博多住吉通信(旧六本松通信)

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火星の呪い

2011年11月16日 | 宇宙開発・天文
 時事通信の報道によれば、今月9日に打ち上げられたロシアの火星探査機「フォボス・グルント」が地球周回軌道からの脱出に失敗し、来年1月までに地球に墜落する可能性があるそうです。報道によるとロシア宇宙庁のポポフキン長官は14日、来年1月までに大気圏に突入する可能性があると指摘、突入した場合でも、機体は大気圏で燃え尽き、「地表に到達する公算は小さい」としている。一方、ロシア宇宙軍は同日、地表への落下に備え、探査機の監視を既に開始していることを明らかにした。関係者によると、落下範囲は北緯50度~南緯50度が想定されるという、とのことです。 

ソースです⇒http://www.jiji.com/jc/c?g=int_308k=2011111400829

 フォボス・グルントは、火星の衛星フォボスに着陸し、フォボスの土壌を採取し、地球に帰還するというサンプルリターンを目指した野心的な計画でした。中国初の火星周回探査機「蛍火1号」を相乗りさせて火星に運ぶ予定でした。成功すれば火星系からの初のサンプルリターンになるはずでしたが、本当に残念なことです。フォボスにはソ連時代の1988年にもフォボス1号、2号という姉妹探査機が送られましたが失敗しています。特に2号は後少しでフォボスに到着という所まで行って交信途絶しました。
 考えてみるとロシア・旧ソ連は火星探査で完全な成功を収めたことが一度もないようなのです。改めて調べてみると1960年10月10日のマルスニク1号以来、今回のフォボス・グルントまで実に19回も火星探査機を打ち上げていますが、完全に目的を果たしたミッションは無いのです。有名なものでは、1971年のマルス2号と3号があります。2号は火星に到着し着陸機を降下させましたが、表面に激突してしまいました(しかし人類史上初の火星へ人工物体を送り届けたことにはなった)。姉妹探査機の3号が2号の直後に無事に火星表面に軟着陸しましたが、データの送信が始まって20秒で交信が途絶えるという何とも残念な結果となりました(折悪しく火星表面で発生していた砂嵐の影響と言われています)。その後も、今日に至るまで8回のミッションを実行しましたが、遂に1回も成功していません。40年前には、とにもかくにも火星表面まで探査機を送るのに成功しているのに21世紀の今日、地球軌道からの脱出さえままならないとはどうしたことでしょう。ロシア・旧ソ連の宇宙技術が低いからとは決して言えません。なぜなら金星探査ではロシア・旧ソ連は、金星表面への軟着陸・カラー撮影(1960年代~80年代のヴェネラ計画)や金星大気圏への気球投入(1980年代のベガ計画)など華々しい成果(失敗も数多くしていますが)を挙げていますし、ミールやISSなどの有人宇宙ミッションではアメリカでさえも一目を置く宇宙大国なのですから。金星探査や有人計画は比較的成功も多いのに、火星探査だけはどうしてもうまくいかないのです。これはなぜなのでしょうか。(続く)

※写真はフォボスに着陸するフォボス・グルント着陸機の想像図 NASAのホームページから引用させて頂きました。
引用元⇒http://www.nasaspaceflight.com/2011/11/russian-engineers-stricken-fobos-grunt-spacecraft/

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