翻訳者の散歩道

  ☆ 法律翻訳者の思考のあれこれ ☆
(「翻訳者になりたい人のためのブログ」を統合し「第ⅡBlog〇〇編」と表記)

受動態を訳すとき

2006年09月27日 | 英語・翻訳

英文の受動態を訳すとき、

① そのまま受動態として訳す

② 能動態に変換して訳す

が考えられますが、受動態の文章中、行為主体にあたる "by~" が省略されている場合は注意が必要です。

即ち、訳文で「行為主体を補う」ことの適否

実はこの基準も分野によって異なるので、すべてを網羅することはできませんが、

少なくとも法律翻訳では、権利義務の主体など正確性が特に重視されるため、基本的に訳者は原文にないものを勝手に補うことは控えます。

例えば、解除条項などで

This Agreement may be terminated.

とあると、学習者が能動態に変換して訳す場合、"by~" の部分を推測して訳文に入れてくる傾向があるのです。学習経験が浅ければ浅いほど、その割合は多くなります。(注:補うことが絶対に不可というわけではありません。詳細は授業に譲ります。)

仮に、これが売買契約だとすると、たいてい「買主は、~」と補足してきます。

確かに、解除権があるのは買主かもしれませんが、売主にも認められる場合もあります。

補足した語が外れていた OR 不正確だった場合を考えると・・・
従って、解除権を行使できる主体が書いていない以上、「本契約は、~」とします。

さらに、解除権は、違反していない方の当事者に与えられるのが普通ですが、違反した方の当事者にも解除権を認める契約も実際にはあるのです(@_@)。要は、力関係か…(-_-;)

事実(真実)は小説より奇なり
(Truth is stranger than fiction.  ---Byron)

従って、訳者たるもの、勝手な思い込み、憶測、推測は慎まねばなりません。

原文にない言葉を訳者が勝手に補うことにより、「翻訳」の範疇を超えて「創作」の域に入ってしまうことも間々あります。

創作訳については、2006年4月4日の記事「長文読解のコツ」にも書いたのですが、該当部分を引用します。

例えば、"note"。 見た途端「手形」だと思い込み、話を強引に手形の世界にひっぱってしまう・・・実は、単にメモだったりすることもあるわけです。

受動態が出てきたら、ステレオタイプに「能動態に変換して訳す」または「受動態のまま訳す」と決め込まず、どちらが適切か判断することをお忘れなく。

 


今、生徒やってます

2006年09月26日 | 雑記

右脳活性化の一助として(笑)、え(?)を習い始めました。

しばし教える側にいるので、生徒の側にまわるのは久しぶり!とても新鮮です。

月1回~2回という私にピッタリのペース。

しかし、これでも、すべて出席というのは無理で、

最初は欠席する確率を考えて通信にしようかと迷ったのですが、やはり通学に優るものはないと考え、決断。楽しいです(^_^)

実は、このクラス、最初は皆黙々と作業し、少々重苦しい雰囲気<(_ _)>

そこで、講師に対する質問や他の受講生との会話を少しずつ始めました。

それが功を奏したのか?クラスの雰囲気が徐々に変化し(氷がとけていくって感じ^_^)、

講師の言葉を借りれば「クラスが明るくなり、皆が和んでいくのがわかります」 注:この先生は明るくて、ジョークを解する人です。

ところで、このクラス、おもしろい現象が・・・(@_@)

講師がそれぞれの絵を見てまわるのですが、

私が「大失敗!へたです」と言うと、他の受講生がワーッと集まって見に来るのです(爆)

反対に、講師が「うまいですね。直すところなし」と言っても、誰も見に来ない 

これって、一体・・・?

まぁ、いいか。これも笑いのネタにしちゃったし

   

「絵」といえば、中国語の通訳&翻訳でご活躍中の銭衝さん(インタプリタかなくぎ流)は絵がとても上手くてプロの腕前。ブログでマンガがでてくるのが楽しみです(^_^) 

   

今回、生徒の側にまわって改めて考えさせられたことは、「ほめて育てる」の意義です。

私が習っているクラスの先生はとにかく褒める、ほめる、誉める(^_^)

受講生もこれからプロを目指すという人ではなく、趣味の範疇なのでそれでいいのかもしれません。

これが美大だったら、もっと厳しく教えるのでしょう…ね。(推測)

やはり「職人を育てる」、「プロとしてやっていかれる実力をつける」という目的をもって教える場合には、ある程度厳しさも必要。(+楽しむ要素)

目的によって、教えるスタイルを変える、おぉ、まさしくこれが教えるプロだ!


言う・云う・謂う

2006年09月25日 | 英語・翻訳

提出された和訳文を読んでいて

「云う」「謂う」という表記に出会うことがあります(@_@)

たしかにワープロ変換で出ることには出るのですが、

時代物など特に旧字を使う指示がある場合以外は、現代表記です。

そして、旧字を使ってきたからといって、その人の年齢が高いとは限りません。

「云う」という表記をしてきたのは若い人です。

「何で、この字を選んだのですか?」

「法律の世界だから、古めかしい表現の方がいいと思いました」

なるほど、そういう理屈だったか・・・。確かに、英訳の場合は文語的表現やラテン語使うしなぁ~。

おっと感心している場合ではないです。気をつけましょう。

ところで、先日、教室で生徒さん達に教えてもらったのですが(汗)、

最近の作家で、作品の中でわざと「云う」と表記する人もいるそうです。(最近の作家のものはあまり読んでいないのがバレてます

しかし、翻訳は翻訳、小説の世界とは別です。

特に文脈上必要な場合を除き、旧字使いは控えましょう。

たまに、漢和辞典を引かないと読めない難字にあたる場合もあって、読む方はかなり鍛えられております(^^)

蛇足ですが、「~でせう」ではなく、「~でしょう」です(^_^)

 

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 翻訳お役立ち情報を載せたホームページも是非ご訪問下さい。 


続 江戸小噺考

2006年09月19日 | 歴史

(1つの記事に文字数制限があったので、2つに分けています) 

では、「小言幸兵衛」という落語はご存知でしょうか?

長屋の家主「幸兵衛」さんは、朝から小言を言わないとご飯が美味しくないという性格の持主。 

幸兵衛さんは、朝の日課として長屋を一回りして散々小言をまきちらして家に帰り、それから今度は女房に対して小言が始まります。

「どうもこの長屋の連中には困ったものだ。相変わらず人に小言ばかり言わせてやがる。あれっ?このババァ、人がしゃべっているのに、もう居眠りしてやがる! おい、ばあさん、起きろ、起きろ!」  

 「朝食の片づけがすんでいない、布巾が落ちている、猫の皿も片付けない、その猫もムダ飯ばかり食って、鼠もとらずに寝てばかりいやがる!」

噺の中でもおもしろいのは、次々にやってくる空き家の入居希望者とのやりとり。

2番目に来た仕立て屋は物腰がいんぎんで幸兵衛の気に入りかけるが、家族構成を聞くと男前の一人息子がいるという。

そこから幸兵衛得意の独壇場となって架空の話が次から次へと展開していき(長くなるので引用は省略)、結局、仕立て屋も追い返してしまいます。

このように、「風が吹けば桶屋が儲かる」のようにトントン展開されていくのですが、
聴いている側は、実現しそうもない推理の連鎖を気にもせず、テンポの速い変化を楽しんでいるようです。

でも、このストーリーの展開を支えているのは豊かな想像力ではないでしょうか。 

講釈師 見てきたような嘘を云い

江戸時代の有名な川柳です。

 


江戸小噺考

2006年09月15日 | 歴史

風が吹けば桶屋が儲かる」という江戸小噺をご存知でしょうか?
(注:原作には不適切な表現が含まれており、その表現の使用を極力避けるため修正したため、多少わかり難いかもしれません<(_ _)>)

大風が吹くとほこりがたつ
 ↓
ほこりが目に入って目を悪くする人が増える
 

三味線を弾く人が増える
 ↓
三味線の材料として猫の皮が必要
 ↓
猫が減ってネズミが増える
 ↓
ネズミが桶をかじる
 ↓
桶屋が儲かる

この小噺は、ほんの小さな事象が予想外の大きな影響をもたらすことから、経済や株式投資などにも使われ、相場の格言、お金に関する諺としても載っています。 

ところで、日本の外に目を向けてみると、これに似たものとしてバタフライ効果(butterfly effect)というのがありました。

“北京で蝶が羽ばたくとニューヨークで嵐がおこる
the notion that a butterfly stirring the air in Peking can transform storm systems next month in New York)

桶屋の話に戻って、これは因果関係の相当性の範囲内か、という論理性を求めるのはムリだと思いますね。 

当時の庶民は、人気のあった寄席の講釈のように、ダジャレやこじつけを好んで受け入れ、次から次へと論理が発展していく意外性を楽しんだのではないでしょうか。

何々とかけて、何と解く、その心は?

このなぞ解きは現在でも通用していますし、その少々強引なこじつけ、あるいは、その機知に富んだウィットで私たちの興味を大いに盛り上げていることに皆さんもお気づきでしょう(^_^)

 


トライアルを受ける

2006年09月11日 | 教室

(第2ブログからの移植です)

私のクラスの生徒さん達は、英日と日英の双方をこなす人も多いのですが、

そういった人たちは迷わず、トライアルも最初から両方受ける傾向があります。

 「どちらか一方でもいいのよ」と言うと

えーっ、そうなんですかーーー!?」と皆驚くようです(@_@)。

まずは、受かることが先決ですから、必ずしも無理をする必要はありません。(1つの方向にしぼれば必ず受かる、という意味ではありません

時間差をおいて、もう片方を受けることもできますし、

また、受かった方(例えば英日)の仕事で、人より抜きんでた?、安定した実力を証明すれば、

自然と、もう片方の仕事(日英)も流れてきます、おっと違った、流れてくることも多いですから(^^;)。

 

 

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 9/30(土)に公開レッスン(無料)を行ないます。お気軽にご参加下さい!

 


脳トレ-その後

2006年09月08日 | 雑記

脳トレを始めて、約1ヶ月。

違います。何となく違います。

単に、「計算が速くなった」というのではなく、普段使っていない部分の脳が働いているって感じなのです。個人的には、凡ミスの減少に寄与しているような気がします・・・?

ちなみに、読む方はトレーニングを始める前から相当速い。(職業柄) 

 

東北大学未来科学技術共同研究センター 川島隆太教授監修 脳を鍛える大人のDSトレーニング

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脳年齢は、20代と30代を行ったり来たりしています(笑)。

 

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 9/30(土)公開レッスン(無料)を行ないます。お気軽にご参加下さい。


防犯ブザーのナゾ

2006年09月07日 | 雑記

出かけるときはたいてい、防犯ベルを持っていきます。

先日、新しいものを買い、バッグにつけていたところ、

手が触れて(=引っ張って?)、ベルがビィーっと鳴ってしまったのです。

ところが!

皆、無関心・・・(@_@)

誰も、振り向かない/キョロキョロしない・・・。(音のする方を探しませんか?)

駅前(雑踏+騒音)だったせいか、(多少大きくても)ブザー音は特に珍しくないということでしょうか?

自宅で試したときは「おぉ、結構大きな音だ」と思ったものの、

実際に雑踏の中で鳴らしたら(×故意○過失)、「あまり気にならない程度」にしか聞こえません。

静かな環境が整わないとダメ? あるいは都会の無関心?

いずれにしても、非常時には役に立たないかも・・・(>_<)

 


リーガル日英終了

2006年09月06日 | 教室

先日、リーガル日英06夏クラスが終了しました。

そこで再認識したことは、

① 英日は日英の基礎

② 英語の基礎力の重要性

です。

これらについては、これまでも何度か触れていますが、

やはり、英日翻訳の基礎ができていると、日英も楽に入れるようです。

そして、英語の基礎力。これも言うまでもありません。
     ↓

この点、ビジネス英語雑記帳(慶大日向先生)に、
冠詞、前置詞、副詞、形容詞など文法知識(しかも品詞別のカテゴリーになっています!)が掲載されています。

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その対策のひとつとして、<辞書を丁寧に引く!>という作業があります。

(一般論として)学習者によく見られがちなのですが「こんなところでいいだろう」と、
辞書も引かずに思いつくまま?書いてくる(=この蓄積でも、いわゆる我流の道に)…。

(以前にも書いたと思いますが)プロほど、辞書は引きます。それも丁寧かつコマメに。

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さらには、表現の妥当性に関する検証方法

単に、「検索ヒット数が多ければOK」、というわけではありません。

どういうところに使われているか=その文脈に該当するものでなければ、ヒット数が多くても意味はありません。

この点につき、注意しないと「表現を検索したら○万件ヒットしましたからOK」ということにもなりかねませんが、

実際に文脈にあったものは、全世界でたった数件!なんてことも間々あります。

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ところで、既に出来上がっている人(×お酒 ○上達レベル)もいるのですが、「このレベルを維持するのが大変」と謙虚な発言 う~むぅ、たゆまぬ努力ってことですね(@_@)

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さて、授業終了後は打ち上げ(^_^) 

美味しい食事、最後はデザートでしめて、それぞれ帰路につきました。
(実は、最後に大笑いするちょっとした事件?があったのですが、到底これは書けません…

 

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 9/30(土)公開レッスン(無料)を行ないます。


GIOSK

2006年09月04日 | 野球

東京駅構内で「GIOSK(ジヨスクと読むそうです)」なるものを発見しました!

キヨスク+ジャイアンツショップの形態らしく、お店の半分はジャイアンツグッズ、あとの半分は普通のキヨスク製品を扱っています。

2年前くらい前からあるようですが、全く気づきませんでしたね(@_@)

東京駅で乗り換えるときは、さっさと目的のホームに一直線ですから。

関西でも、キヨスクのタイーガースバージョンはあるのでしょうか?

いえ、東京でも是非検討して頂きたい!

ところで、「タイーガースショップ/コーナー」は東京には少なく、私はいつも京王百貨店を利用しています。