能性が広く知られるようになっている。

 機能性ヨーグルトの草分けは、ピロリ菌を排除する乳酸菌が入っていることで人気を呼んだプロビオヨーグルトLG21(明治乳業)である。2000年3月に発売され、瞬く間にヒット商品となった。ピロリ菌は日本人の半数が保菌者であることや、日本人に多い胃潰瘍や十二指腸潰瘍、慢性胃炎、胃ガンなどを引き起こすことから新聞や健康雑誌などで盛んに取り上げられ、一般消費者の認知度も高い。同ヨーグルトに使われている乳酸菌はラクトバチルス・ガッセリOKK2716(通称LG21菌)で、経口摂取すると胃粘膜に接着し、乳酸を分泌してピロリ菌を排除する性質がある。東海大学の古賀泰裕らの研究によると、ピロリ菌保菌者の30人にLG21入りヨーグルトを8週間摂取してもらったところ有意な減少が確認できただけでなく、この内の3人はピロリ菌が検出限界以下になったという。また、胃粘膜の荒れも改善されたことが報告されている。

 LC1ヨーグルト(ネスレスノー)も胃のピロリ菌抑制に有効であるとされている。同製品には、スイスのネスレ中央研究所で単離された乳酸菌ラクトバチルス・ジョンソニーLC1(通称LC1菌)が使われており、経口摂取によって腸壁に接着し、病原菌の物理的排除、抗菌物質の分泌、免疫細胞の活性化などに働くことが認められている。

 植物性乳酸菌ヨーグルト(亀田製菓)は、同社が米から分離した日本発の植物性乳酸菌ラクトバチルス・カゼイ・カメダ1株(通称K-1菌)を使った製品で、植物性食品を多く摂っている日本人の胃腸によくフィットする点を売りにしている。東京農業大学菌株保存室との共同研究で、同菌には整腸作用のほか細胞の突然変異を抑える抗変異原性のあることが明らかにされている。

 ラクトフェリンヨーグルト(森永乳業)は牛乳に含まれる微量タンパク質のラクトフェリンを配合した製品。ラクトフェリンは抗微生物活性やビフィズス菌増殖、免疫調節、抗酸化活性、細胞増殖調節といった生理作用がある。

 小岩井KW乳酸菌ヨーグルト(小岩井乳業)は花粉症を改善する乳酸菌が用いられている。この菌はグループ会社のキリンビールフロンティア技術研究所が昭和女子大学大学院生活機構研究所と共同で開発したラクトバチルス・パラカゼイKW3110(通称KW乳酸菌)で、花粉症アレルギーの原因となるヘルパーT細胞の”Th1/Th2バランス”を改善する作用があるという。同社では花粉症に対するヒト試験も実施している。花粉症のボランティア28名を、KW乳酸菌ヨーグルトを接し揺するグループと従来のヨーグルト摂取する対照グループの2つに分け、花粉症飛散期(03年1~4月)に1日200mlのヨーグルトを摂取してもらい4週おきに採血と自覚症状のアンケートを行った。その結果、KW乳酸菌のグループで従来ヨーグルトのグループと比べて2倍以上のTh1/Th2バランスの改善がみられた。また、のどの痛みや目の痒み、鼻水などの症状にも改善傾向が認められたという。

 LGGヨーグルト(タカナシ乳業)はアトピー性皮膚炎の改善が広く認められている乳酸菌ラクトバチルス・ラムノーサスGG(通称LGG菌)を使用している。同菌はフィンランドのバリオ社が保有する乳酸菌で、1997年に同社が乳幼児のアトピー性皮膚炎の症状が抑えられたという研究結果を発表して世界的に注目された。

 ロイテリ菌ヨーグルト(チチヤス乳業)はスウェーデンのバイオガイア社が保有する乳酸菌ラクトバチルス・ロイテリを使った製品で、腸内有害菌や虫歯菌の繁殖を抑える作用がある。

ステロール

2011年10月20日 | 健康
○ステロール

 ステロールは油脂に含まれる不鹸化物のひとつで、ステロイド核(4つの環状構造)と炭素数8個の炭化水素基を持つアルコールの総称である。ステリン(ドイツ語)ともいう。動物油脂に含まれるコレステロール、植物油脂中のシトステロール、シイタケや酵母に含まれるエルゴステロールなどがある。

※コレステロール

 コレステリンともいう。動物の組織中に広く存在するステロールで、細胞膜の構成成分として、また胆汁酸や性ホルモン、副腎皮質ホルモンの材料として重要な物質である。血液中にはリン脂質とタンパク質に包まれたリポタンパク質の形で存在する。

 コレステロールの約8割は体内で合成され、それ以外は食品から摂取される。コレステロールを多く含む食品の過剰摂取は、血管壁にコレステロールが付着して動脈硬化や高脂血症の原因となる。「日本人の食事摂取基準・20005年度版」では、1日あたりのコレステロール摂取の目標量(上限)を成人男性で750mg未満、女性では600mg未満としている。卵黄や魚卵、レバー、エビ、イカなどはコレステロールを多く含む食品として知られている。

脂肪

2011年10月19日 | 健康
○脂肪

 食品に含まれる脂質の90%以上は脂肪である。脂肪は脂肪酸とグリセロール(グリセリン)がエステル結合したもので、アシルグリセロールという。1分子の脂肪酸が結合したモノアシルグリセロール、2分子のジアシルグリセロール、3分子のトリアシルグリセロールであるが、一般に脂肪(中性脂肪)と呼ばれているのはトリアシルグリセロールである。ジアシルグリセロールトクホの機能性食品油の関与成分として使われている。

※中性脂肪

 単に脂肪、油脂などとも呼ばれる。グリセロールに3分子の脂肪酸がエステル結合した単純脂質で、トリアシルグリセロールという。結合している脂肪酸の種類によって物性が異なり、室温で液状のものを油(オイル)、固体のものを脂(ファト)と区別している。一般に動物性脂肪は飽和脂肪酸を、植物性脂肪は不飽和脂肪酸を多く含んでいる。脂肪は食品中の脂質成分として最も含有量が多く、ヒトの生体内では貯蔵脂質として皮下や腹腔などに貯えられ、必要に応じてエネルギー源(1gあたり9kcal)として利用される。