青臭会の冬の旅行は別府だった。29日毛利さんの推奨で臼杵の街を歩いた。
野上弥生子さんの生家で野上さんのこんな文章を読んだ< ・・・その日は夫もひまであったので芥川さんは長話をした。彼は心身の衰へを嘆いた。話の間でも人の名前を容易に思ひ出せなかったりした。斯う云うことはこれまでの芥川さんには見ないことであった。どうも頭が悪くて、何度もさう云ひ、はたきのような長い髪毛をかぶった頭を傾けた。
家に関する内輪話を聞かされたのも、その時がはじめてであった。年寄りを幾人も抱へて大抵ではないと云ふ愚痴も出た。併し、彼のやうな行き方をしてゐる文人なら、貧乏をするのはむしろ当然だ、と云ふ結論・・・>芥川さんに「死をすすめた」という文章だった。重かった。芥川さんの心に入ってみようと思ったが、辞めた。今は、そんな時ではない。・・・うさぎのそば屋さんで夢二の絵に囲まれながら、<新しい人の方へ>を考えていた。
野上弥生子さんの生家で野上さんのこんな文章を読んだ< ・・・その日は夫もひまであったので芥川さんは長話をした。彼は心身の衰へを嘆いた。話の間でも人の名前を容易に思ひ出せなかったりした。斯う云うことはこれまでの芥川さんには見ないことであった。どうも頭が悪くて、何度もさう云ひ、はたきのような長い髪毛をかぶった頭を傾けた。
家に関する内輪話を聞かされたのも、その時がはじめてであった。年寄りを幾人も抱へて大抵ではないと云ふ愚痴も出た。併し、彼のやうな行き方をしてゐる文人なら、貧乏をするのはむしろ当然だ、と云ふ結論・・・>芥川さんに「死をすすめた」という文章だった。重かった。芥川さんの心に入ってみようと思ったが、辞めた。今は、そんな時ではない。・・・うさぎのそば屋さんで夢二の絵に囲まれながら、<新しい人の方へ>を考えていた。