みなさんこんばんは。
「自己理解」についての第2弾です。
「病気・障害に対する自己理解」と考えたときに、ひとり、思い出す人がいます。
もうかれこれ10年以上前に知り合った人です。
その方は、精神的なご病気を患っていらっしゃいました。
そして、働きたい意欲は人一倍強く持っていらっしゃいました。
まだ当時、紙風船はありません。 なので私が出会ったのは病院内でした。
思いが強く行動力のある人だったので、デイケア、作業所、授産施設、職親制度等々次々と進めていて、「共に歩む」「寄り添う」というよりは突っ走るその人の後を追いかけていくような印象でした。ただ、そうなっていたのはまだまだ私自身の未熟さもあったからです。
その人は、病気を隠して求職活動し、その後「大丈夫だから」や「知られたくないから」と服薬を自己調整し、「相談するととめられるから」と自分一人で仕事をみつけ、そして服薬もやめていきました。
数ヶ月は働いていました。
もともと一生懸命な人です。
シフトの変更も、3交代のシフトも、どんどん入れていきました。
睡眠時間が短くなってきて、・・・・・・・・・・・しばらくして体調悪化→病状に影響し・・・・・・・・・・・・・・やや長期間仕事を休むことになり、退職を余儀なくされました。
こういった働き方(☆)を、数カ所でしていたために、通いやすい範囲では、次の仕事を見つけるのが難しくなっていきました。
☆病気のことは言わずに始めて、どうしても体調悪化したため休養をとるために休みを申し出るのですが病気にことがわかり、どうして最初から相談してくれなかったのですか?となり、またどうぞ、とはなりにくく・・・という働き方
病院内で、また出会いました。
その人は私に言いました。
「今はダメだけど、病気のこと、もっと知りたい。今までも先生とかみんなが言ってたけど大丈夫だと思っていた。でも今度はちゃんと知りたい。」と。(→「今はダメ」というのは、病状が悪化している時期だからです。)
理由は、もちろん「仕事がしたいから。長く続けたいから。」と。
仕事の先のその人の夢の語りもたくさんしてくれましたが、ここでは内緒です。
この時書いていたのがこの習字
・・・うん、何か勢いだけを感じますが、病気のことを勉強する余裕は無さそうです。(ちなみに、この方の病名を書いているのではありません。人の話を聞いて書いたようです。)
その後、医師とも相談の上、この人とは資料を準備して病気のこと、薬のこと、病状悪化のきっかけ、生活面で気をつけることなど何度も何度も話し合いました。一般的な病気の知識、というよりも、「この人の場合」「この人の生活の中で」を掘り下げながら勉強していきました。
これは、病気のことを学ぶ、という以上に、まさに「自己理解を深める」でした。
この方はその後、療養期間を経て、リハビリ期間を経て、就職をされました。この間も、ご本人と、そしてご家族ともずいぶんと話し合いをもちました。特に、就労へ進むタイミングについては、これまでの経過をご心配するご家族とご本人とで温度差がありましたのでじっくりと話したのを思い出します。
体調が良く、薬がなくても眠れていて安定しているから大丈夫かな?と思ったときにも、その後は自ら積極的に医師と相談して調整していらっしゃいました。もうこの時点では、「言われたからやる、ではなく自分にとって必要なこと」ととらえていたようです。行動力も積極性ももともと持っている方でしたが、それを外だけにむけずに、自己理解にも向けるとこうなるんだなーと思います。
この方が就労に向けて取り組んでいた当時、紙風船があったらどうだったかなーとよく考えます。
ひとりで取り組むのではなく、仲間とともに歩む・・・・・・・・・・・・・今の紙風船メンバーをみていると、それぞれの時期、タイミング、訓練期間の違いがありながらも、この「仲間とともに歩む」ということを強く感じます。
この方が紙風船を利用していたとしたら、就職したその後の心持ちや付き合いが大きく変わっていたことでしょう。その部分をひとりで頑張っていたところだからです。担当スタッフとして相談は受けていたけれど、私の存在では真の「分かち合い」をすることはできません。
仕事の休みの時に、年数回でも集まれた時に、仲間と顔を合わせてちょっとほっとしたり、何となくお互いの大変さをねぎらったり、共に語り合ったり、冗談を言い合ったり、それらを通じて支え合い、分かち合う姿が浮かびます。
また、「自己理解を深める」のも、実は仲間の姿、振る舞いから学ぶことも多いんですよね。同じような症状、困り事があったり、その対処法があったり、時には「あれ?それは違うのではないかな?自分にはあわない方法かもしれないな。」という気づきもあるかもしれません。
「自己理解を深めること」のテーマで書いていましたが、
「仲間とともに」のキーワードも登場してしまいました。
どうでしょう?みなさん。
感じたこと、教えてくださいね。
→先程の方が書いてくれたものを「署名」にします。(^v^)
これらの習字、私がいただいて、それを人に見せてもいいよと許可を得ています。・・・・・・10年以上前、ですけどね。見ての通り、我が家に飾っております。
今は、時折お手紙が届きます。とても嬉しく読ませていただいております。