プロサッカークラブをつくろう！ EU 828 スペイン編

【２０１４－２０１５年５月（２）】

　クラブハウスのリビングルームでコスタクルタは一人、ソファーに座っていて浮かない顔で天を見上げるようにしていた。ＡＣミランからアサモアに続く第２のスーパーサブ選手としてフリー移籍で獲得し、期待されてカラオラＣＦに入団してきた。だが、チーム１年目で周囲との連携が不足していることもあり、途中出場して同点に追い付かれることが結構あった。とても活躍しているとは言えず、試合出場も少なくなって、アサモア一人だけが途中出場する方がチームの成績が良くなるという皮肉な結果で助っ人どころか足を引っ張っていた。ここまでリーグ１５試合出場である。それでも「彼は非常に素晴らしいディフェンダーだ。慣れてくれば主力としてチームを優勝に導いてくれるよ」とチームメイトが庇ってくれていたのもあり、ここまでやってこれた。しかし、それも今年度だけだろう。次年度もこの調子だと自由契約も有り得るし、良くて移籍リスト掲載、トレード要員にもなりかねない。

「それでは次のニュースです。ポルトガルサッカーリーグの名門ポルトで主将を務め、ヨーロピアンリーグを優勝に導いたマルディーニ選手が」

　リビングルームのテレビでアナウンサーがそう言いかけた時にコスタクルタがテレビの方を向いた。

「ヨーロピアンリーグで一昨年に優勝したスペイン１部リーグのカラオラＣＦへ移籍することが決まりました」

「何だって！」

　コスタクルタは驚いた。

「オーナーのカルロス氏は最初の交渉でポルトに移籍金２５億円と元イングランド代表でセンターバックのマシュー・アップソンと、かつてＣＡカラオラに所属していたＭＦミゲル・アンヘル・テーニャの２選手をトレード要員としてＤＦマルディーニ選手に完全移籍のオファーを打診していましたが、ポルト側は一旦保留。再度、カルロス氏は移籍金を８億円上乗せし、３３億円と先の２選手の条件で打診。ポルトはカルロス氏の条件に合意し、マルディーニ選手とクラブハウスで交渉。５年契約で年棒１億５３００万円でマルディーニ（２１）選手と契約しました」

「マルディーニ、君が来ればカラオラＣＦの守備は強固になるし、私もプレイしやすくなる。我々でイタリアのサッカーをスペインで見せよう」

　コスタクルタにとっては勿論、カラオラＣＦにとっても吉報だった。先日にレティシアとすれ違った男はカルロスとの交渉に来たマルディーニだったのだ。

　だが、その一方で練習中にＤＦオリヴィエ・ヴェニョーがケガをするというアクシデント。ＦＣバルセロナ戦を前に、これからどうなる？！