健康食品辞典

サプリメント・健康食品・食材・食品・飲料などに利用されている素材・成分を中心に掲載しました。

海竜

2012年04月30日 | 健康
○海竜

 中国の南海の沿岸に生息するヨウジウオ科の魚トゲヨウジ(Syngnathoides biaculeatus)などを用いる。ヨウジウオは日本でも北海道以南に分布し、内湾の海藻の繁茂したところに生息している。ヨウジウオはタツノオトシゴ(海馬)と同じ科に属するが、タツノオトシゴより細長く、直線的な魚である。日本名のヨウジウオとは楊枝魚と書く。ヨウジウオ類には体調が40~50cmくらいもある種類から、20cm以下の種類もある。雄の尾部腹面に育児嚢があり、雌の産み落とした多数の卵を中に入れ、孵化するまで保護している。

 性味や効能はほぼ海馬と同様で、補腎・壮陽の効能がある。強壮薬として慢性病やインポテンツ、分娩促進などに用いる。効力は海馬よりやや劣るとされているが、倍ぐらいはあるという本草書もある。また焼いた海竜は夜尿症に効果がある。

艾葉

2012年04月28日 | 健康
艾葉(がいよう)

 日本各地に自生キク科の多年草ヨモギ(Aremisia princeps)またはオオヨモギ(A.montana)の葉を用いる。ただし一般の市場品としては全草も出回っている。ヨモギ属の種類は多く、中国の基原植物にはヨモギと近縁の艾(A.argyi)や野艾(A.vulgaris)が用いられている。沖縄ではフーチバーという名でニシヨモギ(A.indica)が野菜として利用されている。ヨモギはモチグサとも呼ばれ、春先の若芽を草餅や草だんごに用いている。

 ヨモギの葉の裏の繊毛はモグサの原料であり、ヨモギは「よく燃える木」、モグサは「燃える草」という説もある。モグサを日本では熟艾と書くが、中国では艾絨という。ヨモギの乾燥した葉を細かくつき砕いた後、篩にかけて滓を除き、綿のようになって残った柔毛を晒したものがモグサである。日本産のモグサは主としてオオヨモギからとっており、滋賀県伊吹山の名産である。

 葉の成分にはシネオール、αツヨーン、カフェータンニン、ビタミンA・B・C・Dなどが含まれる。漢方では温裏・止血・止痛の効能があり、腹部の冷痛、下痢、鼻血、吐血、下血、性器出血、帯下、胎動不安、腫れ物、疥癬などに用いる。とくに婦人科領域の止血薬や安胎薬としてよく知られている。

 民間では全草を煎じた液を腹痛や貧血、痔の出血に、根を清酒に漬けたヨモギ酒を喘息に、生の葉の汁を切り傷の血止めや湿疹、虫刺されの外用薬に、全草を浴湯料として風呂に入れて冷え性や腰痛、痔の治療薬にとさまざまに用いられている。

 近年、ヨモギで作ったローションに止痒作用があるとして透析患者やアトピー性皮膚炎などに用いられている。ちなみに欧米では近縁種のオウシュウヨモギ(A.vulgaris)がマグワートと呼ばれ、生理不順や分娩促進などに効果のあるハーブとして用いられている。

海浮石

2012年04月24日 | 健康
○海浮石(かいふせき)

 海浮石には好物と動物の2種類あり、火山の噴火によってできた軽石(浮石)と腔腸動物であるサンゴの仲間、多孔珊瑚石といわれる脊突苔虫や瘤苔虫の骨格(石花)を用いることがある。中国北部ではおもに珊瑚の石花を用い、日本や中国南部では鉱物の浮石を用いている。

 浮石はガラス質からなり、二酸化ケイ素SiO2を主成分としてアルミニウムやカリウムを含んでいる。石花の主成分は炭酸カルシウムである。漢方ではいずれも性味は寒・鹸で去痰・軟堅・通淋の効能があり、咳嗽や癭瘤(甲状腺腫)、瘰癧(頸部リンパ腺腫)、泌尿器疾患に用いる。山脇東洋は大黄・赤石脂・硝石などと配合した浮石丸を鼓腸(腹部膨満)の治療に用いた。

海風藤

2012年04月23日 | 健康
○海風藤(かいふうとう)

 関東地方以西、琉球諸島、台湾、朝鮮半島に分布するコショウ科の常緑つる性植物フウトウカズラ(Piper kadsura)のつる性の茎を用いる。風藤という中国の生薬名が日本の植物名になっている。よく似たコショウ科の植物にナントウゴショウ(P.wallichii)があり、そのつる性の茎葉の生薬名を石南藤あるいは南藤という。一説にはフウトウカズラは海風藤ではなく石南藤として用いられているともいわれる。

 フウトウカズラの果実はコショウに似ているが、辛味はなく香辛料にはならない。茎や葉にはフトキシド、フトアミドなどが含まれる。近年、中国南部産の海風藤から得られたネオリグナンのカズレノンはきわめて強いPAF物質(血小板活性化因子の拮抗物質)であることが報告されている。

 漢方では去風湿・通経絡・理気の効能があり、リウマチなどによる関節痛に筋肉痛、脳卒中後遺症による麻痺、打撲傷、慢性の咳嗽、喘息などに用いる。沖縄では神経痛、打撲傷ヘビの咬傷、腰痛などに用いている。

薤白

2012年04月21日 | 健康
○薤白(がいはく)

 中国が原産で、古くから日本に渡来したユリ科のラッキョウ(Allium valeri)の鱗形、つまり食用とする部分を乾燥したものです。ラッキョウは辣薤という漢名に由来するといわれ、英語でもRakkyoという。また日本の市場ではエシャロットとして出回っているものは、通常はラッキョウを若採りしたものの商品名である。中国ではチョウセンノビル(A.macrostremon)の鱗形も用いる。

 ラッキョウに含まれるフラボノイドには強力な抗酸化作用、食物繊維のフルクタンには血糖上昇の抑制作用、硫化アリルには血流改善効果などが報じられている。漢方では通陽・理気・止痛の効能があり、胸痛、腹痛、心窩部痞塞感、悪心、下痢などに用いられています。

 中国医学では「胸の陽を通じ、胸痺を開き、胃腸の気滞を下す」といわれている。胸痺とは狭心症や心臓喘息、肋間神経痛、気管支炎などによる胸痛症状のことである。そのほか感染性腸炎などによる腹痛、下痢に用いる。

 日本の民間療法でも食欲のないときに生のラッキョウに味噌をつけてたべるとか、腹痛に煎じて服用する方法がある。ただし服用量が多いと胃粘膜を刺激しすぎるので注意を要する。また切り傷や虫刺されに生のラッキョウをすりつぶしたものを外用する。

海馬

2012年04月20日 | 健康
○海馬(かいば)

 中国南部の沿岸に生息するヨウジウオ科のウミウマ属の魚、いわゆるタツノオトシゴを海馬という。別名水馬・竜落子などともいう。この仲間のヨウジウオも海竜として薬用に用いる。

 タツノオトシゴにはいくつかの種類があり、生薬の海馬も区別される。市販されているものではオオウミウマ(Hippocampus kelloggii)やサンゴタツ(H.japonicus)を海馬といい、最も一般的である。そのほか体調が7cm以下の幼少なものを海蛆あるいは小海馬、背中に刺突起のあるイバラタツ(H.histrix)を刺海馬という。

 海馬には男性ホルモン作用があり、マウスの発情期を延長する作用があると報告されている。漢方では補陽・強壮・活血の効能があり、インポテンツや遣尿、夜間頻尿、老人性咳嗽、難産、腹部腫塊などに用いる。疲労回復や精力減退、インポテンツ、老化防止などに用いる強壮薬にしばしば配合されている(海馬補腎丸)。また腹痛や難産のときに海馬の粉末を服用したり、皮膚化膿症の治療に海馬をスープとして服用すると効果がある。

艾納香

2012年04月19日 | 健康
○艾納香(がいのうこう)

 中国南部から東南アジアに欠けて分布するキク科のタカサゴギク(Blumea balsamifera)の葉および若枝を用いる。タカサゴギクの茎はやや木質化しており、葉を揉み砕くと竜脳の匂いがする。葉にはl-ボルネオールを主成分とする精油を含み、葉を蒸し器で加熱した昇華させ、得られた結晶を加工したものが艾片である。この精油から竜脳を製造することもできる。

 漢方では去風湿・温裏・活血の効能があり、関節痛や下痢、腹痛、生理痛などに用いる。また打撲傷や腫れ物に葉の汁や煎液を外用する。日本では薬用として余り用いないが、艾片は薫香料として知られている。フィリピンではサンボンと呼ばれ、利尿薬として心不全や浮腫に用いられるほか、尿路結石、高血圧、リウマチ、風邪、胃腸病などにも用いられている。

海人草

2012年04月18日 | 健康
○海人草(かいにんそう)

 熱帯から亜熱帯海域の近海に広く分布する紅藻類のフジマツモ科マクリ(Digenea simplex)の全藻を用いる。日本では紀伊半島から九州にかけての暖海域、特に南西諸島に多く自生する。高さは10~25cmくらいで次々の分岐したヒモ状の藻体は暗紫赤色で毛状に被われ、軟骨のように硬い。おもに珊瑚の上に生える海人草はしばしば鷓鴣菜と混同されているが、鷓鴣菜はコノハノリ科のセイヨウアヤギヌ(Caloglossa leprieurii)という海藻である。

 海人草は日本では一般に「まくり」と呼ぶが、このマクリには胎毒の治療薬の意味もある。かつて日本では生後間もない乳児にマクリを吸わせて胎毒を下す習慣があった。これは海人草に大黄・甘草を加えて煎じたものが一般的だったが、その後、甘草・黄連・紅花・大黄からなる甘連湯などもマクリとして有名になった。これには疳の虫を下すとか湿疹体質を予防するといった意味や、新生児黄疸の予防効果があったと考えられる。

 海人草にはアミノ酸のカイニン酸及びαアロカイニン酸が含まれ、回虫の中枢神経を興奮させて痙攣死させる作用がある。海人草は日本で古くより駆虫薬として知られていた。漢方で駆虫薬として知られる鷓鴣菜と効能はほぼ同じとされている。

 海人草は現在でも回虫や蟯虫などの寄生虫の駆除に用いられているが、特有の臭いがあり、味も不快である。カイニン酸の駆虫作用はサントニンよりも強く、サントニンと配合すると駆虫効果が強力になる。このためカイニン酸とサントニンとを配合した駆虫薬が家庭薬として市販されている(カイニン酸サントニン散)。

海桐皮

2012年04月17日 | 健康
海桐皮(かいとうひ)

 インド原産で沖縄県や中国南部、東南アジア、太平洋諸島などで広く植栽されているマメ科の落葉高木デイゴ(Erythrina variengata)の樹皮を用いる。デイゴという名は中国名の梯枯に由来する。幹や枝に太いトゲがあるため刺桐の名がある。

 デイゴは沖縄県の県花であり、赤い花が美しいので庭木や街路樹に用いられ、神戸市のフラワーロードにも多く見られる。また材質が軽いため琴や下駄、琉球漆器などの木地にも利用される。インドやマレーシアでは若芽を食用にする。薬用には春に樹皮を剥ぎ、トゲを除いて乾燥したものを用いる。

 樹皮にはアルカロイドのエリスラリンやアミノ酸、有機酸などが含まれる。水浸液には抗真菌・抗菌作用のあることが知られている。漢方では去風湿・止痛・止痒の効能があり、関節の腫痛、下痢、歯痛、疥癬などに用いる。特に関節リウマチなどによる腰や膝の疼痛やしびれ、下肢の炎症に用いる。

 慢性化した脚や腰の痛みには独活や牛膝などと酒に漬けた海桐皮酒が用いられる。また痛みのある患部を煎液で洗ったり、樹皮を粉末にしたものを貼付する。そのほか歯痛には煎液ですすいだり、疥癬や皮膚真菌症などに粉末を塗布する。なえトベラ科の常緑低木トベラ(Pittosporum tpbira)の中国植物名も海桐または海桐花という。

海てつ

2012年04月16日 | 健康
○海蜇(かいてつ)

 クラゲのひとつ。ビゼンクラゲ科のビゼンクラゲ(Rhopilema escukenta)を用いる。ビゼンクラゲ(備前水母)は、かつて瀬戸内海の児嶋湾に多く産したため、備前の名があるが、現在ではほとんど姿が見られない。

 ビゼンクラゲは古くから食用にされたクラゲであり、これを食塩と明礬で水分を除いた塩蔵品が市販されている。中国では傘の部分を海蜇皮、口腕部を海蜇頭という。これを水で戻したあと、細く切って酢の物にしたものが中華料理の前菜としてよく知られている。日本でも江戸時代に岡山藩から幕府へ毎年献上されていた。

 クラゲは生のままでは98%以上が水分であり、栄養価に乏しいがコリンを含むという報告もある。漢方では去痰・消積の効能があり、喘息や痰の出る咳、胃のつかえ、便秘、下肢の浮腫などに用いる。