「悪人海岸探偵局」大沢在昌

大沢在昌さんの作品は本当に幅が広いし。
主人公によってキャラクターが違うのは当たり前だが、
文章のタッチまでもが違う。１９９０年の作品。

この作品は、無茶苦茶軽いし、コメディタッチと言うか
漫画チックと言うか・・・とにかく笑えるのである。

悪人海岸探偵局 新装版 (双葉文庫)   大沢 在昌 双葉社

主人公は私立探偵の木須志郎。名前もふざけている。
キス・シローである。キスしろ！だもん。

人呼んで「キッスのシロー」（笑）
ポリシーは気に入った女の子にはオンリップのキッスを、
気にいらねえ野郎にはオングラウンドのキッスを。（爆）

悪人海岸と言うビーチを舞台に、
元ビーチボーイのナンパなシローが私立探偵として、
事件を解決していく短編集である。

もう、いちいち台詞も臭いし、物腰も仕草も身のこなしも、
とにかく全てが臭すぎる。
でもその臭さ（わざとらしいキザ加減）が軽快で、
だんだんカッコよくも思えてくるのだ。

至る所で可愛い子ちゃんと情熱的に絡むあたりは、
ルパン三世を彷彿させる。

他のハードボイルド作品で固まった思考回路には、
たまにはこのくらいの軽さも良いかもしれない。