すぎなみ民営化反対通信

東京・杉並発。「一人が万人のために、万人がひとりのために」をモットーに本当のことを伝え、共に歩んでいきたいと思います

30年前に中曽根が描いた「戦後政治の総決算」と追いつめられた安倍の「戦後以来の大改革」

2015年03月08日 | 激突!2015年4月杉並区議選
激突☆2015年4月統一地方選(4・26杉並区議選)

安倍が統一地方選にむけ「新しい日本の夜明けを確かなものに」と演説

   今日8日のニュースによれば、東京都内のホテルで開催した4月統一地方選挙に向けた自民党の全国幹事長会議で、次のように演説。

   統一地方選挙に勝ち抜き、たそがれから新しい朝を迎えた日本の夜明けを確かなものとしていこう」
 経済再生については
  「景気回復を実感できない方々がいることは承知しているが、『3本の矢』は間違いなく成果をあげている」
  「この流れを変えてはならない。むしろ、しっかりと加速させる」
 与党協議が進む安保法制については
  「日本人の命と平和な暮らしを守っていく責任を果たすため、グレーゾーンから集団的自衛権の一部容認まで切れ目のない対応を可能としていく」
  「『戦争に巻き込まれる』などと批判があるが、無責任な批判にたじろぐことなく、やるべきことは毅然(きぜん)としてやり遂げる」
と強調した。

   ☆★☆★☆

 「新しい夜明け」だって?!安倍が望むような「新しい朝を迎えた日本の夜明け」には絶対ならない。立ちふさがって立ち向かう私たち労働者人民の闘いが、とりわけ労働組合の闘いがこれからいよいよ本番に入るからだ。

  (前回3月3日記事《【1】集団的自衛権―戦争・改憲、安倍の「戦後以来の大改革」の正面に》からの続きとしての【2】です。今日の記事もだいぶ長いです。申し訳ありません。ご容赦ください。できれば二回くらいに分けて読んでいただければ幸甚の至りです。)

                     ☆★☆★☆
  
   昨年7月1日の集団的自衛権行使容認・憲法解釈の閣議決定に基づいて安全保障関連法案を今国会で上程・強行成立をめざす安倍政権は、自公与党協議で、「新事態」(閣議決定で武力行使3要件の中心概念とした「わが国の存立事態」を「新事態」と当面仮称するとした)で「大筋合意」したのと符節を合わせるように、3月6日衆院予算委員会で、中谷防衛長官が「文民統制見直し」の防衛省設置法改正案の今国会上程を記者会見で発表した。
   文民統制=シビリアンコントロールに関する政府の統一見解として、「防衛省の文官と自衛官がともに対等の立場で防衛大臣を補佐する」ことなどを盛り込んでいる。自衛隊の陸海空統合幕僚(戦前で言えば「軍部」だ!)が防衛大臣を「補佐する」というが、「補佐」などという枠にとどまらないことは自明だ。安倍政権は本気で、自衛隊の参戦、武力行使、戦争をやろうとしている。だから「文民統制」を規制改革し、統合幕僚を参画させるのだ。


【2】中曽根「戦後政治の総決算」と安倍の「戦後以来の大改革」

《戦争が 廊下の奧に 立ってゐた》

…という戦前の学徒の俳句がある。一瞬、どきりとするものがある。中曽根は「大東亜戦争」肯定論者である。強烈な憲法改正論者である。その中曽根が「戦後政治の総決算」で言う「総決算」でめざす国家は、いかなる国家か。安倍が「戦後レジームからの脱却」「戦後以来の大改革」「美しい日本、強い日本を取り戻す」その中身は何か。
   先にあげたのは、1939年(昭和14年)、京都大学俳句会の渡辺白泉という学徒が詠んだ俳句だ。渡辺白泉は、執筆禁止命令で検挙されている。

   以下に戦前のいくつかの出来事をかいつまんでみた。

   戦争が巨大な姿をとって、それが日常生活の中にまで迫り入り込んで来ていることを、「戦争」というものを擬人化して少し「距離」をおいて時代状況を風刺している。知らない間に戦争がここまで来ていたというようなことはあり得ず、「風刺」と言えば軽く聞こえるかもしれないが、年表と出来事をみるとほとんど戦争一色に染め上げられ、抗うことそのものにも命を賭けねばできない状況だったことはわかる。その中での、渡辺白泉の一句だ。

   ▼1925年治安維持法公布、▼1926年暴力行為等処罰法公布(労働運動、大衆運動への処罰規制の全面的拡大)、▼1928年3・15共産党一斉検挙、▼1929年3・5山本宣治(ヤマセン)がテロで虐殺される。同年4・16第二次共産党一斉検挙、▼1931年9・18関東軍が柳条湖事件(満鉄爆破)から「満州事変」、総攻撃で1932年「満州国建国」、▼1933年2・20小林多喜二逮捕・拷問で虐殺、3月国際連盟脱退、5月京大滝川教授処分(滝川事件)、6月共産党幹部の佐野学、鍋山貞親が獄中で転向声明、▼1935年美濃部達吉「天皇機関説」に対し「国体に反する」とする撲滅運動と政府「国体明徴声明」、▼1936年大本教(※戦前の創価学会)解散命令、▼1939年7・7盧溝橋事件―「北支事変」「支那事変」と命名し日中戦争突入、南京占領・大虐殺、▼1938年国家総動員法、勤労動員開始、1939年国民精神総動員・・・・

・・・・▼1940年日独伊三国同盟、全政党解党、大政翼賛会結成・・・▼1941年12月日米開戦・・・・、▼1943年学徒動員体制、勤労動員命令、神宮外苑出陣学徒壮行会、・・・・、▼1945年3・9~10東京大空襲、3・14大阪大空襲、6月沖縄戦・集団自決相次ぐ、6・30花岡鉱山事件、8・6広島原爆投下、8・9長崎原爆投下、8・15終戦

   集団的自衛権行使、武力行使、戦争・改憲・・・・、安倍や政府がやっていること言っていることだけに目を奪われていると、この渡辺白泉の句はやはりドキリとする。

   しかし、戦争をめぐる一歩も譲れない激突が始まったのは事実でも、戦前と同じ歴史を繰り返すのかと言えば、断じて否である。安倍は「戦後70年」を勝手に「区切り」としているが、その70年前までの戦前の歴史と体験の大きさと、戦後の70年間の歴史と体験の大きさは、決して、誰にも、ましてや安倍ごときが「断絶」させ、新たな「戦前」に「回帰」させられるようなものではない。

   確信をもって言えることは、渡辺白泉が生き、抗い、苦しみ、切りとって風刺した時代に流された血と涙の歴史も、戦後70年にわたって苦闘し激しく懸命に闘い抜いてきた歴史も、そのすべてを引き継いでいま私たちは引き受けて、ここに生き、ここにあり、この国の政府支配階級とその「この道しかない」と称する《戦争》と対峙している。

   前回【1】の記事でも触れたが、安倍が枷と感じ、桎梏として打破したいともがきにもがいている“戦後憲法体制”とは、ほかならぬ、戦前の犠牲と苦しみ、おびただしく流された血と涙の闘いをも引き継いで、この戦後の70年間を生き抜き、闘い抜いてきた私たち労働者階級人民の歴史そのものだ。「戦争絶対反対」「教え子を戦場に送るな」「二度と戦争を繰り返ない」「ヒロシマ、ナガサキ、沖縄を繰り返すな」は戦後70年経た今も脈々と継承され過去―現在―未来を貫いて生死と世代を超えて脈々と継承されている。

   その根本に、(前掲年表では取り上げていないが、戦前も血みどろの闘いが治安維持法下でも闘われたが)戦後70年間の労働者階級の闘い、労働組合の闘い、労働組合をめぐる攻防がある。歴代政府・財界・資本の労働組合解体の攻撃に屈せずそれを打ち破って闘う労働組合の再生と発展の闘いが、今安倍政権の前でこれからが本番と燃え上がっている。

   「戦後70年」とは、▲敗戦・占領下の混乱と困窮の中で労働者がまず始めた闘いは生活再建、飢餓賃金打破で労働組合の結成、▲生産管理に立ちあがり、米軍GHQの禁止令と日本共産党の裏切りによって不発に終わったとはいえ、国鉄をはじめ全官公全産業から2・1ゼネスト(1947年)に決起した労働組合の闘い、▲朝鮮戦争下、破壊活動防止法に対して「治安維持法の再来」として3波にわたる労闘スト(1952年)を闘い抜き総評の「ニワトリからアヒルへの転換」をつくりだした労働組合の闘い、米軍内灘射爆場無期限使用反対の農民座り込みと北陸鉄道軍需輸送拒否の労働組合のストライキ(1953年)、▲1954年3・1米軍のビキニ水爆実験による第五福竜丸被ばく事件に対する原水禁運動と労働組合の決起、▲1955年、炭鉱・私鉄・電産など民間6単産の労働組合による賃上げ共闘による春闘の開始、米軍立川基地拡張に対する現地農民と労働組合の砂川闘争、▲1957年春闘実力行使への国鉄当局の処分攻撃に対して処分撤回を掲げて真っ向から闘われた国労新潟地本の闘い、文部省の教員勤務評定通達に対して「教え子を再び戦場に送るな」の日教組の勤評反対闘争の大爆発(~1958年)、▲岸内閣による新安保条約締結に対する連日国会包囲の1960年安保闘争、三井三池炭鉱の合理化・指名解雇に対する三池闘争の爆発、資本の炭鉱ロックアウトに対する労働組合の全山無期限スト、右翼暴力団との流血の激突を覚悟し遺書をしたためての三池労働者の籠城・ホッパー決戦(~1961年)、▲アメリカのベトナム侵略戦争に対するベトナム反戦闘争への総評の決起と反戦青年委員会の結成、地評・地区労青年部と青年労働者の決起、▲佐藤内閣による1971年沖縄返還協定に対する全学連・反戦青年委員会を先頭とする70年安保闘争の大爆発、全軍労ストライキを先頭とする全県ゼネスト、▲三里塚軍事空港反対の反対同盟農民の闘いとひとつになった動労千葉のジェット燃料輸送阻止の闘い、ベトナム反戦・米軍タンクローリー輸送拒否の闘い、▲70年闘争で遺憾なく発揮された労働組合の闘いの解体と企業主義的変質を狙って公労協の中軸であった国鉄・全逓に加えられた合理化強行・組合拠点解体の生産性向上運動(マル青運動)と公務員スト権はく奪との激突として闘われた1975年スト権ストの大爆発(8日間にわたって列車を止めた!)、国鉄当局による国労・動労に対するスト権スト損害賠償(202億円)請求訴訟と国鉄攻撃(ヤミ・カラキャンペーンによる国鉄・組合解体攻撃)・・・・・

   かいつまんだだけでも、「戦後70年」というとき《戦争絶対反対》と《労働組合》>(ストライキで闘うことができる労働者階級の根底的な戦闘性、底力)という問題が、政府財界の国策遂行をめぐる攻防・対決点だったことがよくわかる。ほかならぬ先輩世代と私たちが自覚無自覚は別として現実には継承してきているものだ。

   ひとつひとつの節々の大攻防は、労働組合中央の裏切り・屈服や、それを指導する社会党や日本共産党の裏切り・制動・抑圧で「敗北」を強いられたが、70年前までの戦争と敗戦の歴史を経た
「戦後70年」の根底には、労働者階級には社会を動かし、歴史を左右する底力がある、労働組合とそのストライキの問題を根絶し片付けない限り、権力を牛耳る政府・支配階級といえどもどうにもならないという真実が宿り息づいている。
   労働者の協力なしに政府は戦争できない。私たちには戦争をとめる力があるという労働者階級の底力だ。

   前掲の《戦争が廊下の奥に立ってゐた》の渡辺白泉の句について言えば、安倍の「この道しかない」の改憲・戦争をめぐって激突が始まった、しかし、「廊下の奥に戦争」ではなく、「この道をめぐって労働組合を先頭としたゼネスト、総反乱」がおこりかねない激突に安倍自身、支配階級自身が突っ込んでおり、彼らの側が戦々恐々としている。


中曽根の「戦後政治の総決算」(国鉄分割・民営化で労働組合解体・一掃し憲法改正へ)の破たんとこれからが本番の安倍「戦後以来の大改革」との激突と展望

  それは、この安倍政権「戦後以来の大改革」との激突が、30年前の中曽根の「戦後政治の総決算」が30年たっても、核心的なところで不貫徹で今日的に破たんしている中で、待ったなしとして「戦後以来の大改革」として出て来ていることからも明らかである。

中曽根の「国鉄分割・民営化⇒改憲」攻撃を打ち破り、安倍・JR葛西の「この道」にたちふさがっている国鉄闘争

【中曽根「戦後政治の総決算」と動労千葉の闘い】

中曽根はアメリカ・レーガン、イギリス・サッチャーと並んで労働組合解体・民営化―新自由主義の旗を掲げ、「戦後政治の総決算」を掲げて突っ込んできた。当時、次のように公言していた。中曽根は国鉄労働運動解体・労働組合解体を憲法改正(改憲)の正面突破口にすえて国鉄分割・民営化に突っ込んできた。
「臨調・行革でお座敷をきれいにし、新しい憲法をすえる」
「国鉄の分割・民営化は臨調・行革を実行するための決戦場」
この何年か前にもこう言っている。
「国労をつぶせば、総評(労働組合の全国組織)も崩壊した。総評が崩壊したら社会党が崩壊した。明確に意識してやった」

  で、1987年の国鉄分割・民営化の強行でどうなったか。この渦中で200名の国鉄労働者が自殺に追い込まれた。20万名が国鉄職場を追われ、24万名いた国労は4万名に切り崩された。総評は解散した。社会党も瓦解した。総評に変わって連合がつくられた。だがJR分割・民営体制は強行されたが、分割・民営化によるJR採用差別で解雇された1047名の解雇撤回闘争が国鉄1047名闘争として生き残った。分割民営化に対して、二波のストライキで激突した動労千葉の闘いが、中曽根の労働組合壊滅の攻撃を打ち砕いた。

   動労千葉の闘いを軸にみていく。
   JR不採用で国鉄清算事業団に送られた7000名の労働者に対して、「再就職に応じなければ、事業団からも解雇する。クビになる前に他の職場に行け」という再就職斡旋攻撃を中曽根は打ち出した。JR不採用に対して国労が申し立てたすべての地労委で勝利命令が相次いでかちとられている中で、JR不採用=不当解雇への怒りが爆発し、再就職斡旋拒否の闘いが始まっていた。社会党・共産党は、中曽根との激突に震え上がり、再就職斡旋に応諾するように解雇者のオルグに奔走した。しかし、動労千葉の8波にわたるストライキ(1989年~1990年)の中で、国労もストライキをたおすことはできなかった。この激しい攻防の中で、戦後最大の労働争議として国鉄1047名解雇撤回闘争が生み出された。
   2010年、民主党政権と結託して国労・全動労は、国鉄1047名解雇撤回闘争の幕引きのために、動労千葉を排除して、4・9政治和解(解雇撤回なき金銭決着)を強行した。これに対して、分割・民営化反対、国鉄1047名解雇撤回の全国運動が6月開始された。2012年6月には、東京地裁・動労千葉鉄建公団訴訟で国鉄分割・民営化での不当労働行為認定の判決がかちとられ、2013年9月には東京高裁が国鉄分割・民営化での不当労働行為認定の判決を下した。

   分割・民営化に真っ向から立ち向かった動労千葉の1985年11・28~29の第一波24時間ストライキ(運休243本、解雇20名含む120名に不当処分)、そして何よりも家族ぐるみの全組合員の人生と家族の将来まで賭けた討論と結束・団結によって第一波に続いてうちぬかれた1986年2・15の第二波ストライキ(運休602本、解雇8名含む272名処分)、この闘いが、中曽根の攻撃の意思を粉砕し、その後の国鉄闘争をめぐる動と反動の激突に貫かれ、いま、「国鉄改革の総仕上げ」「第二の国鉄分割・民営化」と政府、JRが叫ばざるを得ない外注化に対する絶対反対の闘いとして燃え上がっている。

   3・11福島第一原発事故後の動労水戸の被ばく労働拒否・検修業務外注化阻止のストライキ決起、動労水戸支援共闘結成、動労総連合をめざす闘いが始まっている。


2月の郡山国鉄集会 110名が動労水戸支援共闘結成へ決意
2014年9月、北島邦彦前区議会議員が副委員長を務める東京西部ユニオン・鈴木コンクリート工業分会が解雇撤回・職場復帰の全面勝利和解を東京高裁でかちとっている。

不当解雇を撤回させ完全勝利和解をかちとった東京西部ユニオン・鈴木コンクリート工業分会

1998年11月に関西生コン・港合同・動労千葉3労組の呼びかけで始まった11月労働者集会は、戦争と民営化に反対し、非正規職撤廃をめざす日米韓をはじめとした労働者の国境を超えた国際連帯統一行動として発展している。

2014年11月労働者集会(日比谷野外音楽堂)

   3月13日には「ダイヤ改正阻止・特急廃止許すな」を真向から掲げ、動労千葉が総決起集会(午後6時千葉商工会議所14階第一ホール)、14日に動労千葉はダイヤ改正阻止ストライキに敢然と立つ。15日には「被ばく労働拒否をたたかう」動労水戸支援共闘結成集会(午後1時。 大江戸線・つくばエクスプレス線仲御徒町駅2分 会場:オーラムB2F ラ・サルローヤル 台東区東上野1-26-2 )が打ち抜かれようとしている。

   動労千葉の闘いと国鉄闘争を中心にみてきたが、安倍政権が施政方針演説で言っている「戦後以来の大改革」「改革の断行」というのは、この中曽根の「戦後政治の総決算」がそれ以来30年たっても、歴代政権がいまだ決算・清算できていない中で、やりきれていない弱点、危機性を抱えたままで、前のめりで叫び立てているということだ。実際には、2007年の第一次安倍政権のときにも「戦後レジームからの脱却」として今回施政方針演説とほとんど同じようなことを言っている。安倍自身、それから8年たってもやれなかったことを、待ったなしで「この道しかない」と繰り返し8年前の自身の「悲願」を叫んでいる、さけぶだけでなく中東侵略に参戦している。

【動労総連合を最先頭に労働組合の拡大が安倍の「この道」「戦後以来の大改革」との最大の激突点】


   安倍は、自らの盟友であり、JR外注化、リニア新幹線、原発再稼働、原発トップセールス、鉄道・インフラ輸出、公務員攻撃、総非正規化の財界指南役である葛西敬之JR東海会長が推進するJR7社全社にわたる全業務外注化で動労千葉・動労水戸を先頭とする外注化阻止の労働者の闘いに直面しているが、国鉄闘争・JR大再編反対の大決戦題に直面してあがいているだけではない。日教組解体、自治労解体を叫んでいる。


   安倍首相が、2月19日の衆院予算委員会で西川農水大臣の違法政治献金問題で民主党議員の質疑中に、何の脈絡もなく「日教組」「日教組」とヤジを飛ばし、注意を促されて重ねて「日教組はどうなってるんだよ」とわめいたことが話題になった。


質疑中のヤジへの議長注意についても反省の色なく釈明(説明の答弁)する安倍

   安倍は、政府財界とのパートナー路線に中央・本部が立っている最大の協力者・日教組と民営化・地方行革・公務員攻撃の最大の協力者となっている自治労に対して、極右論客の櫻井よしこの言動を通して「連合を分裂させよ、日教組や自治労を潰せ、教員や公務員が組合として残っているようでは戦争などやれない」という趣旨のことを突きつけわめいている。

   安倍と櫻井よしこが、連合で日教組と自治労をぶっつぶして残そうとしている軸は、UAゼンセンだ。資本と直接にユニオンショップを結んで非正規労働者と女性労働者を支配しようとする「組合」であり、2014年秋の段階で2474組合151万8千3百名参加と公称している。「原点を見つめ、未来を拓こう!」をスローガンに、UIゼンセン同盟とサービス・流通連合が統合して結成された。繊維・衣料、医薬・化粧品、化学・エネルギー、窯業・建材、食品、流通、印刷、レジャー・サービス、福祉・医療産業、派遣業・業務請負業などの労働者を束ねる「産業別労働組合」だ。核心は、「絶対に非正規や女性に反乱は起こさせない」「(戦前の)産業報国会のような組合でなければダメだ」という基本を生命線としてつくられた組合だ。

   ここに示されている問題は、一つは、教育現場、自治体現場、公務員職場には、労使協調の御用幹部支配をのりこえ、ぶっ飛ばして燃え上がる現場労働者の怒りが吹きあげているということだ。だから「日教組や自治労などという労働組合を生かしておいたらストライキは避けられない。そんなことでは労働運動は潰せない、戦争・改憲もできない。連合も潰せ」ということだ。安倍も櫻井も「労働組合」「労働者階級としての団結」が怖くて怖くて、憎くて憎くてしかたがないのだ。

   安倍は、戦後教育の改革として、小中高一貫教育、道徳の教科科目化、公立学校の民営化を掲げ、教職員組合の解体に突っ込んで来ている。行財政改革・民間委託で換骨奪胎している自治体に、「2040年896市町村自治体消滅」の恫喝を加え、さらなる公務員攻撃を加え、大量解雇・地域まるごと民営化を強行しようとしている。杉並区の田中区政の児童館全廃・区立施設軒並み廃止・民営化はその最たるもので安倍の先兵だ。 正規も非正規も含め、労働者から職場を奪い、住民から福祉を奪い、地方・地域をメチャクチャにする攻撃が、反乱なしに進むと思っているのか。

   二つは、安倍が究極の民営化・外注化・非正規化、派遣法の例外なき拡大で「生涯非正規」の使い捨て・解雇自由の超低賃金労働力として青年そして既婚・子育て女性労働者を極限的に動員し強搾取の対象と据えていることからも、その労働者支配がどうなるかが資本にとってもカギになっているということだ。

   「月収10万円以下、年収100万円以下の労働者と年収1億円以上の富裕層に所得格差は拡大する、グローバルにみれば、新興国では労働者は年収100万円でも喜んでいる。子どもがいようといまいが、結婚できないだろうが、日本の労働者は意識を変えてもらう必要がある」と言ったのは、ブラック企業ユニクロのファーストリティリングのCEOの柳井正が公言していることだ。安倍や櫻井よしこは、今や全体の4分の1にもなろうとしているこの年収100万円以下の超ワーキングプア世代の非正規労働者、女性労働者に向かって「絶対に反乱させない」と言っている。中国や韓国で民営化と超低賃金に生存権死守でどんな闘いがまきおこされているか知らないのか。ゼンショ―ホールディングの牛丼チェーン数寄屋でどんな闘いが始まっているか知らないわけがない。生きさせろ!の反乱は不可避だ。

   年収100万円以下でどうやって食っていけ、生きていけというのか。敗戦直後、労働者、戦地から復員した労働者は、職を求め、また飢餓賃金反対を掲げ、生きていくために、まず最初に労働組合を作って闘いを開始した。
   これから安倍政権と資本が直面するのは、国鉄分割・民営化で直面した事態を百倍するような事態だ。連中が恐れている闘い、生きるための労働組合の反乱は、動労千葉が直面し真っ向から反撃したように、全JR労働者、教育労働者、公務員労働者、非正規労働者の反乱として爆発する。安倍が「これしかない」「この道を進む」と待ったなしに戦争と団結破壊・労働者の生存の圧殺に本気で突っ込んでくる以上、生半可ではない闘いとなるとしても、それでも、職場での労働者の団結、労働組合の創生・再生がいよいよ、これから爆発していく。これは生きるための闘いだからである。敗戦直後の最初の労働組合結成から、2・1ゼネスト前夜まで、わずか一年である。
   2015年~2016年、私たちが勝つ!動労千葉、動労水戸を先頭とする動労総連合―国鉄闘争の闘いと、日教組、自治労の本格的再生の闘い、非正規化反対・非正規職撤廃の闘いは、激突の中で必ず、合流する。激突と労働組合再生、激突と拠点の拡大、激突の中でゼネストは成長し、激突の中で全労働者全人民のゼネストへの気運は成熟する。激突を恐れなければ、私たちが勝つ!

   安倍は今日、自民党の全国幹事長会議でアジり込んだように「夜明け」を迎えられるか。否だ。夜明けを切り開くのは職場に労働組合をつくり、拡大する労働者の団結の闘いだ。新自由主義で政府と資本がメチャクチャに壊した社会と地域をすべて引き受けて、政府・資本家にとって代わって運営する闘いは労働組合が担うのである。敗戦直後には、焼跡の灰燼の中、東京を中心とした一部地域、わずかの期間とはいえ、日本の労働者階級は生産管理、自主管理をやってのけた。夜明けは、政府権力者が開くものでも連中に使う資格がある言葉でもない。夜明けは、社会の主人公でありながら搾取され支配されてきた私たち労働者階級人民が開き、その言葉も私たち労働者階級人民の闘いにふさわしいものだ。真向から激突に次ぐ激突にかちぬき、闘って闘って闘いぬいて夜明けを開こう。

次回記事に続く【その3】労働者の団結と国際連帯が戦争を止める!
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 安倍政権、集団的自衛権行使... | トップ | 3・11反原発福島行動 ’1... »

コメントを投稿

激突!2015年4月杉並区議選」カテゴリの最新記事