健康食品辞典

サプリメント・健康食品・食材・食品・飲料などに利用されている素材・成分を中心に掲載しました。

白花蛇

2014年09月29日 | 健康
○白花蛇(びゃっかだ)

 中国南部、台湾に生息するクサリヘビ科のゴホダ(Agkistrodon acutus)、コブラ科のアマガサヘビ’Bungarus multicinctus(などの毒蛇の内臓を除去した全体を用いる。

 五歩蛇は別名を尖吻腹ともいい、体長約150cmで、全体が灰褐色で幾何学的な濃褐色の斑紋があり、頭は大きく三角形になっている。五歩蛇は中国南部に分布し、山地の森林の中に生息して鳥や小型の哺乳動物を捕食する。生薬名をとくに蘄蛇、あるいは大白花蛇ともいう。

 銀冠蛇は体長約1mで背中は白と黒の帯状の斑紋があり、頭は小さく、銀冠蛇は中国南部の平原や山地に生息し、夜行性でカエルやネズミ、魚などを捕食する。幼蛇を生薬として用い、小白花蛇ともいう。また広東や広西省では無毒なヘビ科の広花錦蛇(Elaphe moellemdorffi)を白花蛇として用いている。

 五歩蛇の唾液腺には強烈な出血性・溶血性の毒が含まれ、トロンビン様の物質、エステラーゼおよび数種の抗凝固物質が報告されている。銀冠蛇の唾液腺には強烈な神経毒が含まれ、αブンガロトキシンが知られている。

 漢方では虚風湿・定驚の効能があり、リウマチなどによる関節の疼痛や麻痺、しびれ、痙攣、皮膚疾患などに用いる。関節痛やしびれ、麻痺などに用いる活絡丸や舒筋活絡丸などに配合されている。

白僵蚕

2014年09月24日 | 健康
○白僵蚕(びゃっきょうさん)

 カイコガ科のカイコの幼虫が白僵菌に感染し、白く硬直して死んだものを乾燥して用いる。養蚕は4000年以上前から中国で始められ、日本にも3世紀までには伝えられたとされている。繭を取り去った後のカイコの蛹は、古くから養蚕している地方で食用にもされ、現在でも長野県で蛹の佃煮の缶詰が作られている。

 カイコの病気に幼虫の体内にカビの一種である白僵菌が寄生する硬化病(オシャリ病)というのがある。湿度が高いときに発病するといわれ、これに冒されると幼虫は食欲が低下し不活発となり、体色が赤味をおびて死んでしまう。死んだカイコは硬くなり、翌日頃から表面に白い菌糸が現れ、やがて全体が白い糸で覆われてしまう。この幼虫の死体を白僵蚕という。

 養蚕家の最も恐れている病気であるが、中国では菌をカイコに接種して白僵蚕を作っている。また近年、サナギ(蚕蛹)に接種した白僵蛹を白僵蚕の代用品として用いることもある。

 体表の白い粉にはシュウ酸アンモニウムが含まれ、白僵蚕自体にはバッシアニンという黄色色素が含まれている。薬理学的には鎮痙・催眠作用が知られている。漢方では解表・止痙・化痰の効能があり、風熱による発熱や頭痛、咽痛、風痰による痙攣や卒中、風疹による搔痒感などに用いる。

 顔面の丹毒や扁桃炎、耳下腺炎などには薄荷・牛蒡子などと配合する(普済消毒飲)。癲癇などによる痙攣や意識障害、小児のひきつけには沈香・天麻などと配合する(沈香天麻湯)。中風による顔面神経麻痺や半身不随などには紅花・棕欄葉などと配合する(強神湯)。脳卒中の後遺症や手足のしびれ、関節の痛みなどに烏薬・麻黄などと配合する(烏薬順気散)。なお、カイコの糞は蚕沙、カイコの脱皮は馬明退と称して生薬に用いる。

びゃくれん

2014年09月18日 | 健康
○白蘞(びゃくれん)

 中国原産のブドウ科のつる性落葉低木カガミグサ(Ampelopsis japonica)の根を用いる。日本には江戸時代に薬用として渡来したものだが、カガミグサの学名にはヤポニカとある。野ブドウの仲間で、秋になると白、紫、青など色とりどりの球形の液果がなり、美しいため観賞用にも栽培されている。

 根は紡錘形に肥厚し、中が白いことから白蘞の名がある。根の成分には粘質やデンプンが含まれるが、詳細は不明である。また水製エキスには抗真菌作用がある。

 漢方では清熱解毒の効能があり、皮膚化膿症や腫れ物、火傷、ただれに用いる。腫れ物や打撲傷、火傷の解毒や止痛には煎じて内服にしたり、患部に粉末にした外用する。金匱要略では虚労による諸症状や関節や腰の痛みに用いる薯預丸の中に配合されている。

白扁豆

2014年09月16日 | 健康
○白扁豆(びゃくへんず)

 熱帯原産とされるマメ科のつる性一年草フジマメ(Dolichos lablab)の白色種子を用いる。フジマメの花は扁豆花、守皮は扁豆衣といわれ、薬用にされる。

 花がフジの穂と似ているためにフジマメといわれ、たくさん採れることから千石豆とも呼ばれている。また関西では隠元禅師が日本に持ってきたとしてインゲンマメとも言われているが、本当のインゲンマメは別の植物である。独特の香りがあり、おもに若さやを食用とする。

 種子にはスチグマステロールやチロシナーゼが含まれている。また2種の赤血球凝血素が分離され、ラットに対する成長抑制や肝障害なども報告されている。漢方では解暑・健脾・止瀉の効能があり、夏の消化不良、嘔吐、下痢、食欲減退などに用いる。白扁豆は補脾であっても、化湿であっても燥でないので脾虚で湿のあるときに適する。

 慢性の胃腸虚弱による食欲不振、下痢、胃部不快感などに人参・白朮・茯苓などと配合する(参苓白朮散)。夏風邪などによる嘔吐や下痢などの胃腸症状には香薷・厚朴と配合する(香薷散)。大病の後で補剤をはじめるときにまず白扁豆を用いて胃腸を整えるとよい。また酒毒や薬物の毒に対する解毒作用もある。「越後の毒消し」で知られ、食中毒や腹痛に用いられる毒消丸にも配合されている。

 一般に消暑や解毒には生を用い、健脾には炒して用いる。扁豆花や扁豆衣も同様の効能があり、夏の下痢や嘔吐などに用いられる。

白附子

2014年09月12日 | 健康
○白附子(びゃくぶし)

 白附子は附子のひとつとして考えられると同時に、異なる基原を有する生薬である。朝鮮半島から中国の黒竜江・吉淋・遼寧省などに分布するキンポウゲ科の多年草キバナトリカブト(Aconitum coreanum)の塊根を関白附という。また河南、陝西、四川、湖北省などに産するサトイモ科の多年草、独角蓮(Typhonium giganteum)の塊茎を禹白附という。両者はまったく異なる植物であるがいずれも白附子の基原植物とされている。

 禹白附にはシトステロールやシュウ酸カルシウムなどが含まれ、なるめと舌がしびれる。関白附にはヒパコニチンなどが含まれ、辛くて舌が麻痺する。漢方の効能はほぼ同じであるとされ、風痰を除き、寒湿を逐う作用があるとされ、脳卒中、顔面神経麻痺、眩暈、片頭痛、痙攣などの痰によって管が塞がった症状やリウマチなどの寒湿による関節の疼痛などに用いる。

 白附子には薬勢を上行させる性質があり、とくに顔面部の症状に適しているといわれている。関白附は寒湿を除く作用や止痛作用が強く、禹白附は風痰を除く作用が強く、とくに痙攣の治療に適する。この禹白附の効能は天南星に類似している。

 顔面神経麻痺や脳卒中による半身不随には僵蚕・全蝎と配合する(牽正散)。破傷風の痙攣症状に天麻・天南星などと配合する(玉真散)。そのほか白なまず(白癜風)や湿疹、掻痒症などに外用する。

白部

2014年09月09日 | 健康
○白部(びゃくぶ)

 中国原産のビャクブ科のつる性多年草ビャクブ(Stemona japonica)の塊根を用いる。ビャクブは江戸時代に薬草として日本に渡来したものであるが、学名をステモナ・ヤポニカという。そのほか同属植物のタチビャクブ(S.sessulifolia)やタマビャクブ(S.tuberosa)などの塊根も用いられる。いずれも紡錘形に肥厚し、数個が集まっている。

 根茎にはアルカロイドのステモニン、ステモニジンなどが含まれ、有毒である。これらアルカロイドは呼吸中枢の興奮を抑制し、多量だと呼吸障害を起こす。また煎液には抗菌作用、真菌抑制作用があり、エタノールエキスにはシラミなどに対する殺虫作用があり、急性や慢性咳嗽、百日咳にも使用される。

 漢方では特に「肺癆咳嗽の要薬」として知られている。風邪などで咳が長く続くときには紫苑・白前・桔梗などと配合する(止嗽散)。肺結核などの肺陰虚で咳が続き、血痰のみられるときには生地黄・熟地黄・阿膠などと配合する(月華丸)。また回虫症や蟯虫症に対して内服、あるいは蟯虫には煎液益を注腸する。シラミや疥癬、トリコモナスなどでは煎液を局部に塗布する。

 かつて日本でも百部の煎じた液にヒモを浸したものを「しらみひも」と称し、腹に巻いてシラミやノミの予防に用いていた。

百草霜

2014年09月08日 | 健康
○百草霜(ひゃくそうそう)

 柴や雑草を燃やした後、かまどや煙突の内部に付着した煤を用いる。百草とはさまざまな草のことをいい、霜とは焼いた後の灰のことである。一般に炭末には吸着作用、包皮作用があり、下痢の際の粘液や腸管内毒素を吸着したり、潰瘍面や創傷面を被い、腐敗産物を吸着し、刺激を防ぎ、組織の再生を促進する(薬用炭)。

 漢方では止血・止瀉・消積の効能があり、吐血、鼻血、子宮出血、帯下、消化不良(食積)などに内服および外用薬として用いる。日本の家庭薬では神経痛、リウマチなどの外用薬に配合されている。

 ちなみに木曽の御獄山とゆかりのある有名な伝統薬に「お百草」というのがあるが、これし黄柏を主薬としてゲンノショウコやセンブリ(当帰)、厚朴、白朮などを配合したものであり、かつてはコマクサも配合されていた。霊薬ということであるが、胃腸薬や解毒薬として利用されている。

白薇

2014年09月03日 | 健康
○白薇(びゃくび)

 日本の全土、中国、朝鮮半島などに自生するガガイモ科の多年草フナバラソウ(Cynachum atratum)の根を用いる。そのほか中国東北部に自生する蔓生白薇(C.versicolor)の根も用いる。

 フナバラソウは黒紫色の花が咲き、裂けた果実の形が舟に似ていることから船腹草の名がある。茎を切ると白い乳汁が出る。蔓生白薇の花は最初黄緑色だが次第に黒紫色に変化する。白薇の名は根が微細で白いことに由来するといわれ、古来より同じガガイモ科の白前と混合されることがしばしばあった。

 根にはキナンコールや強心配糖体、精油が含まれている。漢方では清虚熱け除煩・利尿の効能があり、結核や術後などの発熱、煩躁、膀胱炎などに用いる。発熱では実熱にも虚熱にも用いられ、とくに産後の発熱によく用いられる。

 陰虚体質の感冒症状には玉竹・豆豉などと配合する(加減葳蕤湯)。産後や授乳期の発熱で、煩熱や嘔気があり、薬を受け付けないときに竹皮・石膏などと配合する(竹皮大丸)産後の衰弱によりふらつきや卒倒、発熱、発汗などのみられるときには当帰・人参・甘草などと配合する(白薇湯)。出産前後の尿失禁や排尿障害に白薇と白芍を粉末にしたものを酒で服用する。