健康食品辞典

サプリメント・健康食品・食材・食品・飲料などに利用されている素材・成分を中心に掲載しました。

大麦

2008年05月26日 | 健康
〇大麦

 かつては麦飯として日常的に食べられていた大麦だが、現在では健康を意識した食材として利用されるケースが多い。大麦はイネ科の単子葉類で、米に比べると食物繊維の量が圧倒的に多いのが特徴だ。大麦(七部つき押麦)には、10.3g(100g当たり)の食物繊維が含まれるが、玄米は3gと1/3である。精白米では0.5gしか含まれない。つまり大麦は白米に比べ20倍もの食物繊維を含んでいるわけである。食物繊維は腸の働きを活発にし、便秘の改善、下痢を抑えるという効果がある。

 大麦は精白の仕方によって丸麦、押麦、白麦に分けられる。丸麦は大麦をそのまま精白したもので、もっぱら味噌や醤油などの加工品に使われている。押麦は丸麦を平たく押したもので、麦とろご飯として食べられることが多い。麦を常食するには押麦を白米に混ぜて炊くのが一般的だ。白麦は丸麦を2つ割りにしてから精白し、平たく押したもので押麦よりも食べやすい。また最近では、精白した丸麦を押さずに白米と同じ比重になるように加工した米粒麦というものもある。これは、白米と混ぜて炊くときに麦だけが浮き上がらないので便利である。

そば

2008年05月24日 | 健康
〇そば

 ソバはタデ科の一年草で、原産地はアジア北・中部とされ、歴史的には早くからインド北部、東アジア各地へ伝播し、普通種とダッタン種の2種があり、わが国で栽培されているのは普通種である。

 わが国ではソバに薬効を認める基盤は早くからあり、「本朝食鑑」(人見必大撰、1697年)には「気味甘く微寒にして毒なし。気を下し、腸胃のしわい積滞を寛にす。水腫、白濁、泄痢、腹痛、上気を治し、あるいは気盛んにして湿熱あるものによろし」と述べられている。

 寒性なので胃弱の場合には不適とされながら、長寿の食物として好んで常食もされてきた。古くは麦飯のように脱穀したソバを米麦に混ぜたそば飯だったが、粉末にして丸めたそば団子に続いて、ウドンを真似たそば切りが登場したのは江戸時代(17世紀)以降である。

 ソバが栄養価の高い食品であることはよく知られている。全粒中の成分の内、約12%はタンパク質である。70%を占める炭水化物は他の穀類のデンプンより糖化度が高い。そして何よりも特徴的なのはルチンである。ルチンは抗酸化物質として注目されているフラボノイド(植物の色素成分)の一つで、血管の強化作用があり高血圧によいとされている。また、体内でケルセチンに変化して抗腫瘍効果を発揮したり、認知症の改善にも寄与することが明らかになっている。

EPA(イコサペンタエン酸)

2008年05月23日 | 健康
EPA(イコサペンタエン酸)

 かつてはエイコサペンタエン酸と呼ばれていたが、近年、イコサペンタ塩酸に改められた。但し略称のEPAはそのまま使われている。炭素数20個、二重結合5カ所のn-3系不飽和脂肪酸で、融点はマイナス54℃。イワシやタラなどの魚油に多く含まれる。血液中の中性脂肪やコレステロール濃度の低下作用、血小板凝集能の抑制作用などが認められている。

 EPAが注目されるようになったのは、1970年代にデンマーク・オールボア病院のダイアベルグがイヌイット(エスキモー人)を対象に行った疫学的調査の結果によってである。それによると、魚やアザラシを主食とするイヌイットはは肉食中心のデンマーク人に比べて動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞などの生活習慣病が大幅に少なかった。例えばデンマーク人の死亡原因が心筋梗塞だけで40%以上も占めているのに、イヌイットは発症率が高い60歳以上だけを対象にしても3.6%でしかなかった。その原因がイヌイットの食生活にあると考えて研究の結果、魚肉油に含まれるEPAの有効作用にあるとわかったのである。

 最近の研究では、横山光弘(神戸大学)らが日本人約2万人を対象にし大規模臨床試験(5年間の追跡調査)で、EPA薬の摂取により心臓病のリスクが19%減少したという試験結果を発表している(2005年、米国心臓協会学術集会)。EPAは健康食品素材としても広く使われており、(財)日本健康栄養食品協会による「イコサペンタ塩酸(EPA)含有精製魚油加工食品規格基準(1986年8月公示、96年6月一部改正)」がある。

フコキサンチン

2008年05月22日 | 健康
〇フコキサンチン

 フコキサンチンはワカメやヒジキ、昆布類などの褐藻類に含まれる赤褐色のカロテノイド色素である。カロテノイドはニンジンのβ-カロチン、トマトのリコピンなどをはじめとして自然界に幅広く存在する黄色~赤色系の天然色素で、酸素と結合しやすいという特徴を有する。ヒトの体内ではいわゆるフリーラジカル(活性酸素)と結びつき、これを無害化する。しかし、動物はこの有効な働きをする物質を自身の体内では生産することができず、食物として摂取しなければならない。栄養面でのカロテンの有用性が注目されている。カロテノイドの一種であるフコキサンチンにも、この作用が備わっている。

 こうした働きに加えて、最近の研究では、フコキサンチンにはエネルギー消費速度を刺激して脂肪燃焼を促し、内臓脂肪を減少させる作用があることがわかってきた。マウスを使った実験によると、フコキサンチンを投与したマウスは体重が5~10%減少したとの報告もある。フコキサンチンは、腹部や肝臓などの内臓脂肪を構成する白色脂肪細胞内への、ある種のたんぱく(ミトコンドリア内の脱共役たんぱく)の発現を増加させる働きがあるとみられている。このたんぱくは脂肪の酸化およびエネルギーの熱への変換を促すことにより、白色脂肪細胞を減少させる。白色脂肪細胞は過剰に摂取された炭水化物や脂肪を中性脂肪形で蓄えるための細胞で、今話題のメタボリックシンドロームの主因とされているものであり、これを減らすことができれば健康増進効果は大きい。白色脂肪細胞を減らす機能性食品への注目度は上昇基調にある中で開発されている。

 食事療法のみの被験者とフコキサンチンを併用した被験者とを比較した新陳代謝実験では、フコキサンチンを併用した被験者のほうが代謝は18.2%高かったという結果も出ている。

 健康食品市場には、フコキサンチンの抗酸化作用・脂肪細胞減少効果を生かした製品など、すでに多く流通しているが、その中でザクロ種子油との相乗作用で脂肪細胞の形成を抑制するなど、フコキサンチンの機能性との組み合わせによる効果を狙った製品開発が注目を集めている。ザクロ種子油には、新しい血管の形成を阻害すること脂肪細胞への血流量を抑制し、血液を介した脂肪の供給を低減させて脂肪細胞の新たな形成を遅らせたり、抑制したりする作用が認められている。ザクロ種子油とフコキサンチンとの相乗効果は臨床実験でも確認されており、16週間の飲用で平均6.5kgの体重減少、5.3kgの体脂肪減少が見られたことが報告されている。

カリフラワー

2008年05月20日 | 健康
〇カリフラワー

 アブラナ科のキャベツの仲間で、花のように見える花蕾部分を食用とする。花蕾の色によってホワイト、オレンジ、ムラサキの種類がある。

 カリフラワーはビタミンCの含有量が多く(100g中、生で81mg、茹でたものは53mg)、これはトマトの3倍以上に当たる。レモンの搾り汁100gといえばコップ半分くらいだが、これを飲んで得られるビタミンCは50mgである。タバコ1本吸えば約25mgのビタミンCが破壊されともいわれ、またポーリング理論として知られるビタミンCの大量摂取によるウイルス感染予防には少なくとも1日1g(1000mg)位は必要とされているから、レモン汁をコップに10杯以上も飲み干さなければならない計算である。

 日本人の食事摂取基準20005年度版では、ビタミンCの1日推奨量を100mg(成人)としている。従ってノルマ達成のためならレモンの搾り汁をコップ1杯飲めばよいわけであるが、それならカリフラワーをたっぷりと美味しく食べたほうが賢明であろう。蕾の部分よりも白い芯(茎)のほうが倍近いビタミンCを含んでいるので、塩漬けなど調理を工夫してなるべく残さずに利用するとよい。

スイートコーン

2008年05月18日 | 健康
〇スイートコーン

 スイートコーンはイネ科トウモロコシの甘味種で、その未熟種子を食用にする。完熟種子は穀類に分類される。スイートコーンは野菜として扱われる。原産地はペルーで、日本にはポルトガル人によって16世紀中頃に渡来したが、栽培されるようになったのは明治以降である。全国各地で栽培されているが、特に北海道が多い。

 古くからゴールデン種とシルバー種に加え、甘味の強いバイカラー種が品種改良され、現在はこれが主流となっている。黄色と白の粒が混じり合った姿をしており、果皮が柔らかく甘みが強い。スイートコーンの雌穂を若採りしたものはベビーコーン(ヤングコーンともいう)で、中国料理などに使われている。

 スイートコーンの実100g中、カロテン53ug、ナイアシン2.3mg、ビタミンC8mg、カリウム290mg、食物繊維3gなどが主成分。ビタミンCも多い。整腸・便秘・動脈硬化などに食効があるとされ、また糸状の毛を乾燥させてお茶代わりに煎じて飲むと、利尿・強心・膀胱炎・腎臓病に著効があり、昔から民間薬として広く親しまれてきた。

スプラウト

2008年05月17日 | 健康
〇スプラウト

 植物の新芽を英語でスプラウトというが、最近、各野菜の新芽が健康野菜としてスーパーの店頭に並び出した。ブロッコリーやマスタードなどの新芽があり、目新しさも手伝ってちょっとしたブームになっている。

 スプラウト人気の発端は、米国のジョンズ・ポプキンス大学の研究者らがブロッコリーの新芽に優れた抗ガン作用があると発表したことによる。発芽3日目の新芽には、成長したブロッコリーの20~50倍のサルフォラフェインという抗ガン成分があるという。また、スプラウト類は全般に植物性タンパク質やビタミン、ミネラル、食物繊維に富み、ローファット、ノンコレステロールというのが健康志向の強い米国人に受けたようだ。

 スプラウト野菜はブロッコリーのほか、小豆やソバ、クローバー、レンズ豆、ラディッシュ、ヒマワリ、レッドキャベツ、マスタード、クレス、小麦など種類が多彩だ。サンドウィッチの具やサラダ、スープの具材など食べ方の自由度も高い。家庭でも栽培できるようにスプラウトの栽培キットも販売されている。

そら豆

2008年05月16日 | 健康
〇そら豆

 初夏の味覚の一つでとして親しまれているソラ豆だが、これは夏野菜のソラ豆の若莢が未熟なうちに収穫したもので、茹でて食べる。エダ豆と異なり、豆は莢から出して茹でる。ソラ豆が北部アラビアで栽培されたのは有史以前だが、日本へは江戸時代初期に中国から到来したといわれる。莢が天を向いて直列するところから「空豆」と名付けられたもので、豆の形が蚕の繭に似ていることから蚕豆ともいわれる。

 枝豆に匹敵するタンパク質(生100g中10.9g)と糖質(同15.5gでエダ豆の約2倍)が含まれており、タンパク質のアミノ酸組成も非常に優秀で高い栄養効果が期待できる。また、スタミナの元といわれるアスパラギン酸や旨味成分のグルタミン酸が豊富なので、夏へ向けて体力をつけるのにふさわしい食品であるといえる。ミネラルやビタミンB群も豊富で、特にB2は0.2mgと多い。過酸化脂質の生成を防いで血管の若さを保つのに役立つ。ソラ豆の脂質には比較的レシチンも多いので、Bと共に働いて血中の悪玉コレステロールが増えるのを防ぐ。このほか利尿、便通改善効果もある。

オクラ

2008年05月15日 | 健康
〇オクラ

 オクラはアオイ科の一年草で1~2mに育ち、夏に黄色い大きな花の後、断面が五角の星型の莢をつけるが、この若い実が食用になる。原産地はアフリカで、エジプトでは紀元前から栽培されてきた歴史があり、現在は世界各地で栽培されている。オクラはアフリカの現地語を起源とする英名。

 オクラを細かく刻むと納豆のようにネバネバの糸を引くが、これはペクチンという食物繊維と糖タンパクのムチンが含まれているためである。野菜のネバネバに強壮効果があるといわれるのは、ペクチンの整腸作用(便秘にも下痢にも効能がある)と、ムチンがたんぱく質の消化吸収を助けるためと考えられる。オクラはまたカルシウムが100g中92mgと、たとえばマイワシ(70mg)のような魚よりも豊富で、平均的にカルシウム不足をきたしている日本人には好適な野菜といえる。ビタミンB1・B2も十分に含まれているので、ネバネバが苦手という人はスープ仕立てにする(ペクチンなどがスープに溶けてしまうのでネバネバはなくなり、とろみのあるスープになる)か、天ぷらなどで工夫して夏場の暑気負け回復のために大いに食べたいものである。

さやえんどう(莢豌豆)

2008年05月14日 | 健康
〇さやえんどう(莢豌豆)

 マメ科エンドウ属のエンドウ豆は、ギリシャ・ローマ時代から栽培され品種も多いが、野菜種としては若い莢を食べるサヤエンドウと、未成熟の実を食べるグリーンピースがある。

 サヤエンドウのうち、もっともポピュラーなのはキヌサヤ(絹莢)で、若莢を早採りしたもの。莢が擦れる音が衣ずれの音に似ていることからこの名がついた。このほか、関西でよくつかわれる大型のオランダ大莢、アメリカ産のスナップエンドウがある。スナップエンドウは実が大きくなっても莢が堅くならないため、実と莢を一緒に食べることができる。

 サヤエンドウは栄養バランスが良く、タンパク質は100g3.1gとグリーンピースの半分くらいであるが、遊離アミノ酸が野菜の中で最も多い。カルシウムは35mg、リンは63m含まれている。カロテンも560ugと多めで、これは日本カボチャ(730ug)には及ばないもの青ピーマン(400ug)を上回っている。ビタミンCも豆類の中では飛び抜けて多く、100g60mg含み、Cの補給にはもってこいの食材といえる。風邪の予防、老化防止、利尿のほか、シミやソバカス、高血圧症、胃腸疾患、糖尿病の口乾などに効用がある。サヤエンドウは入手しやすいので常用したい野菜の一つ。油炒めなどにするとたっぷり量も摂れ、熱を加えることで色が鮮やかとなり、食卓に彩りを添える。