博多住吉通信(旧六本松通信)

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COHN生物

2010年12月03日 | 科学
 朝日新聞の報道によれば、米航空宇宙局(NASA)の研究グループが、猛毒のヒ素を「食べる」細菌を発見したそうです。生物が生命を維持して増えるために、炭素や水素、窒素、酸素、リン、硫黄の「6元素」が欠かせないが、この細菌はリンの代わりにヒ素をDNAの中に取り込んでいたということで、これまでの「生物学の常識」を覆す発見です。この生物は「GFAJ―1」という細菌で、天然のヒ素を多く含む米カリフォルニア州の塩湖「モノ湖」の堆積(たいせき)物から見つかったそうです。

 ソースです ⇒ http://www.asahi.com/science/update/1202/TKY201012020520.html
 
 地球上の生命が生きていくためには、炭素(C)、酸素(O)、水素(H)、窒素(N)、リン(P)、硫黄(S)が不可欠だということは中学の時に習った記憶があります。最初の4元素の頭文字を取って地球の生命を「COHN生物」と呼ぶ場合もあります。リンの代わりにヒ素を使用する生物はこれまで見つかったことがありませんでした。ヒ素は毒物です。人間にとって有毒な物質を食べる生物はたくさんいるので、そのこと自体は珍しくありません。しかしリンを取らなくても、DNAやたんぱく質を形成できるということがすごいことなのですね(自分自身を再生産できるということです)。

 ところで1953年にアメリカのシカゴ大学で「ユーリー-ミラーの実験」と呼ばれる、原始生命の進化に関する最初の実験的検証が行われました。フラスコの中に地球の原始大気を模した(注)水、メタン、アンモニア、水素を詰めて1週間にわたって放電を行った結果、生命の構成要素であるたんぱく質の材料となるアミノ酸が生成された実験でした。そしてアミノ酸の前駆物質として青酸とアルデヒドが生成されていたそうです。いうまでもなく青酸もアルデヒドも有毒です。生命の起源に有毒な物質が不可欠と言うのは不思議なことです。なぜなのでしょうか。有毒であるということは化学反応を起こしやすいということで、アミノ酸のような複雑な分子を形成するにあたってちょうど良い機会になるのかもしれません。
 
(注)ユーリー・ミラーの実験で前提とされた原始地球大気は、現在では二酸化炭素などが主成分であったということが分かっているので、今では前提が間違った実験ということになっています。

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