母国スコットランドで
「ロビンソンさん、ロバートが辞めたって本当ですか?」
普段は大人しい人事部長のロベルトが驚いたように言う。
「ああ、先週辞表を出したよ」
それは一週間前の事だった。
ロビンソンとロバート・マッコールはオーナー室に入った。そして、ロバートが辞意をロビンソンに申し出たのだ。
「オーナー、グレートブリテンを更に強くしたいのであれば、もっと優秀なスカウトが必要です」
ロビンソンは、すぐに察した。
「ロバート、それはどういう意味だ。君はエドガーやケルガンを連れてきてくれた優秀なスカウトだ」
「結果としてはそうなります。だが、時間は掛かりました。それに、私にはこれ以上優秀な選手をスカウトすることはできないでしょう。グレートブリテンの黄金時代を作るなら、まだまだ優秀な選手を連れて来れる男をスカウトに雇うべきです」
ロビンソンは口にこそしなかったものの、そのことは薄々と感じていた。だが、グレートブリテンがヨーロピアンリーグ2連覇できたのは、ロバートがいたからと言っても過言ではない。それだけに、ロバートを解雇するなど有り得ないと思っていたのだ。
「私なら大丈夫です。母国スコットランドに戻ります。そして、スコットランドのクラブを強くするために仕事をしようと思っています。いや、そうしたいのです」
ロビンソンは、これ以上何も言わず、ロバートを止めることもしなかった。黙って辞表を受け取り、労いの言葉を掛けてロバートと別れた。
そして、新しいスカウトと契約。地元イングランドのマーロン・スペンサー(50)氏と3年契約、年棒はスカウトとしては超一流レベルの3億900万円で契約した。選手との交渉を得意としているらしい。優秀な選手を口説けることに期待したいとロビンソンは思った。
プレミアディビジョン第20節
グレートブリテン 5-2 シティ
(得点) 16分 エドガー(グレートブリテン)
23分 エドガー(グレートブリテン)
36分 モーア(グレートブリテン)
41分 アンディ・コール(シティ)
45分 チャールズ(グレートブリテン)
84分 B.ライト・フィリップス(シティ)
88分 ダレン・ベント(グレートブリテン)
エドガー、2ゴールでリーグ8点。中盤の選手だが、FWをやらせてもいいくらい得点能力が高い。
イングランドカップ準々決勝
グレートブリテン 3-1 ミドルスブラ
(得点) 4分 エドガー(グレートブリテン)PK
29分 チャールズ(グレートブリテン)
63分 レッカー(ミドルスブラ)
71分 チャールズ(グレートブリテン)
元サウサンプトンのレッカーに1点を返されるが、3-1で勝ってベスト4進出。そこでは、ベスト8では珍しい2部同士の対戦の勝者と対戦する。相手はクリスタルパレスに3-1で勝ったバーンリーに決まった。