健康食品辞典

サプリメント・健康食品・食材・食品・飲料などに利用されている素材・成分を中心に掲載しました。

色々なハーブ(3)

2011年11月29日 | 健康
※レモングラス

 イネ科オガルカヤ属の多年草で、学名はCymbopogon citratus。原産地はインド。レモンのような香りがあり、タイの伝統的スープであるトムヤムクンに欠かせないハーブとして知られている。葉や茎から抽出される精油にはレモンと同じ芳香成分シトラールが含まれ、レモン系食品の香料に利用される。レモングラスティーは貧血や消化不良によいといわれている。

 最近の研究では京都大学農学部の大東肇らによって、レモングラスは消化器系ガンを引き起こす細菌に対して殺傷能力の高いことが確認されている(2000年)。精油には鎮静作用や血行改善、抗炎症作用があり、アロマテラピーではストレスからくる諸症状の改善や筋肉痛の緩和などに用いられる。

バレリアン

 オミナエシ科カノコソウ属の多年草で、学名はValeriana offcinalis。原産地はヨーロッパと西アジア。和名はセイヨウカノコソウ。ハーバリストが昔から緊張状態をやわらげるために使用してきたハーブで、近年、その作用に新たな注目が集まっている。バレリアンの薬理作用についてはヨーロッパで1980年代から数多くの臨床試験が実施され、鎮静効果や催眠効果が確認されている。

 睡眠薬として利用する場合は、就寝2時間前までに400~900mgのバレリアン抽出物を経口摂取すると効果的である。また、鎮静作用のあるレモンバームと組み合わせると相乗効果を期待できる。生理痛や月経前症候群、筋肉痛にもよいとされている。副作用や依存症はないが、大量摂取すると頭痛・吐き気・不整脈などを生じることがある。ドイツでは医薬品として使用されている。

色々なハーブ(2)

2011年11月28日 | 健康
セージ

 シソ科アキギリ属の常緑性低木で、学名はSalvia offcinalis。ヨーロッパ南部と北アフリカが原産。別名サルビア。開花前の若葉を摘み、乾燥させて使う。セージのある庭に行くものは死なないという格言があるほど、古くから万能の薬草として用いられ、ヨーロッパでは乾燥葉が薬局方に記載されてきた。発汗抑制・利尿・消毒殺菌・収斂・血行促進・疲労回復などの作用が知られている。現在もハーバリストが発汗防止に使用さている。特有の香りや苦味、辛味が食欲を刺激するので、消化不良や食欲不振にもよい。また、煎じたものは口内炎歯肉炎のうがい薬として使われる。リラックス効果があるので、疲れたときのハーブティーとしても良い。

 食材としてソーセージ作りに欠かせないハーブである。肉料理の臭み消しとしても広く使われ、ラムや七面鳥、鴨、レバー料理に使われる。

※キャットニップ

 ユーラシア原産のシソ科イヌハッカの多年草で、学名はNepeta cataria。和名はイヌハッカ。猫を興奮させるハーブとして有名だが、人に対しては鎮静作用を持つ。ヨーロッパでは古くから病気の治療に使われてきたハーブで、不眠や頭痛、下痢、腹痛などに効果がある。葉はミントに似た香りで、乾燥葉と花の先端部を用いたハーブティーはリラックス効果をもたらす。発汗作用があり、体を暖めてくれるので入浴剤にも使われている。葉をタバコのようにすうと多幸症を引き起こすことが知られている。

※ヒソップ

 シソ科ヤナギハッカ属の多年草で、学名はHysspous offcinalis。地中海と西アジアが原産。和名はヤナギハッカ。ハッカに似た香りがあり、旧約聖書には清めのハーブとして登場している。食用や薬用としてだけでなく、その芳香を生かして病室や台所の床に撒いて消臭剤としても使われたという。

 肉や魚など脂肪分の多い料理やスープ、シチューなどの香り付けによく使われるハーブで、香草系の代表的なリキュール「ベネディクティン」の材料の一つでもある。鎮痙作用や抗菌作用があり、風邪や咳、鼻づまりにはドライハーブをお湯に混ぜて飲むと症状を緩和してくれる。うがい薬や外用薬として利用できる。

※ラベンダー

 地中海沿岸のシソ科ラバンデュラ属の常緑小低木で、学名はLavandula angustifolia。ラベンダーはラテン語のlavara(洗う)を意味し、古代ローマ人は公共浴場に入れて香りを楽しんだという。その香りは精神を落ち着かせる作用があり、睡眠前など気分をリラックスさせたいときにはラベンダーティーを飲むとよい。アロマテラピーでは精油が不安の解消やリラクゼーションに用いられる。また、皮膚への浸透がよく、スキンオイルやマッサージオイル、ブレンドオイルとしても使われている。花を乾燥させたポプリは香りだけではなく殺菌や防虫にも効果的だ。

色々なハーブ(1)

2011年11月25日 | 健康
※アニス

 セリ科アニス属の一年草で、学名はPimpinella anisum。。地中海東部沿岸地域やエジプトが原産で、古代エジプト時代から薬用や調味料として愛用されてきた伝統的ハーブである。アニスの完熟種子(アニスシード)には特有の甘い香りと味があり、今日でもパンや菓子、スープの香辛料、リキュールの香料などに用いられている。種子はアネトールを主成分とする精油を2~3%含み、これがアニスシード特有の芳香と味のもとになっている。

 精油には細菌繁殖を抑える効果がある。種子を潰して煎じたお茶は消化を促す働きがあり、食欲不振、消化不良、腹痛などの改善に適している。また、母乳の分泌を促進する作用があり、種子をお湯に浸すアニスティーはヨーロッパでは古くから授乳期の女性のお茶として知られている。この母乳分泌促進作用は動物実験でも確認されている。アメリカの栄養学者E・ミンデルによると、乳牛にアニスオイルのにおいを嗅がせると牛乳の生産量が増加したという(「ハーブバイブル」同朋社)。精油の香りには虫が嫌う成分が含まれており、防虫にも効果的であるとされる。

○チャービル

 セルフィーユとも呼ばれる。ヨーロッパやアジアを原産とするセリ科のシャク属の一年草で学名はAnthricus cerefolium。和名はウイキョウゼリ。上品な甘い香りが特徴。4種類のフレッシュハーブを刻んで混ぜてフィーヌゼルブ(フランスの伝統的なハーブミックス)に使われるほか、葉はサラダやスープ、バーブバターなどに用いられる。古くは薬用として利用され、カルペパー(17世紀英国のハーバリスト)は、チャービルに胃を温める作用があることを見出し、消化促進・利尿・関節痛などの治療に使われた。葉にはビタミンC、カロテン、鉄分、マグネシウムなどが含まれている。

※ディル

 セリ科イノンド属のハーブで、学名はAnethum graveoles。別名はイノンド、ヒメウイキョウ。古くから頭痛の治療薬として使われており、古代エジプトの医学古典「エーベルス・パピルス」にも収載されている。日本には江戸時代に渡来し、種子が蒔蘿子と呼ばれて生薬に使われている。

 葉を煎じて飲むデイルティーは消化を助ける作用があり、胃の調子を整えてくれる。また、種には神経をやわらげる鎮静作用があるとされ、ヨーロッパでは乳児の夜泣きや不眠症の人に種子を煎じて飲ませる。ディルには独特の香りがあり、スパイスとしても広く使われている。魚料理との相性がよく魚のハーブといわれている。種子はピクルスやクッキーなどに、若葉はワインビネガーに入れて香り付けに用いたりする。

※フェンネル

 セリ科ウイキョウ属の多年草で、学名はFoeniculum vulare。原産地はヨーロッパ。和名はウイキョウ。フェンネルは亜種や変種が多く、現在、主に栽培されているのはビターフェンネルスイートフェンネルである。

 フェンネルの生理作用はヨーロッパや中国で古くから認められており、腹痛や風邪の治療などに用いられてきた歴史がある。精油にハチミツを加えてお湯で溶かし、咳止めとして飲まれていた。また健胃作用に優れ、腸の痙攣を抑える小腸の運動を高める作用がある。消化を助けて食欲を増進させると共に、腸内ガスの放出や疝痛の緩和に働く。幼児疝痛にも効果があり、スイートフェンネル種子の精油を含有した乳剤を幼児に与えた試験で疝痛が緩和したという報告がある。これは、種子に多く含まれるトランスアネトール、メチルカビコール、フェンコンなどが有効成分と考えられている。

 食用としては、茎や葉が魚料理の臭い消しに、種子はクッキーやパンなどの風味付けに利用される。フェンネルは近年、ダイエットハーブとしても市販されているが、その有用性についてはまだ実証されていない。

アーティチョーク

2011年11月24日 | 健康
○アーティチョーク

 アーティチョークは地中海沿岸のエジプトから南ヨーロッパ地方に分布するキク科の多年草で、学名はCynara scolymus。アザミの仲間で、和名はチョウセンアザミ。成長すると2mほどにより大型の紫色の花をつける。花の付け根のふくらんだ花托は独特の風味と食感があり、フランスやイタリアでは古くから高級野菜としてして珍重されてきた。

 アザミの仲間のハーブは古くから肝臓疾患の症状を和らげる効果のあることが知られており、ヨーロッパ薬草療法では、アーティチョークは肝臓の解毒作用を助ける効果があるほか、肝臓組織の再生にも有効であるとされてきた。20世紀に入ると、多くの生物学者からによってアーティチョークの薬理的研究が行われ、今日では苦味成分を中心とした多種の有効成分が見出されている。それによると、アーティチョークの効果を決定づける成分として、苦味成分のシナリンやフラボノイド、セスキルペンラクトン系のシナロピクリンのほか、イヌリン、キナ酸カフェオイルが単離されている。

 アーティチョークの葉の苦味値は15000単位と報告され、苦味成分の含有量が最も高い数値を示すのは開花直前と果実の成熟時とされている。その成分中の苦味成分シナリンには、胆汁の分泌を促進し、血液中の脂肪代謝を活性化することによって血液中のコレステロール値を正常に戻す効果があるとされている。また軽い利尿作用があるほか、胃のもたれや膨満感を解消し、上腹部の痙攣症状の緩和にも効果のあることが臨床試験において確認されている。今日、ドイツの薬品業界ではこのシナリンがアーティチョーク調剤の品質基準を測る指標と見なされている。アーティチョーク調剤には主として糖衣錠や圧搾エキスがある。

きんかん(金柑)

2011年11月22日 | 健康
○きんかん(金柑)

 ミカン科の常緑低木の果実で中国が原産。日本へは鎌倉時代末期に渡来し、主として福岡、和歌山、静岡などの温暖な地域で栽培されている。柑橘類の中では実は一番小さい。果皮には甘味と香気があり、皮ごと生食される。12~2月ごろが出盛だが、時期が短いのと量的にも少ないためミカンのようには目に触れないのが残念である。

 風邪が流行るとキンカンが売れると昔から言われ、民間薬として親しまれてきた。それはビタミンC・B1・B2・E、ヘスペリジン(ビタミンP)、カルシウムを豊富に含み、柑橘類の中では最も栄養価が高いからで、ビタミンCは100g中49mg、カルシウムは80mである。ビタミンCやカルシウムは皮膚の抵抗力を強めるのにも役立ち、ヘスペリジンはビタミンCの吸収を高め毛細血管を強くする働きがある。従って風邪のみならず、動脈硬化や高血圧の予防、血管の老化防止、歯槽膿漏などにも有効である。キンカンの甘露煮は鎮咳・去痰薬として昔から愛用されている。

カボチャ種子

2011年11月21日 | 健康
カボチャ種子

 カボチャはウリ科のつる性植物で、β-カロチンや糖質を豊富に含み、健康食材として人気があるが、この種子には頻尿や尿失禁などを改善する有効成分が含まれており、中米などでは古くから天然の利尿剤として使われてきた。また、植物療法の伝統が根強いヨーロッパでは、カボチャ種子の抽出物を配合した医薬品が前立腺肥大や過剰膀胱の治療を目的に使われている。

 カボチャには日本カボチャ、西洋カボチャ、ペポカボチャの3品種あるが、機能性素材として種子が利用されるのはペポカボチャである。ペポカボチャはメキシコ北部から北米が原産地で、低温に強い品種であることから世界各地で栽培されているが、わが国では西洋カボチャが9割を占め、ペポカボチャはあまり馴染みがない。イタリア料理に使われるズッキーニ、二、三倍酢にして食べる金糸瓜(そうめんカボチャ)はペポカボチャの一種である。

 ペポカボチャの種子が前立腺肥大を改善するのは、種子に含まれる脂肪酸とシトステロールの作用によるものと考えられている。前立腺肥大は、男性ホルモンとテストステロンが変化して生成されるジヒドロテストステロンが蓄積することによって起こるが、ペポカボチャ種子の脂肪酸は、この生成に関与している5-α-リダクダーゼという酵素の活性を阻害することによってジヒドロテストステロンの蓄積を抑制する。また、レセプター(受容体)への結合を阻害する作用も認められている。このほか女性に多いとされる、くしゃみや咳などで尿が漏れてしまう尿失禁の改善にも効果のあることがわかっている。

菊芋

2011年11月18日 | 健康
菊芋

 いもという名が付いているが、キク科の多年草である。キクイモの由来はキクのような花をつけ、根の先端が肥大してイモのような塊茎になることから。原産地は北アメリカ北東部で、先住民が古くから食用としていた。ジャガイモの歯ざわりとゴボウの味を混ぜた風味があり、煮ると甘味が出る。日本には江戸時代に到来したが、食物繊維を多く含むため消化吸収が悪く、栄養価の高くないことから食用よりも飼料として使われてきた。戦時中の一時期、食糧難のために栽培され漬け物の材料にされていたこともあるが、近年ではほとんど栽培されていなかった。ところが、この菊芋に糖尿病を改善する作用のあることが分かったことから、にわかに注目を集める健康機能性素材となった。

 キクイモ(生)の食品成分をみると、炭水化物が15.1%と非常に多く含まれている。特徴的なのはこの糖質にはデンプンがほとんどなく、大部分がイヌリンという糖質で占められていることだ。イヌリンは多糖類の一種で、果糖(フルクトース)が30個ほどつながった構造をしている。キクイモ以外ではダリアの塊茎やアザミの根などに貯蔵多糖として含まれている。デンプンは体内でブドウ糖に分解され、小腸から吸収されて血糖値に反映されるが、イヌリンはヒトの消化酵素では消化されず、分解されてもブドウ糖ではなく果糖になる。そのため血糖値の上昇とは無縁であるばかりか、腸が糖質を吸収するのを抑える作用があり、血糖値の上昇を背後から抑制する働きもしている。わが国では漬け物の材料にしか使われてこなかったキクイモであるが、今後は抗糖尿病食品として大いに期待される素材である。菊芋は海外でも広く栽培、利用されているが、ドイツではトピナンバーという名で機能性食品素材として活用されている。

※トピナンバー

 ドイツのレホルム製品の一つ。キクイモ塊茎に含まれる難消化性多糖のα-イヌリンを中心に、ペクチン、ビタミン、ミネラル、ベタイン、フラボノール・グルコシド、酵素、アミノ酸を配合した機能性素材。300気圧の圧搾装置を使ってキクイモの塊茎から抽出したエキス製品もある。どちらも糖分や糖質の摂取を制限されている糖尿病患者の健康食品として需要がある。

プエラリア・ミリフィカ

2011年11月17日 | 健康
○プエラリア・ミリフィカ

 プエラリア・ミリフィカはタイ国産のマメ科クズ属の植物で、現地ではガウクルアと呼ばれ、古くから根茎が回春や長寿などの民間薬として利用されている。その活性成分がミロエステロールと呼ばれる女性ホルモン様の物質=植物性エストロゲンであることを指摘し、その構造式を明らかにしたのは、1960年に英国科学雑誌ネイチャーに掲載された論文である。それによると、ミロエステロールは卵巣ホルモン・エストロゲンと類似した強い活性を持つことが解明され、その民間薬としての効能成分が化学的に裏付けられた形となった。

 その後1980年代になって、プエラリア・ミリフィカにはプエラリン、ダイズィン、ダイゼイン、ゲニステイン、クメステロールなどのイソフラボノイドが豊富に存在するとの報告がなされた。ちなみに、近年、更年期障害を軽減するとして注目を集めている大豆イソフラボンもイソフラボノイドの一種である。

 さらに2000年には、千葉大学薬学部の研究チームが、プエラリア・ミリフィカからミロエステロールを単離すると共に、ミロエステロールの10倍のエストロゲン活性を持つ成分デオキシミロエステロールの単離・同定にも成功するなど、多方面で研究が続けられている。

 エストロゲンは女性の卵胞から分泌される性ホルモンで、子宮の機能、膣粘膜細胞の増殖などに働くほか、血管を広げて血流を促進させ、動脈硬化を防止する、LDL(悪玉コレステロール)を低下させHDL(善玉コレステロール)を上昇させる、体内の水分とナトリウムを貯蓄する、骨量のバランスを保つ、コラーゲンやヒアルロン酸を合成する、などの作用がある。プエラリア・ミリフィカに含まれるミロエステロール、デオキシミロエステロールなどの植物性エストロゲンは、このエストロゲンと非常に似た構造と作用を有する物質であり、女性の美容と健康に関与すると見られている。

 こうした有効成分に着目して、健康食品市場ではプエラリア・ミリフィカを利用した美容・健康食品、化粧品などの製品開発が進んでいる。美容・健康食品としては、従来、バストアップ(豊胸)促進を訴求する製品が主流だったが、近年は若い女性の生理不順、生理痛肌荒れなどホルモン・バランスの崩れからくる症状の改善や、更年期障害症状の軽減のためのサプリメントとして広く利用されるようになってきた。また、最近は上記の作用を生かした化粧品開発も活発化しており、プエラリア・ミリフィカをベースに、細胞賦活作用を持つプロポリス、抗酸化力を有するブドウ種子エキスなどを配合した自然派コスメティックも登場している。これらの化粧品は、皮膚から植物性エストロゲンを吸収させることで、体内でのヒアルロン酸、コラーゲンの生成を促し、皮膚の保湿を促進させるなどのほか、アトピー性皮膚炎などの改善にも効果があるとされている。

米ケフィラン

2011年11月16日 | 健康
○米ケフィラン

 米ケフィランは、世界的に有名な長寿地域であるコーカサス地方で、かつて門外不出とされた発酵乳ケフィアに含まれる特徴的な乳酸菌、学名ラクトバチルス・ケフィラノファシエンスを日本人の主食である米を栄養源として単独培養することにより得られる植物性の生成物である。

 同素材は機能性食品の原料メーカーである大和薬品(株)が腸内細菌研究の世界的権威であり、Lactobacillus kefranofaciensの分類・命名に携わった光岡知足(東京大学名誉教授)の技術指導のもと、農林水産省が主管するニューフード・クリエーション技術研究組合の助成を受け開発された。

 米ケフィラン培養物1リットル中には健康に対する有用性が長年注目されながらも大量生産が困難とされていた粘質性多糖「ケフィラン」が約800mgと高濃度含まれている。動物性成分を含まず、低脂質で熱やpHの変動に対して安定という特長を持ち、健康補助食品、一般食品など幅広い商品開発が可能である。

 ケフィランはガラクトース3分子とグルコース3分子を一つのユニットとする水溶性食物繊維の一種(多糖ガラクトグルカン)でこれまでに室伏博士らによるマウス経口投与における抗腫瘍作用(1982)、同マウス経口投与における遅延型アレルギーに対する作用(1983)、同マウス傾向投与における免疫強化作用(1986)、樺山博士らによるストレスホルモンによって抑制された細胞のインターフェロンβ産生促進作用(1997)などの有用性が明らかにされている。近年も数々の動物実験により、整腸作用、血糖上昇抑制作用、血圧上昇抑制作用、脂質代謝改善作用など多彩な機能性が明らかになり、メタボリックシンドローム対応素材としての有用性も期待されている。

 米ケフィランにはケフィランだけでなく、乳酸菌の死菌体や米由来のペプチドなども含まれており、動物実験による抗動脈硬化作用や抗アレルギー作用などのエビデンスが蓄積されつつある。

 光岡名誉教授は2007年5月に発酵乳研究で最も優れた業績を挙げた科学者に贈られる国際賞・メチニコフ賞(国際酪農連盟主催)を微生物部門において受賞、受賞対象となった研究は①腸内細菌の培養法と腸内細菌の同定法の確立、②新種腸内細菌の分離と分類・命名、③腸内細菌の生態系の解析、④腸内細菌の役割の解析、⑤機能性食品創製への応用と展開、の5項目から成り立っている。

ビタミン様作用物質

2011年11月15日 | 健康
○ビタミン様作用物質

 ビタミンと類似した作用を持つ有機化合物の総称。コエンザイムQ10、α-リポ酸、コリン、パラアミノ安息香酸、ビタミンPなどがある。

コリン

 脂肪肝を防ぐ因子として発見された水溶性ビタミン様物質(ビタミンB複合体)。ヒトの体内ではメチオニンから合成される。糖質と脂質の代謝に必要な補酵素として働き、不足すると脂肪肝の原因ともなる。コレステロールの血管壁への沈着を防ぐレシチン(リン脂質)の構成要素でもあるので、動脈硬化予防の効果もあり、食品では卵黄、レバー、小麦胚芽、米胚芽、大豆、酵母などに多く含まれる。

※ビタミンP

 ネズミの壊血病を予防する因子としてレモン果汁から発見された水溶性ビタミン様作用物質。発見当初はシトリンと命名されたが、同様の作用が柑橘類などの黄色・橙色を呈する色素のヘスペリジン、フラボン類、生薬のオウゴンに含まれるバイカレイン、そば(蕎麦)やエンジュ(槐)に含まれるルチンなどにも同様の作用が見い出され、いずれも毛細血管の透過性を保つ働きがあることから、透過性(permeability)のPをとってビタミンPと総称されるようになった。アンズ(杏)やサクランボにも多く含まれている。毛細血管の透過性を保ち、血管壁を丈夫にするほか、毛細血管の収縮作用や血圧降下作用もある。

※ビタミンU

 抗胃潰瘍因子としてキャベツから発見された脂溶性ビタミン様物質。物質名はメチルメチオニン・スルホニウム・クロライド。胃酸の分泌を抑えると共に胃粘膜の新陳代謝を促進させて、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などを改善する。キャベツやレタスなどに含まれている。

※パラアミノ安息香酸

 水溶性ビタミン様物質。グルタミン酸から葉酸を合成する材料となり、パントテン酸の吸収を助ける働きがある。葉酸やパントテン酸と一緒に摂ると白髪や皮膚の老化を防ぐ効果がある。レバー、卵、牛乳、玄米などに含まれる。

※レートリル

 アンズ(杏)の種子に含まれるビタミン様作用物質。アミグダリン、ビタミンB17とも呼ばれている。米国の研究では、β-グルコシダーゼ(酵素)を加えたレートリル溶液を腹水ガンに注入したところ、ガン細胞が100%死滅したという報告がある。