健康食品辞典

サプリメント・健康食品・食材・食品・飲料などに利用されている素材・成分を中心に掲載しました。

赤小豆

2013年07月31日 | 健康
○赤小豆(せきしょうず)

 中国南部原産のマメ科の一年草アズキ(Phaseplus angularis)やツルアズキ(P.calcaratus)の成熟した種子を用いる。ツルアズキはアズキに似ているがつるがあり、インドや東アジアで栽培されている。

 アズキは古くから食用としてアジアを中心に栽培されているが、日本での栽培量が最も多い。アズキは世界中で日本人だけに好まれる特異な存在で、アズキを米とともに炊いて赤飯や小豆粥にしたり、餡にして和菓子の原料として広く利用している。

 アズキの成分にはフラボン配糖体のロビニンや結晶性サポニンなどが含まれている。漢方では清熱燥湿・利水消腫の効能があり、腎炎や脚気、栄養障害にみられる浮腫、下痢、下血、黄疸、癰腫に用いる。

 脚気や肝硬変の腹水、腎炎による浮腫には赤小豆と鯉魚を一緒に煮込んで服用する(赤小豆鯉魚湯)。黄疸や浮腫、蕁麻疹などに麻黄・連軺などと配合する(麻黄連軺赤小豆湯)。民間療法でも水だけで煮たあずき粥を脚気の浮腫や母乳の出が悪いとき、便秘や二日酔いに用いている。

石松子

2013年07月30日 | 健康
○石松子(せきしょうし)

 日本、北半球の温帯・暖帯に広く分布する常緑シダ植物ヒカゲノカズラ科のヒカゲノカズラ(Lycopodium clavatum)の胞子を用いる。全草は石松あるいは伸筋草という生薬名で呼ばれる。

 ヒカゲノカズラは産地の林緑などの日当たりのよいところに自生し、太い針金状の茎が長く地上を這う。この茎葉は花束や花輪などの装飾用に用いられている。胞子は微細なさらさらとした淡黄色の粉末で、吸湿性がない。このため線香花火に混ぜたり、レンズ磨きや塗料に混ぜ、のびをよくするのに利用されていた。

 胞子には脂肪を約50%含み、この主成分はリコポジウムオレイン酸である。全草にはアルカロイドのリコポジンやトリテルペノイドのαオノセノンなどが含まれている。薬用としては吸湿性が全くないため、丸薬の衣や、汗疹や湿疹などの散布薬として用いられていた。

 伸筋草には去風湿・ 舒筋活絡 ・活血などの効能があり、リウマチなどの関節痛、麻痺やしびれ、打撲傷、水腫などに用いる。西洋の民間療法では全草を利尿薬として膀胱炎や尿路結石の治療に用いている。近縁植物であるトウゲシバ(L.serratum//Huperzia serrata)の全草は千層塔と呼ばれ、アルツハイマー病に効果があると期待されている。

赤芍

2013年07月29日 | 健康
○赤芍(せきしゃく)

 中国北部を原産とするボタン科の多年草シャクヤク(Paeonia lactiflora)の根の外皮のついたままのものを用いる。外皮を除いたものを白芍という。また赤芍には野生種のベニバナヤマシャクヤク(P.obovata)やセンセキシャク(P.veitchii)などの根も用いられている。これに対し白芍といえば栽培品種のみが用いられている。赤芍は日本薬局方による芍薬の規格に適合したないため、中国産では白芍のみを芍薬として用いている。

 芍薬の根にはペオニフロリンが含まれ、鎮痙、鎮痛、鎮静、抗炎、抗潰瘍、降圧作用など報告されている。中国医学では白芍に補血・止痛の効能があるのに対し、赤芍には清熱涼血・活血の効能があると区別し、温熱病、無月経、腹部腫瘤、腹痛、出血、腫れ物などに用いる。ちなみに同じボタン科のボタン(P.suffruticosa)の根である牡丹根には清熱涼血・去瘀の効能があるが、日本漢方的にいえば、赤芍はちょうど芍薬(白芍)と牡丹皮との中間的な生薬と考えられる。このため瘀血による疼痛や内出血などには白芍よりも赤芍を用いたほうが効果的である。

石蒜

2013年07月27日 | 健康
○石蒜(せきそう)

 日本の本州以南、中国の温帯に分布するヒガンバナ科の多年草ヒガンバナ(Lycoris radiata)の鱗茎を用いる。9月下旬、秋の彼岸のころに鮮やかな赤い花をつけるので彼岸花と呼ばれる。赤い花を意味するマンジュシャゲ(曼珠沙華)の別名もあるが、本来、サンスクリット語のマンジューシャカは別の植物の名前である。

 有毒植物ではあるが、鱗茎をすりつぶして水にさらし、毒抜きをすると食べられるため救荒食物として利用されてきた。日本には縄文時代に食用として中国から渡来したと考えられている。また鱗茎をすりつぶして海苔状にしたものは防虫の目的で衣類や襖の下張りなどに用いられた。

 ヒガンバナにはリコリン、ホモリコリン、ガランタミンなどのアルカロイドが含まれ、誤って食べると強い苦味があり、嘔吐、下痢、流涎、神経麻痺などが起こる。これらのアルカロイドには鎮痛、降圧、催吐、去痰作用がある。リコリンはアメーバ赤痢や喀痰の治療薬、ガランタミンは小児麻痺後遺症、アルツハイマー病の治療薬としても知られている。

 石蒜には去痰・利尿・解毒・催吐る効能があるが、日本でも中国でも専ら民間療法として用いられている。一般に催吐の目的で内服させる以外は外用し、鱗茎をすりおろしたもので肩こりや乳腺炎、乳房痛などの湿布薬とする。また腎炎などによる浮腫に石蒜を単独あるいは唐胡麻(蓖麻子)と混ぜたものをすりおろして足裏の涌泉穴に塗布する方法がよく知られている。

 ちなみに欧米ではヒガンバナ科のスノードロップ(Galanthus woronowill)やスノーフレーク(Leucojum aestivum)から抽出されたガランタミンがアルツハイマー病の治療薬として用いられている。

石韋

2013年07月26日 | 健康
石韋(せきい)

 日本の関東以南及び朝鮮半島や台湾、中国南部、インドシナに分布するウラボシ科の常緑シダ植物ヒトツバ(Pyrrosia lingua)などの同属植物の葉を用いる。ヒトツバは暖地の乾燥した岩や葉に群生し、普通にみられる常緑のシダである。根は石韋根という。

 ヒトツバの全草には配糖体、フラボノイド、サポニンなどが含まれるが、詳細は明らかではない。漢方では清熱・利水・通淋・止血の効能があり、淋病、血尿、腎炎、子宮出血、下痢、気管支炎、癰疽などに用いる。とくに通淋薬として有名であり、熱淋、石淋、血淋などの膀胱炎や血尿に滑石・瞿麦などと配合する(石葦散)。また気管支炎や喘息などの治療に効果がある。

 日本ではほとんど利用されていないが、中国では今日でも尿路結石や腎炎などによく用いている。石韋根の粉末は止血薬として傷に散布する。

西洋トチノキ

2013年07月25日 | 健康
○西洋トチノキ

 バルカン半島のトチノキ科の落葉高木セイヨウトチノキ(Aesculus hippocastanum)の種子を用いる。欧米では街路樹として広く植栽され、パリのマロニエとして知られているのはこのセイヨウトチノキのことである。ちなみに英語名はホース・チェスナット(栗)、その翻訳名のウマグリ(馬栗)という和名もある。仏語名のマロニエもマロン(栗)に由来し、かつてマロングラッセもマロニエの実が使われていたといわれる。

 種子にはトリテルペン系サポニンのエスシンのほか、クマリン、エスクリンなどが含まれ、静脈壁を強化し、静脈の透過性を下げる作用のほか、血流促進、凝固抑制、抗炎症、抗潰瘍作用などが知られている。

 外傷や炎症による腫張を緩和し、静脈の血流を改善視することが認められており、ドイツなどでは静脈瘤や下肢血流障害(足のだるさ、こむら返り)、痔核の治療、手術後の浮腫の回復などに用いられ、日本でも軟部腫張の治療薬として用いられ、市販の痔治療薬や湿布薬、化粧品などに配合されている。ちなみに生の種子にはエスクリンが含まれるため、過量に用いると死に至ることがあり、一般にはエスクリンを除去した種子エキスのみを利用する。副作用として消化器症状や痒みの出ることがある。

 日本のトチノキ(A.turbinata)も民間薬として知られ、種子の栃の実を乾燥粉末にして胃痛や打ち身、痔などに用いている。また樹皮を煎じて痔や子宮出血、蕁麻疹、下痢等に用い、葉を煎じて咳の治療に用いている。

西洋参

2013年07月24日 | 健康
西洋参(せいようじん)

 北アメリカ原産で、カナダやアメリカの肥沃な森林に自生しているウコギ科のアメリカニンジン(Panax quinquefolis)の根を用いる。

 17世紀末に薬用人参の効能がヨーロッパに紹介され、18世の初めにその論文を目にしたカナダの宣教師がよく似た植物として見出し、薬用として広まったのがアメリカ人参である。この人参は星条旗を意味する花旗を冠して花旗参とも呼ばれている。アメリカで栽培されたものが広東経由で東南アジアに輸出されるため広東人参という名もある。現在では中国でも栽培されている。

 根にはサポニンのパナキロンやジンセノサイドなどが含まれ、人参と同様な中枢神経に対する刺激や血圧降下、疲労回復などの作用が認められている。官報でも補気・滋陰清熱・止渇の効能があり、人参の代用として用いられる。

 人参に比べれば補気の力は弱いが、滋陰清熱の作用はかえって優れている。このため熱証の患者の滋養・強壮に適しており、高熱のために脱水となり、体力が弱ったとなどには西洋参を用いる。

 暑気あたりや夏かぜには石斛・麦門冬などと配合する(王氏清暑益気湯)。また最近の中国では白虎加人参湯の人参の代わりにしばしば西洋参が用いられているる

青木香

2013年07月23日 | 健康
○青木香(せいもっこう)

 関東以西、四国、九州及び中国に分布するウマノスズクサ科のつる性多年草ウマノスズクサ(Aristolochia debilis)などの根を用いる。

 日当たりのよい山野に自生するつる性の植物で、つるからぶらさがった果実の形が馬の首にかける鈴に似ていることからウマノスズクサとか馬兜鈴という名が付けられている。ウマノスズクサの葉をつけた茎は天仙藤、果実を馬兜鈴という。キク科の植物の根にも青木香という生薬があるが、全く別のものである。

 ウマノスズクサの根にはアリストロキア酸やアリストロン、マグノフロリンなどが含まれ、降圧、鎮静、気管支拡張作用が報告されている。漢方では止痛・理気・解毒・消腫の効能があり、胸腹部の張痛みや下痢、腫れ物、湿疹などに用いる。

 夏季の下痢や腹痛、暑気あたりには青木香の粉末を服用する。腫れ物や咬傷、湿疹には粉末をゴマ油などで練って塗布する。近年、中国では青木香に降圧作用があることから高血圧の治療にも使用されている。ただし、アリストロキア酸は腎障害を引き起こすことが指摘されており、使用には注意が必要である。

青風藤

2013年07月22日 | 健康
○青風藤(せいふうとう)

 ツヅラフジ科のオオツヅラフジ(Sinomenium actum)や華防己(Diploclisia chinensis)、アワブキ科のアオカズラ(Sabia japonica)などのつる性の茎をいう。

 オオツヅラフジは単にツヅラフジともいい、日本の関東以西、四国、九州、台湾、中国などに分布するつる性落葉低木で、その茎を日本では防己あるいは漢防己と称している。つまり日本産の防己を中国では青風藤として扱っている。

 中国産の防己の基原とされるツヅラフジ科のシマハスノハカズラ(Stephania tetrandra)はオオツヅラフジによく似ているため、日本では江戸時代の前から防己と称してオオツヅラフジで代用していたと考えられる。一方、中国では青風藤はあまりよく知られていない生薬であるが、民間では脚気などによる浮腫やリウマチなどの関節痛の治療薬として用いている。成分や効能に関しては防己の項に記す。

青皮

2013年07月20日 | 健康
○青皮(せいひ)

 日本ではミカン科の常緑高木ウンシュウミカン(Citrus unshiu)のまだ青い、黄熟する前の果皮を青皮という。成熟果実の果皮は陳皮といい、未熟な果実は枳実としても用いられる。中国ではオオベニミカン(C.tangerina)やコベニミカン(C.erythrosa)などの未成熟果実の皮を青皮として用いている。今日、日本の市場品は全て中国産である。

 青皮には疏肝・理気・消積化滞の効能があり、胸や腋の張ったような痛み、肩や乳房の痛み、消化不良による下腹部痛などに用いる。青皮の性質は陳皮よりも激しく、陳皮の理気作用よりも強い疏肝・破気の効能があるといわれている。

 脇腹の痛みには柴胡・川芎などと配合する(柴胡芎帰湯・疏肝湯)。ストレスによる肩こりには香附子・莪朮などと配合する(治肩背拘急方)