博多住吉通信(旧六本松通信)

 ブログ主が2022年12月から居住を始めた福岡市博多区住吉の生活や都市環境をお伝えします。

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2008年08月26日 | 読書・映画
 一昨日から出かけていたのですが、移動中に『生命と非生命のあいだ』という本を読みました。著者のP.D.ウォード氏は古生物学者でNASAの宇宙生命探査チームのメンバーです。ここ10年ほどの生命科学、宇宙科学の知見が興味深くまとめられています。非常に面白かった点が沢山ありました。
 先ず地球外の生命を探索する上で、地球上の生命とは何かを改めて理解しておく必要があるということでした。現在地球上には巨大なクジラから微小なバクテリアまで160万種の生物が知られています(未発見のものを含めると5千万種位いるのではないかといわれている)。多彩で多様な生き物が地球にはあふれているわけです。なかにはとても地球の生き物とは思えないような奇妙な形の生き物(深海生物とか)、沸騰しそうな高温の温泉や飽和食塩水の中のような極限環境で生きる微生物もいます。
 しかし、どの生き物も、子孫を遺していく仕組みという観点で見ると全て同じ方式です。良く知られているようにDNAという遺伝物質がRNAの助けを借りて20種類のアミノ酸を使って生き物の体の形、大きさ、機能などを子孫に伝えていく訳です。このやり方は160万種の地球生命に全て共通しています。クジラも人間もハエもヒマワリもミジンコも大腸菌も全部同じ仲間なのです。DNAに蓄えられる遺伝情報は、人間とハエでは8割は同じだそうですし、人間とチンパンジーでは数%しか違わないそうです。言い換えれば地球上にはDNA生命しかいないのです(今分かっている範囲では)。生物学者たちが首をひねっているのはこの点で、なぜ地球上の生命はこれほどまでにDNAという形式で共通していて、DNA以外の違う遺伝方式を用いる違う種類の生き物がいないのかということです。例えばRNAだけを用いる生物とか、21種類のアミノ酸を使う生物とか、DNAもRNAも使わない生物とかですね。
 著者は、実はそういう生物も地球上にいるのではないかと考えていて、私たちが知らないだけではないかという仮説を提示しています。そういう生き物がもしいたら、それこそ地球上で発見されるエイリアンということになると指摘しています。そういう生き物を検出する方法の提案もしています。未知の生き物が実は私たちの身の回りにいたということになると興味深いですね。

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