健康食品辞典

サプリメント・健康食品・食材・食品・飲料などに利用されている素材・成分を中心に掲載しました。

紅麹について

2005年10月31日 | 健康
○紅麹

 清酒・醸造酢・味噌・醤油などの発酵食品に用いられる麹菌は、黄麹と呼ばれる酒類だが、中国や台湾では紅色をした紅麹が、紅酒、紅老酒、紅乳腐などの醸造に古くから用いられてきた。

 紅麹は黄麹より繁殖力が弱く管理が難しいため、日本では沖縄の加工豆腐に使われる程度で、1970年代初めに発ガン性の疑いが指摘された合成着色料に代わる天然食用色素として利用されるまで、それほど活用例はなかった。

 もともと紅麹は本草網目に「消食活血、健脾操」(消化を助け決行を良くし、内臓を賦活し胃を軽快にする)と記された漢方薬でもあるが、1980年代以降、日本での機能性食品としての見直しが始められ、コレステロール合成阻害物質、ガンの予防効果、特に顕著な血圧降下作用、血圧上昇抑制作用が相次いで発見された。そしてバイオ技術による量産体制の確立と平行して血圧調整の有効成分γ-アミノ酪酸が確認され、1996年に関与する成分として特定保健用食品も誕生している。

 現在、紅麹を使った清酒・醸造酢・味噌など多彩な発酵食品がラインナップされているが、発酵食品以外でも、健康機能性を付加することを目的として、様々な一般食品にも使われ始めた。紅麹で健康機能性を強調した食品は、どれもコレステロールや血圧が気になる人をターゲットにしたものが多い。

 製油大手のホーネンコーポレーションは、食用油の原料に紅麹エキスを加え、コレステロールの体内合成を抑制する作用を持たせた機能性食用油を販売している。

 紅麹王

ダッタンそばについて

2005年10月30日 | 健康
○ダッタンそば

 ソバが栄養価の高い穀物であることはよく知られている。成分中13%にも達するタンパク質は必須アミノ酸のバランスがよく、70%を占める炭水化物にしても他の穀物のデンプンより糖化度が高い。ミネラル類も、とくにリンとカリウムが際立って多く含まれている。そして何よりも特徴的なのは、ルチンの存在である。ルチンは抗酸化物質として注目されているフラボノイド(植物の色素成分)の一つで、血中の糖・コレステロールを減らし、血圧を下げる作用があることが知られている。また、体内でケルセチンに変化して抗腫瘍効果を発揮したり、痴呆症の改善にも寄与することが明らかになっている。

 近年、ダッタンソバ(韃靼蕎麦)が一躍脚光を浴びているのは、このルチンが普通のソバに比べて10倍以上も含まれていることがわかったからである。わが国で通常一般に食べられているソバは普通ソバで「甘そば」と呼ばれるものだが、ダッタンソバは「苦そば」といわれ、粉を口に入れるとほのかな苦みを感じる。韃靼ソバの「ダッタン」は学名のタータリクムに由来し、タタールの中国名が「韃靼」であることからこう名付けられた。主な生産地は中国の雲南省と四川省の標高2000~3000m の山岳地帯である。

 栄養成分について、四川省産の苦そば(ダッタンソバ)と甘そば(普通ソバ)を比較した中国商業部食物化学研究所の分析(1989年)によると、パーセント値の比較で、粗タンパクは10.5対6.5、粗脂肪は2.15対1.37、デンプンも72.61対65.9と、いずれも苦そばの方が高い値を示しているが、とりわけルチンは甘そばが0.095~0.2%であるのに対し、苦そば2.5%と10倍以上である。ビタミンB群、ミネラル類、必須アミノ酸についても、総じて苦そばは含有量が多い。

 これが何を意味するかといえば、その栄養価のバランスや含有量の違いが、日常的に食べるものであるからこそ健康の維持に結果的に大きく響いてくる、ということである。ダッタンソバを常食する中国少数民族に、高脂血症、高血圧、糖尿病、心筋梗塞が非常に少ないという中国における疫学調査は、北京私立北京中医医院、北京同仁病院、北京飲料科学研究所などの共同研究により、動物実験ないし入院患者に対する臨床試験によって新たに確認され、これら降糖作用・降圧作用・降脂作用は「ダッタンソバの3降作用」として公にされている。

韃靼そば茶

ダイエット素材について(1)

2005年10月29日 | 健康
○α-リポ酸について

 別名、チオクト酸。野菜や肉にも含まれる成分で、糖分からエネルギーを作り出す家庭で必要な栄養素。米国では、糖尿病対策のサプリメント成分として人気。糖分の代謝を促進するほか、糖分を細胞内に取り込むのに必要なホルモンである。インスリンの働きをよくすると考えられている。糖の代謝に必要なビタミンB群やC、Eと併用すると効果が高まる。日本では、肉体疲労時の栄養補給を目的とした医薬品として使われ、2004春から健康食品への配合が許可された。

 α-リポ酸50&50

○カルニチンについて

 脂肪からエネルギーを取り出すために必要な成分。L体とD体という2種類の構造(光学異性体)があり、もともと体内に存在するL体のカルニチンだけに健康効果かある。以前はビタミンBtと呼ばれた。食品では羊肉などの赤肉にたくさん含まれており、体内で、アミノ酸のリジンとメチオニンから合成されるため、普通は不足することはない。ただし、鉄とビタミンC、ナイアシン、ビタミンB6が足りないと、合成の効率が落ちるため不足することがある。また、妊娠中や授乳中は必要量が増える。狭心症や心不全などの心臓病の、症状を軽くする効果が臨床試験で確かめられている。2002年に、特にL-カルニチン不足ではない人でもダイエットに効く成分として大人気になった。日本では慢性胃炎などの治療薬として使われているが、2002年11月から食品に配合できることになり、様々な配合食品が販売されている。

 L-カルニチン

○ファセオラミンについて

 白インゲン豆に含まれる成分。炭水化物の消化酵素の働きを弱め、糖を吸収しにくくする。ご飯やパン、麺類など、炭水化物の多い食事をするときに飲んでおくと、食べたものがエネルギー源として体内に取り込まれるのを阻害する。ダイエット成分として、サプリメントに配合される。抽出エキスを1日500ml、1ヶ月飲み続けると、体重が約4%、体脂肪量が約10%減ったという研究報告がある。

  ファセオラミン1600ダイエット

フランス海岸末について

2005年10月28日 | 健康
○フランス海岸松樹皮

 フランス海岸松は南仏の大西洋沿岸のみに生育する海洋性の松だが、この樹皮から得られる抽出物には40種類を越えるフラボノイドが含まれており、半世紀以上も前からヨーロッパを中心に抗酸化物質として活用されてきた。現在は、一般にピクノジェノール、フラバンジェノール(いずれも商権)という名称で世界的に知られている。

 海岸松エキスには数多くのフラボノイドが含まれているが、中でも注目が高いのはプロアントシアニジンで、通常のフラボノイドに比べて溶解性が高いため、抗酸化物質として即効的に効くという特徴がある。また、多数の有機酸からなる機能成分が連携して高いSOD活性を示すことが明らかにされている。このことから、海岸松エキスは毛細血管を保護し、動脈硬化・心筋梗塞・脳梗塞・静脈瘤などを予防する効果のあることが明らかにされ、多くの研究者によって報告されている。

 海岸松エキスにはこのほか、月経困難症・生理痛・子宮内膜症・冷え性・更年期障害など、女性特有の疾患を劇的に改善する効果のあることが、日本の医師や研究者によって明らかにされている。1998年に金沢市で開催された日本補完・代替医療学会の代1回学術集会で、医師の小濱隆文(恵寿総合病院)、金沢大学医学部の鈴木信孝らによって海岸松エキス(ピクノジェノール)による886例の臨床予備治験の結果が報告され医療関係者の注目を集めた。小濱はその翌年の発表を行い、子宮内膜症に対してピクノジェノールの投与により、重度の月経痛と骨盤痛が軽減したこと、子宮内膜症以外の原因による月経痛・骨盤痛も軽減されたことを報告している。

 ピクノジェノールスキンエイド    フラバンジェノールプラス

ガジュツについて

2005年10月27日 | 健康
○ガジュツについて

 ガジュツ(莪朮)はインド原産のショウガ科の多年草(学名クルクマ・ゼドアリア)で、南アジア一帯で広く栽培され、日本では沖縄県、それに屋久島、種子島で良質品を産する。ウコンの仲間で、里芋に似た直径4~5cmの卵形の根茎の断面は周辺が淡黄色、中央部が淡い紫色を帯び、特有の芳香と非常に強い特徴的な苦味を持っているが、それを薄く切って乾燥させ粉末にしたものが生薬として用いられている。その形と固さと顕著な薬効とによって、わが国では古くから弘法大師の石芋とも呼ばれたりした。

 中国薬物書の古典「本草網目」は主治として消火器病、感染症、血の道症、腫瘍、小児喘息などを上げて紙幅を割き、古今の彼我の文献には健胃、駆風、鎮痛、駆瘀血、通経薬として薬効顕著であることが紹介されており、現行の日本薬局方にも薬草として収められ、ガジュツを主剤とした漢方薬もあるが、それだけに有効成分とその薬理作用に関する研究も盛んに行われ、全量の約1~1.5%に当たる精油成分からは多くはモノテルペン類(シネオールやカンファーなど)、セスキテルペン(アズレンなど)、クルクミン類など微量成分を含めると100種近くが見出され、それらの作用機序が解明されてきた。

 芳香性があるため飲んだときに胃がすっきりとし、特有の苦味(モノテルペン類の配糖体)が刺激となって胃液の分泌を促し、同時に精油成分のシネオールも唾液や胃液の分泌を促すので、消化力が高まるという健胃効果をもたらす。さらにシネオールには胆汁の分泌を促す作用があって消化を助けるとともに、血中コレステロールを下げる働きもする。また、相当強い殺菌・防腐作用を持っており、同様の作用はカンファーという成分にも備わっている。カンファーはカンフル剤の主成分で強い強心作用がある、というように、多様な成分の相乗効果によって生じる非常に多岐にわたる効果が相次いで報告され、マウスの実験で、ガジュツのエキスに抗腫瘍作用、肝障害の発生を抑える作用があることを認めている。また水野修一は臨床試験によって、胃潰瘍・十二指腸潰瘍・慢性萎縮性胃炎の元凶とみられているヘリコバクター・ピロリ菌が、ガジュツの投与によって胃内から消滅することを確認している。

 その他の慢性肝炎・膵炎、胃潰瘍、不整脈、高血圧、高血糖といった重い症状以外にも、ニキビ、シミ、公衆、肩こり、腰痛、冷え性、脱毛症、夜尿症といった日常的な不調に対する効果も多数公表されるとともに、ウコンとの併用による相乗的な事象も報告されている。

 ガジュツ粒

ケフィアについて

2005年10月26日 | 健康
○ケフィア

 ケフィア(ケフィールとも)の名は我が国ではヨーグルトほどポピュラーではなかったが、コーサカス地方で常用される歴史的な発酵乳飲料(乳酸菌飲料)で、近年その健康への効果が再認識されて一挙にクローズアップされてきた。ちなみにヨーグルトは主に牛乳に乳酸菌(ブルガリア菌、テルモフィルス菌、ラクチス菌など)を加えて発酵するが、ケフィアは現地では羊、山羊、牛の乳を一度過熱、冷却した後、ケフィア菌(種菌)を加えて一昼夜発酵させる。するとケフィアグレインとも呼ばれる黄色のカリフラワー状の塊ができるので、そこへ数倍量の加熱殺菌済み冷却乳を添加し、2~3日してから飲むことが行われている。

 ケフィア菌は乳酸桿菌、乳酸球菌などの乳酸菌、および特殊な乳糖発酵酵母からからなるが、その発酵過程はまず乳酸菌発酵によって酵母の繁殖に適した酸性条件が作られ、次いで酵母によるアルコール発酵でケフィアに酸味と泡立ちが与えられる。

 類似の発酵乳に中央アジアの遊牧民が馬乳から作るクミスがあり、腸疾患や貧血などへの薬効が認められているが、ケフィアについては早くも1877年にロシアの学者が胃腸病、便秘、下痢、糖尿病への効果を報告、1908年にはロシア生まれのフランス人でノーベル生理医学賞を受賞したメチニコフが「ケフィアは腸内の悪玉菌を抑え、免疫能や生理機能を高め、動脈硬化を改善し、老化を防止する」という主旨の長寿論を発表した。この頃からコーサカス地方の住民が長寿であることに強い関心が払われるようになったが、特に1970年代以降は世界的に研究が進み、アメリカ、旧ソ連、ハンガリー、日本などで相次いでケフィアの血中コレステロール低下作用、心臓・腎臓病の改善、肥満の解消、肝臓の再生機能の賦活、ウイルス感染抑制作用、ガン細胞増殖の抑制などの研究発表がされた。

 制ガン効果については日本国立予防衛生研究所、久保道徳(近畿大学薬学部)、九州大学農学部など日本の研究に見るべきものがある。久保はICR系のマウスのエールリッヒ固形腫瘍に対するケフィアの抗腫瘍作用を経口投与で検討し、有効であることを確認した研究論文の中で、「これらの抗腫瘍作用は、腫瘍作用に対する直接作用ではなく、免疫系、特にマクロファージを介した作用であることが明らかにされつつある」と述べ、「ケフィアに抗腫瘍作用が経口投与で認められたことは意味深い」と結んでいる。

 なお、ケフィア菌(種菌)を入手して自分で加えて発酵させるのがヨーグルトキノコだが、よい菌を選び、作り方と管理法に慣れないと雑菌が混入して腐敗、食中毒を起こす恐れがあるので十分注意しなくてはならない。

マリアーナケフィール

エゾウコギについて

2005年10月25日 | 健康
○エゾウコギ

 エゾウコギ(蝦夷五加木)は、高麗人参や三七人参と同じウコギ科の落葉低木で、本場は中国北部とシベリアである。エゾウコギは、その名からもわかるように日本産(北海道)のものの和名である。中国では刺五加、ロシアではエレウテロコックと呼ばれている。

 中国では昔から、同類(五加、五加木)のウコギの樹皮を用いた五加皮と呼ばれる生薬があり、強壮、強精、鎮痛に効ありとされているが、エゾウコギはその一種。

 日本では、わずかに北海道でしか産出しないこともあって、今まで一部の人に知られるだけで、大衆には程遠い存在であった。近年、精力増強や性機能強化という効能で知られるようになったが、後述するように全身の活力を高めるなどの働きがあるといわれている。

 ロシアや中国ではエゾウコギの研究が盛んで、その発表によれば次のような効能があるという。 ①疲労回復、強壮、体質強化 ②自律神経失調症及び神経衰弱に効果。神経の興奮を沈静化する。③性機能の回復と強化 ④循環器系疾患に効果。低血圧、高血圧の改善、血液中のコレステロール値を下げ、動脈硬化、心臓病を予防する。 ⑤抗ガン効果。ガンの発生、発達、誘発、転移を抑える。 ⑥その他、糖尿病、慢性気管支炎などにも有効。

 こうした薬効・食効がわかってから、旧ソ連で一般の人々の健康維持や運動選手の能力アップ、要人や宇宙飛行士の体力保持、中年からの性機能の向上など、多方面で愛用され、日本でも健康食品として、いろいろな形態で商品化されるようになった。

 エゾウコギの有効成分は、複数のトリテリペイド配糖体(サポニン、リグナンなど)が知られているが、特にエゾウコギの特徴としてエレウタロイドEというリグナン系化合物が注目されている。これは生体防御物質のβエンドルフィンを増やし、免疫細胞の増殖や活性化を促すといわれている。

蝦夷五加エキス顆粒

深海鮫エキスについて

2005年10月24日 | 健康
○深海鮫エキス

 サメは、軟骨魚類からエイ・ギンザメ類を除いたものの総称で、アイザメ、アブラザメ、シュモクザメ、ホシザメ、ネコザメ、ノコギリザメ、ジンベイザメなど大小種々のものが含まれる。肉はカマボコなどの練製品に使われるが、肝臓からは肝油が作られる。特にアイザメの肝臓は良質で、女性の高級美顔料として使われている。この肝油に多く含まれているスクアレンという油性物質が、いわゆる深海鮫エキスと呼ばれ、体の細胞の新陳代謝を活発にし、健康の維持、増進に役立つ有効成分である。

 スクアレンはまた、水深1000mという苛酷な環境で生きる深海鮫の活力源でもある。深海は途方もないほどの水圧と酸素不足で、生息する生物が少ない荒涼とした世界である。それほどの厳しい状況にありながら、サメは優れた五感と共に、行動力とバイタリティーを保っている。その謎を解く鍵が巨大な肝臓にあるのではないか、と考えられた結果、見出されたのが肝臓の主成分スクアレンである。深海鮫の肝臓は体重の17~27%に及び、特にアイザメの肝臓の重さが体重の25%を占め、その25%が肝油である。肝油は90%近くがスクアレンである。

 スクアレンは、日本の油脂化学のパイオニアであった辻本満丸が1906年(明治39年)に肝油から発見した高純度不飽和炭化水素に自らつけた名称で、この油脂の特徴は無色、無味無臭、低揮発性で、凝固点もマイナス45~50度と低く、性質はよく伸び、皮膚への浸透性が強い。この安定した特性が、化粧品に適しているわけである。また、またスクアレンは化学的に安定するために水を還元して水素を取り込み、その結果、酸素を発生する。これが体内で必要とされる酸素を補給する働きをしているのではないかと考えられている。したがって、栄養素やエネルギー源としてばかりでなく、臓器の機能回復を手助けする整備エンジニアのような役目を果たす。

 その大きな作用としては①浸透性、②賦活作用(元に戻ろうとする力が強い、細胞や皮膚の発育を促進させる作用)、③殺菌作用、④浄化作用(水素を取り込むことにより体内の新陳代謝を促す還元作用である)、⑤麻痺作用などがあげられる。こうした作用が、多く疾患に対して効果を上げるのである。

深海アイ鮫・生肝油100

ゴマについて

2005年10月22日 | 健康
○ごま

 ゴマ(胡麻)はゴマ科の一年生草木で、アフリカのサバンナ地帯が原産地である。2~3cm の長方形をした果実の中に多数できる種子を食用とする。日本には中国から伝来したと思われ、古くから精進料理には欠かせないものとして珍重されてきた。

 ゴマを色で分けると、色、黒、茶、黄、金、緑などがあるが、主に使われるのは白ゴマ、黒ゴマ、金ゴマの三種である。白ゴマは脂肪の含有量が多く、約55%にもなる。そのためゴマ油にも使われている。黒ゴマは独特の香気があり、ゴマ和えやゴマ塩などに用いられている。これは風味をよくするだけでなく、ゴマの栄養分を加えながら、とり合わせの食品の消化を助ける効果もある。

 ゴマには優れた栄養成分が多数含まれているが、最近とくに注目されているのはガンや老化の予防に効果があるとされる抗酸化物質の存在である。揚げものなどに使った食用油を放置しておくと、時間がたつにつれて黒く変色し悪臭を放つようになるが、これは油の不飽和脂肪酸が空気にさらされて酸化し、過酸化脂質という有害物質に変化するからである。ところがゴマ油では、このような変化が起きないことが知られている。ゴマの成分の半分以上は脂肪で、とくに不飽和脂肪酸が多い(約85%)にもかかわらずゴマ油が変敗しにくいのは、ビタミンEやリグナンといった抗酸化物質が含まれているからだと考えられている。

 リグナンは大豆イソフラボンと同じく、体内で女性ホルモン様物質として働くフィトケミカルである。ゴマに含まれるリグナン類はゴマリグナンと総称され、セサミン、セサモリン、セサミノールなどの抗酸化物質が知られている。このうち、セサミンは中性脂肪を減らす作用もあることがラットを使った実験でわかっている。また、黒ゴマの果皮に含まれるアントシアニンにも抗酸化作用が認められている。アントシアニンはポリフェノールの一種で、ブルーベリー、紅サツマイモ、ナス、黒豆などの色素成分だが、免疫力を高め、ガン細胞の増殖を抑えることが動物実験で確かめられている。

 ゴマの成分で脂肪に次いで多いのはタンパク質で、全体の五分の一を占める。とくに必須アミノ酸のトリプトファンとメチオニンが多く含まれており、催眠や精神安定、抗うつ症状の改善に効果がある。

 ビタミン類では、炒りゴマ100gg中にB1が0.49mg、B2が0.23mg、ナイアシンが5.3mg と、ビタミンB群が豊富だ。ミネラル類ではカルシウムが1200mgと抜群に多く、これは牛乳の約11倍である。(いずれも日本食品標準成分表)。

 このように良質な脂質と多彩な抗酸化物質を多く含み、ビタミンやミネラル類も豊富なゴマであるが、さらにその機能性を高めようと品種改良の研究も行われきた。2001年には血中の中性脂肪を減らす効果が高い新品種のゴマが農水省農業研究センターで開発されている。新品種はセサミンの含有量は多いが収穫量が少ない中国産のゴマと、収穫量の多い国内品種を交配して作ったもので、セサミン含有量が1g当たり約10mg で、中国産よりも5%程度多い。同センターが行ったラットを使った実験では、脂肪酸を分解する肝臓の働きが普通のゴマの2~3倍に高まり、血中の中性脂肪が減ったという。同センターでは食品企業などと提携して、生活習慣病の予防に役立つゴマの製品化に取り組んでいる。

高濃度発酵胡麻エキス粒

マテ茶&シジュウム茶について

2005年10月21日 | 健康
○マテ茶

 マテ茶は、南米(パラグアイ、ブラジル西部)原産のモチノキ科の常緑低木であるゼルバマテの葉・茎を用いた健康茶である。南米土着のインディオたちが400年以上も健康茶として飲み続けてきたもので、今ではブラジルをはじめ南米各地で愛飲されている。カフェインが少ないので、飲みすぎても胃を刺激しないので、子供向きのドリンクにも格好である。

 グリーンマテ(緑茶タイプ)とローストマテ(焙じ茶タイプ)があるが、ビタミンCと葉緑素以外の成分(ビタミンA、B1、B2、鉄、カルシウム、食物繊維、脂肪代謝を促すコリン)は、どちらも遜色がない。成分として注目されるのは、マテ茶に特有のマイテンというアルカロイドで、自律神経を刺激して心身を活動的にし、健胃・整腸作用、肥満防止も期待できる。一方、神経の興奮を抑制する働きもあって、ストレスによるイライラや二日酔いにも効果を表す。

 機能性の研究では、ノーベル医学賞受賞者のウーサイによる造血作用、美肌作用、消化液の分泌促進作用、グリコーゲン産生と疲労回復効果などに関する報告がある。また、川上美智子(シオン短期大学)は、マテ茶のタンニンがデンプン分解酵素アミラーゼ作用を阻害、体脂肪を減少させ、便秘を解消すると発表している。活性酸素を消去するSOD活性も高い。

グリーンマテ茶

○シジュウム茶

 南米(ブラジル、ペルー、コスタリカなど)原産でフトモモ科の落葉小高木シジュウムは、古くからインカ帝国のインディオが栽培して甘酸っぱい果実を食用にし、皮膚病の薬にも使っていたといわれる。その葉を干して粉末にしたお茶は、見かけは黄色みの強い粉茶の感じで少々抵抗のある薬臭さが気になるが、飲んでみると苦味も味の悪さもない。

 シジュウムの葉にはミネラル(鉄、カルシウム、リン、マグネシウムなど)やビタミンC、タンニンも含有されているが、抽出エキスには、アレルギー性症状を引き起こす原因となるヒスタミン遊離を非常に強く抑制する作用があるため、花粉症に効果的であるほか、入浴剤として使用するとアトピー性皮膚炎、湿疹、老人性皮膚掻痒症などによるかゆみを抑える作用がある。

 ラットへのエキス投与実験では、この作用を立証するデータが得られたという。またあらゆるタイプのアレルギーに有効性があると発表している。シジュウム属には50~70種の植物が数えられ、グァバ茶として知られるグァバもその一種で、その性状や成分には非常に似通ったものがあることは興味深い。

シジュウム茶