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博多住吉通信(旧六本松通信)

 ブログ主が2022年12月から居住を始めた福岡市博多区住吉の生活や都市環境をお伝えします。

ロケットを打ち上げる方向

2023年09月21日 | 宇宙開発・天文
 昨日、本ブログで、東大が日本海に面した秋田県道川海岸で1956年から1962年までカッパロケットを打ち上げていたことをご紹介しました。日本海の向こう側には北朝鮮とソ連が存在していたことを考えますと、これは結構危険なことでした。まだこの時点では、ロケットの飛行距離は小さかったので、糸川博士らも気にしなかったと思われますが、飛行距離と到達高度が飛躍的に向上していきますので気にせざるを得なくなり、太平洋側の鹿児島県内之浦宇宙空間観測所に発射場を移転することになります。それ以外にもロケットの事故などいろいろな事情があったそうです。しかし移転の一番大きな理由は、1960年代を迎えて、わが国の宇宙開発が、地球を周回する人工衛星の打ち上げを目指すようになったことがあると思われます。実際に、内之浦移転8年後の1970年2月11日に、わが国初の人工衛星「おおすみ」の打ち上げに成功しています。衛星を打ち上げる場合は、どこの国でも、基本的に東に向けて打上げます。これは地球の自転の方向が東向きなため地球の自転の勢いをロケットは借りることができ燃料の大幅な節約ができるからです。地球の上にいる私たちは感じませんが、地球の自転速度は赤道周辺で時速1700キロという超音速です。とんでもない速さなので、この速度を打ち上げロケットは借用できるのです。内之浦の東側には広大な太平洋しかないので、他国を気にする必要がないのは、わが国にとって幸いなことでした。米国、ロシア、中国などの国土が広大な国も、ロケットが宇宙空間に到達するまで自国領土内を飛行するので他国を気にしないで済みます。
 しかし世界にはそういうことを気にせざるを得ない国もあります。中東のイスラエルです。イスラエルは国土の東側に敵対的なアラブ諸国が多数控えているので衛星を東に向けて打上げることができません。もし打ち上げに失敗してロケットがアラブ諸国に墜落したら大変なことになってしまいます。そこで衛星を打ち上げる場合は同国の地中海に面したパルマヒム空軍基地(上の図は同基地の標章です)から西へ、すなわち地中海へ向けて打上げるのだそうです。この場合は地球の自転方向と速度に逆らうことになりますので、真西に打ち上げる衛星の質量は、真東に打ち上げる時のほぼ2分の1の物しか打ち上げられないそうです(注)。なかなか不利な立場に同国宇宙開発は置かれているとも言えます。
(注)https://spaceboy1346.com/?p=351

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