健康食品辞典

サプリメント・健康食品・食材・食品・飲料などに利用されている素材・成分を中心に掲載しました。

淡竹葉

2013年11月30日 | 健康
○淡竹葉(たんちくよう)

 イネ科ササクサ(Lophatherum gracile)の全草を淡竹葉という。日本ではイネ科のマダケ(Phynostachys bambusoides)やハチク(P.nigra)の葉を和淡竹葉ということもある。淡竹葉は竹葉としばしば混同され、中国ではハチクの葉は竹葉という。

 ササクサは関東地方から西の日本各地、朝鮮半島根中国やインドに分布し、山地や湿地に生えている草丈40~70cmの雑草である。ササクサの名は葉が笹に似ているが草であることを意味している。

 葉にはトリテルペノイドのアルンドインやシリンドリンが含まれ、解熱作用、利尿作用が認められている。漢方では安神・除煩・利尿・通淋の効能があり、心火の熱を清するといわれている。心火とは炎症などによる発熱、脱水、神経の興奮などの症状で、煩躁、顔面紅潮、口渇、口内炎、鼻血、濃縮尿などがみられる。

 口内炎や口渇、尿路感染症などには生地黄・木通・甘草などと配合する(導赤散)。淡竹葉と竹葉には、いずれも清心除煩、利尿の作用があり、しばしば同様に用いられる。ただし、心熱を清する作用は竹葉のほうが、利尿作用は淡竹葉のほうが強いとされている。民間では糖尿病の予防に淡竹葉を煎じてお茶代わりに利用している。

丹参

2013年11月29日 | 健康
○丹参(たんじん)

 中国各地に分布するシソ科の多年草タンジン(Salvia miltiorhiza)の根を用いる。名医別録には赤参とあり、赤参や丹参の名は根が赤いことに由来する。この色は根にフェニンスラキノン系の色素であるタンシノンⅠ(紫褐色)、タンシノンⅡ(赤色)、クリプトタンシノン(橙色)などが含まれていることによる。日本ではあまり用いられないが、中国では単味の錠剤や注射薬なども開発されている。

 漢方では活血・通経・涼血・安神などの効能があり、月経不順、月経困難症、産後の腹痛などの婦人科疾患をはじめ、胸痛や腹痛、乳腺腫脹、癰腫、リウマチ、神経衰弱などに用いる。

 婦人明理論には「ただ一味の丹参散の主治は四物湯と同じである」と記されている。月経不順や産後の腹痛には丹参末として酒で服用する(丹参散)。心筋梗塞や狭心症の治療薬として知られる冠心Ⅱ号方には川芎・降香・紅花・赤芍などとともに配合されている。

 また中国では慢性肝炎や肝脾腫、甲状腺腫などの治療にも用いている。アルコールで浸出した丹参酊は神経衰弱や眩暈症などに用いる。近年では丹参の注射薬を慢性肝炎や心筋梗塞などの治療に応用している。

淡菜

2013年11月28日 | 健康
○淡菜(たんさい)

 軟体動物のイガイ目イガイ科の二枚貝、イガイ(Mytilus coruscus)などの貝類の肉を用いる。イガイは北海道南部から九州、朝鮮半島、中国北部沿岸に分布し、水深20mまでの岩礁に群生する。

 イガイはガラスガイ、ニタリガイなどの別名があり、殻長は13cmくらいで表面が黒っぽい二枚貝で、肉は美味しく、中国や日本で食用にされる。中華料理では淡菜または東海美人と呼ばれている。

 漢方では肝腎を補い、精血を益する効能があり、肺結核などの慢性病や体力低下、盗汗などに用いる。一方、ニュージーランド産の緑イ貝、モエギイガイ(Perna canaliculus)には抗炎症作用があり、リウマチ、関節炎、腰痛などの健康食品として市販されている。ちなみに近縁種のムラサキイガイ(M.galloprovincialis)はムール貝とも呼ばれ、フランス料理などで珍重されている。

タラ木

2013年11月27日 | 健康
タラ木(たらぼく)

 日本全土、朝鮮半島、中国東北部に分布するウコギ科の落葉低木タラノキ(Aralia elata)の根皮や樹皮を用いる。日本市場ではタラ木、タラ木皮、タラ根皮などという。

 ニホンではタラノキを漢字の楤木にあてるが、タラノキは中国名の遼東楤木に相当し、中国ではタラノキの根皮あるいは樹皮を刺老鴉という。中国産の楤木(A.chinensis)は楤木根、樹皮を楤木白皮という。

 タラノキの幹は2~4mくらいに直立し、樹皮の表面には多数の鋭い刺がある。タラの若芽(タラの芽)は独特の香味のある山菜としてよく知られている。

 タラノキの根皮や樹皮にはサポニンのα・βタラリンやエラトサイド、プロトカテキュ酸などが含まれ、エラトサイドには糖やアルコールの吸収を抑制する作用のあることが報告されている。日本の民間ではタラ根皮の煎じたものを「たら根湯」と称し、糖尿病の妙薬として用いられている。またトゲを煎じて服用すれば高血圧にもよいといわれている。

 中国の楤木皮はリウマチ痛風などによる関節痛に用いられるほか、胃潰瘍や腎臓病、神経痛にも使われている。また腎炎による浮腫や肝硬変による腹水、糖尿病などの民間療法としても用いられている。

 一方、タラノキの樹皮である刺老鴉は安神薬や強壮・強精薬として知られている。ちなみに美白作用のあるエラグ酸の原料に用いられているタラ(Tara)は、ペルー原産のマメ科の植物(Caesalpinia spinosa)のことである。

煙草

2013年11月26日 | 健康
○煙草(たばこ)

 南米のボリビア南部のアンデス山地を原産とするナス科の多年草タバコ(Nicotiana tabacum)の葉と茎を用いる。現在では中国、アメリカ、インドなど世界中で広く栽培されている。

 紀元前からすでに中米のインディオの間ではタバコの喫煙が行われ、700年ころにはユカタン半島のマヤ族などにも伝わった。15世紀末、コロンブス一行はサンサルバドル島で原住民の喫煙を知り、1518年にはタバコの種子がスペインへともたらされた。

 タバコ(Tobacco)という語源は原住民が喫煙に用いていたパイプの名に由来し、属名のニコチアーナというのは種子をフランスに伝えたフランス大使のジャン・ニコーの名に由来する。日本へは16世紀末の戦国時代に南蛮船により伝えられ、九州で栽培されるようになり、喫煙の習慣は急速に広まった。

 かつてインディオにとってタバコは宗教的な儀式の道具であり、またタバコの煙によって病人の体に入っている「病気の精霊」を追い出すものと考えられていた。ヨーロッパでも喘息、頭痛、痛風などの万病の霊薬として伝えられたが、次第に嗜好品として広がっていった。

 タバコの葉の成分はアルカロイドのニコチンのほか、ノルニコチン、アナバシンなどが含まれている。ニコチンは交感神経次いで副交感神経を興奮させるが、のちに抑制する。中枢神経に対しても全体を興奮させるが、のちに抑制が生じる。

 急性ニコチン中毒の症状では嘔吐、腹痛、下痢、流涎、冷汗、眩暈、脱力発作、精神錯乱がみられ、さらには失神、痙攣を生じて呼吸麻痺で死亡する。ニコチンは毒性が強いため医療には用いられないが、ニコチンの硫酸塩は殺虫剤として農薬などに利用されている。

 一般にタバコの喫煙は抗ストレス作用があり、一時的に精神活動を活発にする効果があるといわれている。しかし煙の中にはピリジン、タール様物質、フェノール様物質などの化合物が含まれ、タバコ肺癌、喘息、咽喉頭癌、慢性閉塞性肺疾患、虚血性心疾患、バージャー病などの疾患との因果関係が指摘されている。

獺肝

2013年11月25日 | 健康
○獺肝(たっかん)

 ほぼ世界全域に生息するイタチ科の動物カワウソ(Lutra lutra)の肝臓を用いる。かつて日本各地にニホンカワウソが生息していたが、毛皮はラッコに似ていて良質のために乱獲され、1979年に高知県の須崎で目撃されたのを最後に、現在では絶滅したと考えられている。

 体長約70cmくらい、尾の長さは40cmくらいの細長い茶褐色の動物で、脚には水かきがある。川や湖の岸辺に生息し、半水生動物で、夜間活動して魚介類や小鳥、ネズミ、カエルなどを食べている。薬材の肝臓は6片に分かれた黒褐色のもので、ひとつが5cmくらいである。

 漢方では滋陰清熱・止咳・止血の効能があり、虚労や結核、慢性疾患などによる発熱、盗汗、咳嗽、喘息、下血などに用いる。金匱要略では獺肝一味をあぶって粉末にしたものを肺結核に用いている(獺肝散)。

竹蜂

2013年11月23日 | 健康
○竹蜂(たけばち)

 中国の華南地方や台湾に分布するミツバチ科のタイワンタケクマバチ(Xylocopa dissimilis)の乾燥した全虫体を用いる。このクマバチは竹に営巣するもので、竹の各室に花粉と蜜を貯えて産卵し、冬には巣内で越冬する。

 このクマバチを秋から冬に採取するが、まずハチの群れが竹の中にいるときに穴を塞ぎ、切り倒したものを火で燃やし、ハチが死ぬのを待って竹を割って取り出す。2~4匹をあぶって乾燥し、粉末にして服用する。

 漢方では清熱解毒・定驚の効能があり、咽頭炎や扁桃炎、歯痛、口内炎、のぼせ、小児のひきつけなどに用いる。

沢蘭

2013年11月22日 | 健康
○沢蘭(たくらん)

 日本各地から東アジアにかけて分布するシソ科の多年草シロネ(Lycopus lucidus)の開花期全草を用いる。シロネの根は地筍という。根が白いためにシロネといい、春に肥大した根を掘り出して食用にすることができる。

 シロネは水辺や湿地に生え、葉はキク科のフジバカマ(Eupatorium japonicum)に似ていることから沢蘭といわれるが、香りはない。古くから蘭草としばしば混同され、フジバカマやサワヒヨドリ(E.lindleyanum)を沢蘭にあてている本草書もある。中国でも地方によってはフジバカマなどが沢蘭と呼ばれて用いられている。

 全草には精油、配糖体、タンニン、サポニンなどが含まれ、強心作用や血行促進作用が知られているが、詳細は不明である。漢方では活血・調経・利水消腫の効能があり、瘀血による月経の遅れや生理痛、産後の浮腫などに用いる。

 婦人科の常用薬であり、月経不順や生理痛には香附子・当帰などと配合する(四制香附丸)。また打撲による内出血や捻挫、腰痛などにも効果がある。腫れに沢蘭の生の葉をすりつぶして塗布する民間療法もある。

沢瀉

2013年11月21日 | 健康
○沢瀉(たくしゃ)

 中国東北部や朝鮮、日本の北部に分布し、沼沢地や浅い水中に生えるオモダカ科の多年草サジオモダカ(Alisma plantago-aquatica)の塊茎を用いる。北海道や信州で栽培されているが、市場品のほとんどは中国などからの輸入品で、四川省の川沢瀉や福建省の建沢瀉などが有名である。

 沢瀉という名は水中(沢)にあって水を弾く性質(瀉)があることに由来するとか、薬の効能が「水を去ること(瀉)」に由来するといわれている。水面から出た葉が人の顔のように見えることからオモダカの名がある。

 サジオモダカの根茎には多量のデンプンやアミノ酸、レシチンのほか、トリテルペノイドのアリソールA・B・Cなどが含まれ、利尿作用やコレステロール低下作用、血糖降下作用などが報告されている。

 漢方では利水・清熱の効能があり、体内に水分が停滞した浮腫や胃ない停水、尿量の減少、排尿障害、嘔吐、下痢、口渇などの症状に用いる。

沢漆

2013年11月20日 | 健康
○沢漆(たくしつ)

 日本各地、アジア、ヨーロッパに分布するトウダイグサ科の越年草トウダイグサ(Euphorbia helioscopia)の全草を用いる。中国では開花期に採り、根を除いて用いる。枝先に杯状の花序が多数密生する様子を、昔の灯台にみたててトウダイグサという。

 茎や根から出る白い乳液に触れると炎症や水泡などの皮膚炎や結膜炎などがおこり、誤って内服すれば咽が腫れて嘔吐や腹痛、下痢となり、さらには眩暈や痙攣の症状もみられる。ただし、死亡するほどは強くない。

 峻下薬の巴豆や甘遂、大戟、蓖麻子はいずれもトウダイグサ科の植物である。日本ではトウダイグサの根茎をと称し、大戟の代用にしたこともある。全草にはケルセチンやトリヒマリンなどのフラボノイドなどが知られているが、有毒成分は明らかではない。

 漢方では利水・化痰・散結の効能があり、浮腫や腹水、瘰癧(頸部リンパ腺腫)などに用いる。効能は大戟とほぼ同じであるが、作用は緩和であり、毒性も大戟より弱い。

 腹水や全身性の浮腫には単独あるいは大棗と併用して用いる。全身の浮腫とともに咳嗽や呼吸困難のみられるときには紫苑・白前などと配合する(沢漆湯)。近年、中国ではリンパ節結核や食道癌などに対する臨床研究がされている。日本の民間では乳汁を疣贅に塗る治療法がある。