健康食品辞典

サプリメント・健康食品・食材・食品・飲料などに利用されている素材・成分を中心に掲載しました。

グルコース

2008年03月31日 | 健康
〇グルコース

 ブドウ糖ともいう。自然界に最も多く存在する単糖(六炭糖)で、ブドウやバナナ、アンズなどの果実やハチミツに遊離の形で含まれるほか、少糖類(スクロース、マルトース)や多糖類(デンプン、グリコーゲン)の構成糖として存在している。水に溶けやすく、甘みはスクロース(ショ糖)の約70%である。

 動物は、植物に含まれるデンプンを摂取して体内でグルコースに変え、エネルギー源として利用している。肝臓に吸収されたグルコースの一部は血液に供給される。血液中に含まれるグルコースを血糖といい、その血中濃度(血糖値)は空腹時で70~110mg/dlであるが、食後は120~140mg/dlにまで上昇する。しかし、グルコースが生体内の各組織に取り込まれてエネルギー源として利用されることによって、血糖値は徐々に低下していき、食後約3時間で正常濃度に戻る。

 グルコースはまた、肝臓でグリコーゲン(貯蔵多糖)に合成・貯蔵されており、なんらかの理由で血液中のグルコース濃度が低下した時などは、分解してグルコースとなり血液中に供給される。グルコースはこのほか、脂肪酸やアミノ酸の合成にも関与している。

単糖類

2008年03月29日 | 健康
〇単糖類

 糖質の中で、分子構造的にこれ以上分解されない最小単位の糖を単糖という。含まれる炭素の数から三炭糖・、四炭糖・五炭糖・六炭糖に分けられるが、天然に広く存在するのは五炭糖と六炭糖である。この内、ヒトの栄養と重要な関係があるのは六炭糖で、食品の中に遊離の状態で含まれるほか、少糖類や多糖類の構造糖として広く存在している。グルコース(ブドウ糖)、アルクトース(果糖)、ガラクトース、マンノースなどがある。五炭糖は食品中に遊離の状態で含まれることはなく、各種多糖の構成糖として存在している。リボース、キシロース、アラビノースなどがあるが、ヒトのエネルギー源として利用されることはほとんどない。

 単糖類にはこのほか、誘導体として糖アルコール(ソルビトール、マンニトールなど)やアミノ酸(グルコサミン、ガラクトサミン)がある。


ふくろたけ(袋茸)

2008年03月28日 | 健康
〇ふくろたけ(袋茸)

 テングタケ科のキノコで、学名はVoluariella volvacea。秋に有機物の多い地上に発生する。初期の傘は卵型であるが、生育するに従って中高に開いて直径5~10cmほどになる。繊維状近視で覆われており、中央部は灰褐色、周辺部は白くなる。肉は白く乾燥質。ひだは密生して紅色を帯びる。太さ1cm止まりの白い柄は高さ10cm内外になる。東南アジアや中国、台湾で盛んに栽培されており、成長初期の卵型をしたものは中華料理によく使われている。欧米でもストロー・マッシュルームと呼ばれ、ポピュラーなキノコである。

 フクロタケに含まれるβ-1.3-D-グルカンに強い抗腫瘍活性があることが報告されている。マウスにガンの一種である肉腫を移植した上で、ふくろたけの冷アルカリ抽出グルカンを注射で、腹腔内投与し、5週間後に固形腫瘍の大きさを調べた結果、増殖抑制率が73~97%という高い値を示したという。

せみたけ(蝉茸)

2008年03月20日 | 健康
〇せみたけ(蝉茸)

 バッカクキン科のキノコで、学名はCordyceps sobolifera。中国では蝉花、蝉踊草などと呼ばれる。セミタケは地中にいるセミ(蝉)の幼虫に寄生してその体内に菌核を形成し、やがてセミを死なせてその頭部に発生する。薬用となる中国産のセミタケは冬虫夏草の一種で、ヤマセミ(山蝉)に寄生したものである。その円柱形の柄と紡錘形の頭部を丸ごと採集して乾燥させたものが薬用に供され、特に金蝉花とも呼ばれている。セミタケそのものは日本でも春から夏にかけて、庭園や山林中によく発生する。

 セミタケには、抗腫瘍活性を示すβ-1.3-D-グルカン、細膜内皮系組織のマクロファージ亢進作用や血糖値降下作用のあるガラクトマンナンなどの多糖が含まれている。古来中国では、子実体と虫体を一緒に乾燥したものが薬用とされ、証類本草(唐慎微、1108年)には小児の驚癇、夜泣き、心悸亢進」などに効くと記されている。さらに鎮静・鎮痛・鎮痙薬として、また眼病、麻疹、発熱、炎症性疾患にも良いとされてきた。子実体だけでも滋養強壮効果があるとして、食用に珍品として供されてもいる。

こふきさるのこしかけ

2008年03月19日 | 健康
〇こふきさるのこしかけ(粉吹き猿の腰掛)

 サルノコシカケ科の薬用キノコで、学名はGanoderma applanatum。中国名は樹舌、龍眼菰、梅寄生など。広葉樹のケヤキ、梅、桜、シイ、カシ、栗、キク(椈)、ミズナラなどの枯れ木や倒木に発生する。幹にまさかりを打ち込んだように扁平な半円形ないし丸山形の外観で着生し、大きなものは直径30cm以上、厚さ20cmにも達する。傘の表面は灰白色か灰褐色で年輪状の紋が入り、傘裏(管孔面)は白色または黄色を呈する傘表面にココア色の粉末(胞子)がつくので「コフキ」の名がある。肉は茶色のコルク質で固く、もっぱら薬用となる。

 コフキサルノコシカケはグルコースを主体とする多糖体の含有量の多さ(約74%)が特徴で、その子実体に含まれるβ-グルカンは抗ガン剤のクレスチン、レンチナン、シゾフィランと比較しても劣らない抗腫瘍活性を示す。また培養菌糸体に含まれる多糖類の中では、βー1.3-グルカンだけが顕著な抗腫瘍活性を示している。漢方では止血・健胃・中風・心臓病・腎臓病・脳卒中・胃ガンに効能があるとされている。

ちょれいまいたけ(猪苓舞茸)

2008年03月18日 | 健康
〇ちょれいまいたけ(猪苓舞茸)

 サルノコシカケ科の薬用キノコで、学名はPolyporus umbellatus。中国名は野猪糞。傘が丸く、中心部の下に隠れているゴツゴツした菌核が猪の糞に見えるところから、この名がついた。ブナやカエデの枯れた根に菌核を形成する。外面は黒褐色で不整魂。長さは5~10cmで多数のくぼみと荒いシワがある。肉は固く折れやすい。内部は白色から淡褐色で無味無臭。国内では北海道と長野県でわずかに産するが、ほとんどは中国から輸入されている。

 チョレイマイタケの菌核の乾燥したものを猪苓と呼び、古くから生薬として利用されている。猪苓の成分はエルゴステロール、有機酸、β-グルカン、ビオチンなどだが、漢方薬として利尿・解熱・止瀉作用に優れた薬効を持つことが知られている。猪苓を用いた漢方処方としては猪苓湯・五苓散が代表的なもので、主に膀胱炎・尿道炎・淋病・腎臓病などに用いられている。最近ではまた、制ガン効果が脚光を浴びている。発表された動物実験によると、腹水ガンマウスに対して体重1kg当たり1日100mgの猪苓抽出液を投与したところ、抽出エキスを投与しなかったグループは35日目に10匹全部が死亡したのに対し、投与したグループは10匹中1匹しか死亡せず、ガン組織は完全に消失していたという。ヒト血清において強い補体活性能(補体は血漿中に含まれるグロブリン系タンパク質で、抗原抗体反応を促進させる働きがある)を示すとする研究も多い。

かわらたけ(瓦茸)

2008年03月17日 | 健康
〇かわらたけ(瓦茸)

 サルノコシカケ科の薬用キノコで、学名はlusversicolor。中国名は霊芝。春から秋にかけて、枯れ木や枯れ枝に重なり合うように密生する木材腐朽性のキノコである。傘は幅2~5cm、厚さ1~2cmで、半円形、扇型、ヘラ形など様々な形状を見せ、表面には黒色、灰色、褐色、藍色など多彩な同心紋があり、革質で固い。傘の裏は白色ないし黄ばんだ淡灰色を呈する。成長中のものを採取して、専ら薬用にされる。サルノコシカケ科のキノコはどこにでも寄生するわけではない。そのための希少価値もあって、古くから仙薬・妙薬として珍重されてきた。

 カワラタケが注目されたのは20余年前、呉羽化学工業がそのエキスからクレスチン(PS-K)という抗がん剤を開発したことに始まる。この抗ガン効果はいわゆる免疫療法で、ヒトが生まれつき持つガンに対する抵抗力を強めることが分かり、一躍ガンの免疫療法のエースとして脚光を浴びた。クレスチンは綿密な基礎実験が繰り返された結果、(財)癌研究会化学療法センターの塚越茂が、①薬の与え方(経口投与、静脈注射、腹腔内注入)の差によって毒性がほとんどない(副作用がない)、②口から与えると、ある種の抗ガン剤が効果を示さないガンにも効いた、③作用の主体は体の免疫力を高めて増強する、④ガン細胞に対して強くはないが直接働く作用を認めた、と発表した。

 これを受けて国立病院や医療センターなどで肺ガン・食道癌・乳ガン・胃ガン・悪性リンパ腫などに臨床応用され、制ガン作用が認められた。1976年8月に厚生省(当時)の許可が下り、翌年5月には保険も適用されるようになった。この免疫効果は、カワラタケエキス中にインターフェロン・インデューサー(インターフェロンの産生を促す物質)が含まれているためと考えられている。インターフェロン効果とは、外からウイルスや細菌などの異物が侵入してきたとき、これを排除しようとする生体の防御機能であり、白血球の一種であるリンパ球中のT細胞(胸腺細胞)とB細胞(骨髄細胞)の働きによるものである。カワラタケエキスのクレスチンはそのT細胞に強く働きかけて、ガン細胞を抑える作用を持つ(これと同じような作用を持つ制ガン剤としては、シイタケエキスから抽出したレンチナンがある)。

 カワラタケの免疫作用は、在来の化学療法や放射線療法などに比較すると効果は地味であるが副作用がなく、宿主に抵抗力をつけるので自然な療法といえる。さらに免疫体質を強くすることから、ガンの予防にも有効性が期待されている。

重曹

2008年03月16日 | 健康
〇重曹

 重曹は炭酸水素ナトリウムの俗名で、わが国では明治時代から掃除に欠かせない道具として一般家庭などで広く活用されてきた。最近は合成洗剤の普及で、掃除用として使われることは少なくなったが、軟水作用や消臭作用など様々な機能性で改めて注目され、また環境にやさしい素材ということからも再び脚光を浴びるようになった。

 重曹には数多くの機能性がある。例えば、制酸剤としての活用ではコップ1杯の温水に重曹を少量入れて飲むとゲップや消化不良を和らげてくれる。また風呂に重曹を入れると循環を良くして美肌効果がある。黒豆と一緒に調理すると煮える時間が短くなる。また、肉を軟らかくし、魚の臭みを消す作用もある。このように重曹には中和作用、軟水作用、研磨作用、消臭・吸湿作用、発泡・膨張作用などが知られており、食品添加物として使われるだけでなく、その活用範囲は極めて広い。天然の重曹(シリンゴル重曹)はトロナ鉱石から採られるが、地球上でトロナ鉱石を産出する鉱山は少なく、現在、天然重曹の主産地は内モンゴルが中心となっている。

コブラエキス

2008年03月15日 | 健康
〇コブラエキス

 コブラはタイ、ビルマ、フィリピンなど東南アジア一帯に広く分布するコブラ科の毒ヘビで、全長2mにも達する。毒蛇は強精・強壮剤という考え方は世界共通のもので、それも毒性の強いものほど効果があると信じられているが、これまでの関心は専らヘビ毒に向けられており、強壮効果などは科学的に裏付けられているわけではない。したがって、コブラの食効は体験から推察するしかないが、古くからその肝臓や胆嚢は目の薬とされ、老眼も回復するといわれている。

 肉と骨だけの乾燥コブラ製品の分析結果(日本食品分析センター)ではタンパク質7.24%(スペルミンなどアミノ酸18種類を含む)、脂質1.9%、灰分19.4%(カルシウム5.7%、リン3%)、また100g中に鉄4.21mg、カリウム795mg、ビタミンB1・0.3mg、B2・0.39mgが含まれている。スペルミンは精子を作り、勃起中枢を刺激する。

 動物実験でスペルミンを投与すると性腺刺激ホルモンが分泌され、メスは子宮壁や膣壁が充血、オスは精液の産生が高まることが認められている。そのほかエネルギー代謝に関与する補酵素のコエンザイムQ10も含まれており、これらが精力増強に寄与すると考えられている。インドの研究者ブラガンザは、コブラの毒に制ガン作用があると発表している。

エスカルゴエキス

2008年03月14日 | 健康
〇エスカルゴエキス

 エスカルゴはマイマイ科の食用カタツムリ(蝸牛)で、フランス料理の前菜として馴染み深い食材である。味覚の楽しみもさることながら、カルシウム、コンドロイチン硫酸、タウリンといった注目の栄養素を多く含むところから、健康食品素材としても利用されている。カタツムリは中国薬草書の古典・本草綱目に消渇(糖尿病を指す)、丹毒、利尿、鼻血、耳鳴り、痔疾などへの効用が記され、わが国の民間療法では黒焼きを腎臓病に用いてきた経緯がある。

 エスカルゴエキスはカルシウムが100g中550mgと多いことが特徴である。また、ネバネバの主成分であるコンドロイチン硫酸は腎炎や肝疾患、動脈硬化などの医薬品成分として知られている。アミノ酸のタウリンは高脂血症、動脈硬化、不整脈などの予防に効果がある。健康食品素材の条件の一つに、それが入手しやすいということがあるが、その点、輸入に頼るしかなく品薄だったブルゴーニュ地方産のエスカルゴはハンディを背負っていた。しかし、大平章((財)高冷地農業研究所)らによって独特の人工飼育方が確立され、1994年には農水省の飼育許可も下りて供給が可能になったことで、おいしい健康食品が実現した。