健康食品辞典

サプリメント・健康食品・食材・食品・飲料などに利用されている素材・成分を中心に掲載しました。

色々な菌株(4)

2011年08月31日 | 健康
○ヤクルト菌

 ヤクルト本社が保有する乳酸菌で、正式な菌名はラクトバチルス・カゼイ・シロタ株(Lactobacillus casei Shirota)。1930年年に代田稔(京都帝国大学医学部微生物学教室)が世界で初めて培養に成功した人腸乳酸菌で、35年には同菌を使用した乳酸菌飲料ヤクルトが発売されている。ヤクルト菌には、腸の蠕動運動を高める、有害菌の増殖を抑える、免疫力を維持する働きが認められている。

○K-1菌

 亀田製菓が2001年に、日本で初めて米から分離して開発した植物性乳酸菌。正式な名称は菌名はラクトバチルス・カゼイ・カメダ1株(Lactobaciluss casei KAMEDA-1)。日本人の食生活をモデル化した腸内栄養成分で増殖し、胃液に耐えて腸まで届くことが実験で確かめられており、植物性食品を多くとってきた日本人の胃腸によくフィットするのが特徴である。

 K-1菌には、整腸作用のほか、細胞の突然変異を抑える抗変異原性のあることが、同社と東京農業大学菌株保存室の共同研究で明らかにされている(日本農芸化学会2001年度大会で発表)。同研究によると、K-1菌は5種類の発ガン物質・変異原性物質を無毒化する働きに優れている。特定されたのは①4NQO(胃ガン、大腸ガンを誘発するガン原生物質)、②Trp-P1(肉や魚のコゲに含まれる変異原性物質)、③Trp-P2(同)、④2-AA(発ガン物質)、⑤MNNG(胃ガン、大腸ガンを発生させる発ガン物質)で、同菌が腸内でこれらと反応すると無毒化され、大腸ガンを予防する可能性があるという。K-1菌は、同社の「植物性乳酸菌ヨーグルト」に使われている。

色々な菌株(3)

2011年08月30日 | 健康
○LC1菌

 ネスレ中央研究所(スイス、ローザンヌ)で単離されたプロバイオティクス乳酸菌。正式な菌名はラクトバチルス・ジョンソニーLC1(Lactobacillus johnsonii LC1)。LC1菌は経口摂取によって腸壁に接着し、病原菌の物理的排除、抗菌物質の分泌、免疫細胞の活性化などに働く。胃のピロリ菌抑制にも有効である。同菌を使用したヨーグルトLC1を販売している。また、東京農業大学との共同でアレルギー症改善に関する研究も進めている。

○ロイテリ菌

 スウェーデンのバイオガイア社が保有する乳酸菌で、正式な菌名はラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)。腸内でロイテリンという抗生物質を生産し、大腸菌やサルモネラ菌、ブドウ状球菌などの有害菌の繫殖を抑える作用がある。日本ではチチヤス乳業がライセンス契約により、自社の「ロイテリ菌ヨーグルト」に使用している。同社は広島大学歯学部付属病院の二川浩樹らのグループと共同で、ロイテリ菌の虫歯予防効果についての研究を行い、虫歯菌の発育を阻止する作用があることを明らかにしている。

色々な菌株(2)

2011年08月29日 | 健康
○L-92乳酸菌

 カルピスが開発したアレルギー改善作用のある乳酸菌。正式な名称はラクトバチルス・アシドフィルスCK92株(Lactobacillus acidophilus CK92)。同社が保有する2000種以上の菌の中から、アレルギーに関与する”Th1/Th2バランス”の改善効果が高い菌とした選び出された。ヒト試験による花粉症に対する改善作用に加え、ダニやハウスダストなどによる通年性アレルギー性鼻炎にも改善効果のあることが確認されている。「インターバランスL-92」シリーズとして、同社の清涼飲料水や乳酸菌飲料、サプリメントに使われている。

○LGG菌

 フィンランドのバリオ者が保有する乳酸菌で、1985年にゴルバッハ(Gorbach)とゴルディン(Goldin)の2人の医学者によって発見された。正式な名称はラクトバチルス・ラムノーサスGG(Lactobacillus rhamnosus GG)。GGは発見者2人の頭文字からとられている。1997年に同社が、LGG菌によって乳幼児のアトピー性皮膚炎の症状が抑えられたという研究結果を発表し、乳酸菌の新機能としてアレルギー改善作用が世界的に注目され始めた。日本ではタカナシ乳業がライセンス契約により、自社のヨーグルトに使用している。同社は東京農業大学と共同で、アトピー性皮膚炎とT細胞との関連に着目してLGG菌の研究を進めており、LGG菌由来の物質がマウスT細胞の異常増殖を強力に抑えるという発表を行っている(2005年2月)。

色々な菌株(1)

2011年08月28日 | 健康
○LG21菌

 明治乳業が東海大学医学部の古賀泰裕らとの共同開発で開発した乳酸菌。正式な名称はラクトバチルス・ガッセリOLL2716(Lactobacillus gasseri OLL2716)。経口投与によるヒト試験を実施し、同菌が胃のピロリ菌を減少させることを確認している。LG21菌は同社が保有する約200種類のラクトバチルス属乳酸菌から選ばれたもので、①低栄養条件下でも増殖力が強いこと、②乳酸生産力が高いこと、③胃上皮細胞への接着が可能なこと、④耐酸性が優れていること、⑤人体に安全であることの5項目を満たし、さらにピロリ菌を減らす効果が最も高かった菌である。同社の「プロビオヨーグルトLG21」に使われており、機能性ヨーグルトとして人気がある。

○KW乳酸菌

 キリンビールフロンティア技術研究所が昭和女子大学大学院生活機構研究かと共同で開発した乳酸菌。正式な名称はラクトバチルス・パラカゼイKW3110(Lactobacillus paracasei KW3110)。ヒトによる摂取試験で花粉症の改善効果が確認されている。花粉症アレルギーには、2タイプのヘルパーT細胞(Th1とTh2)が関係しており、アレルギー状態のときは両者のバランス崩れ、Th1が減少し、Th2が上昇するといわれている。

 KW乳酸菌は、グループ企業の小岩井乳業が保有する100種類以上の乳酸菌の中から、”Th1/Th2バランス”の改善効果が高い菌として選び出された。小岩井乳業の「小岩井KW乳酸菌ヨーグルト」、キリンウェルネスフーズの健康食品「ノアレ」、キリンビバレッジの清涼飲料水「体質水」などに使われている。

酢酸菌

2011年08月27日 | 健康
○酢酸菌

 エタノール(エチルアルコール)を酸化させて酢酸を生成することでエネルギーを獲得している好気性細菌(バクテリア)の総称で、自然界では花や果実に多く存在している。アルコールと酸素から酢酸を生産する代謝を酢酸発酵という。酢酸は食酢の主成分である。

 食酢は穀類や果実を原料に、酵母によるアルコール発酵で酒をつくり、その後、酢酸菌でアルコールを分解する2段階発酵で作られる。だが、酢酸発酵は好気性で酸素を必要とする。酢の醸造に使われる酢酸菌はアルコールの分解能が高いアセトバクター属(Acetobacter)の菌で、アセトバクター・アセチ(A.aceti)やアセトバクター・シューゼンバチイ(A.schuezenbachii)がある。酢酸菌はまた、ソルビトール(糖アルコール)を原料としたビタミンCの生産や、ココナッツ果汁から作られるナタ・デ・ココにも使われている。

麹菌

2011年08月26日 | 健康
○麹菌

 麹をつくる際に使用されるカビ(黴)で、コウジカビともいう。わが国で使われているのは子嚢菌類のアスペルギルス属(Aspergillus)のカビである。分生子(胞子)の色の違いから黄麹菌、黒麹菌、白麹菌がある。一方、他のアジア圏ではリゾープス属(Rhizopus)やムコール属(Mucor)のカビが使われている。

※黄麹菌

 分生子(胞子)の色が黄色のためこう呼ばれる。わが国で最も多く使われている麹菌で、デンプン分解酵素(α-アミラーゼなど)やタンパク質分解酵素(プロテアーゼなど)の生産性が高い。清酒や味噌、醤油、味醂など、ほとんどの発酵食品に使われるアスペルギルス・オリゼ(A.oryzae)、主に醤油の醸造に使われるアスペルギルス・ソーヤ(A.aojae)がある。A・オリゼは酵素剤の製造にも古くから使われている。1909年、科学者の高嶺譲吉によって小麦フスマから抽出されたタカヂアスターゼは、工業的につくられた世界初酵素剤である。

※黒麹菌

 分生子の色が黒色のためこう呼ばれる。代表的なものに沖縄で泡盛の製造に使われているアスペルギルス・アワモリ(A.awamori)がある。クエン酸の産生能が高く、もろみが酸性状態で維持されるので雑菌の繁殖防止につながり、高温地域での酒造りに適している。泡盛醪の残渣からつくられる琉球もろみ酢はクエン酸を大量に含んだ健康飲料である。

※白麹菌

 黒麹菌の変異株で、分生子の色が白色に近いためこう呼ばれる。九州地方で焼酎製造に使われているアスペルギルス・カワチ(A.kawachii)、アスペルギルス・シロウサミ(A.shirousamii)がある。

2011年08月25日 | 健康
○麹

 麹は、米や麦、豆などの穀物、その副産物のフスマやなどにカビの一種である麹菌を繁殖させたもので、デンプンを糖化(分解)させる作用を持つ。原料となる穀物の違いで、米麹、麦麹、豆麹があり、酒類のほか、味噌醤油の醸造にも使われる。

 清酒や焼酎、ビールなどのアルコール発酵に使われる酵母(サッカロミセス・セレビシュ)は、デンプンなどの多糖類をそのまま利用することができない。例えば、清酒造りでは蒸米が原料となるが、デンプンを小糖類に分解する酵素が必要である。この役割を担っているのが麹である。ビールの醸造では、原料となる麦を水に浸けて発芽させることで酵素活性を高め、マルトース(麦芽糖)にまで分解された麦芽を利用する。一般に、清酒や焼酎などアジアの酒造りでは麹が、ビールやウイスキーなどヨーロッパの酒造りには麦芽が使われている。

色々な茸食品(5)

2011年08月24日 | 健康
○雪割茸(ゆきわりだけ)

 セリ科の阿魏の根茎に、新種の菌糸を植えつけて栽培される比較的新しいキノコである。傘の直径が5~15cmの扁半球形で裏側は扇形をしており、表面は光沢があり肉は白色。茎の長さは2~6cm、太さは1~3.5cmほどである。原産地の中国では山鮑茸、白霊茹と呼ばれている。わが国では、雪のように白いことから雪割茸と命名された。

 ハマグリの形に似ているため、ハマグリ茸ともいわれる。香りがよく柔らかで栄養価が高いことから広く食用に供されており、ステーキやすき焼きにしても美味と人気がある。豊富なβ-グルカンを含み(100g中23.7mg)、抗がん活性も期待されている。

○編笠茸(あみがさたけ)

 アミガサタケ科の茸で、学名はmorchella esculenta。中国名は羊肚菌。春に林や草地に発生する。頭部が卵上の円錐形で、表面に網目状のでこぼこがある。傘は灰褐色から黄褐色で高さは7~15cm位。内部は空洞になっている。味がよく、バター炒めやスープなどに使われ、ヨーロッパでもよく食べられているキノコである。漢方では消化不良や息切れ、去痰の生薬として用いられている。

色々な茸食品(4)

2011年08月23日 | 健康
○鼈茸(すっぽんたけ)

 スッポンタケ科のキノコで、学名はPhallus impudicus。中国名は白鬼筆。夏から秋にかけて林に生える。幼菌は白い卵形をしており、それを破って円錐形の頭部と円柱形の柄部が伸張する。長さ10~15cm。頭部の表面は暗褐色の悪臭のする粘液におおわれている。この粘液でハエなどの虫を呼び寄せ、胞子を運ばせる。漢方ではリューマチの生薬として用いられている。

○鬼燻(おにふすべ)

 ホコリタケ科のキノコで、学名はLasiosphaera fenzlii。中国名は馬勃。夏から秋にかけて草地や林に発生する。子実体は球形又は偏球形で、経が10~20cm、大きいものは50cmくらいになる。漢方では慢性扁桃炎、咽喉炎、鼻血、咳などの生薬として用いられる。

○一夜茸(ひとよたけ)

 ヒトヨタケ科のキノコで、学名はCoprinus atramentarius。中国名は墨汁鬼傘。春から秋にかけて芝生、畑地、公園などに発生する。名前が示すように夜間に成長し、明け方には溶解する。成熟すると黒く変色し、傘の周辺部から液化していく。アルコールと一緒に食べると悪酔症状や発汗症状が出る。漢方では、消化を助ける、去痰、腫毒を消す生薬として用いられている。

色々な茸食品(3)

2011年08月22日 | 健康
○末広茸(すえひろたけ)

 キシメジ科のキノコで、学名はSchizophyllum commune。中国名は裂褶菌。針葉樹や広葉樹の枯木に生える。笠の表面は粗毛に覆われ、柄はない。世界各地に分布している。薬効成分としては、スエヒロタケの培地から制がん剤のシゾフィランが開発されている。漢方では滋養強壮の生薬としても使われる。

○大白蟻茸(おおしろありたけ)

 キシメジ科のキノコで、学名はTermitomyces eurrhizus。中国名は鶏從、鶏菌など。傘の経4~14cm、中央が尖っている。色は灰褐色。柄は円柱状で5~14cm。シロアリの巣の上に生える。オオシロアリタケの熱水抽出物に含まれる物質に強い抗腫瘍活性があることが見出されている。第57回日本癌学会総会(1998年9月)で、石井達らのグループが「オオシロアリタケ熱水抽出物の抗腫瘍効果」を発表している。漢方では消化を助け、を治す生薬として用いられている。

○楢茸(ならたけ)

 キシメジ科のキノコで、学名はArmillaria mellea。中国名は蜜環菌。春から秋にかけて種々の枯れ木に群生する。傘は経が4~15cmで中央部に細かい鱗片があり、周辺に放射状の線がある。表面は淡黄褐色。柄の高さ4~15cmで根元がやや膨らんでいる。世界各地に分布。植林した木の根を浸して枯らせる「ナラタケ病」の原因ともある。漢方では眼病や視力回復皮膚の乾燥、粘膜の分泌不良の生薬として用いられている。