博多住吉通信(旧六本松通信)

 ブログ主が2022年12月から居住を始めた福岡市博多区住吉の生活や都市環境をお伝えします。

文明崩壊2

2007年05月14日 | 読書・映画
 オーストラリアが好きな日本人は多いですね。年間約50万人の日本人が観光で訪れていて(最近は減少傾向であるらしい)、来豪外国人数では2位だそうです。私の周囲でもオーストラリアに移住したいと言っている人が5~6人いました。動機はいろいろあるでしょうが日本に比較的近く、大部分が温帯で、文化的に欧米圏の国であるということが魅力なんでしょうね。
 しかしそのオーストラリアが生態学的に危機的状況にあるということは本書を読むまで全く知らなかったのでショックでした。実際に、昨年オーストラリアは記録的な旱魃に見舞われ、下水のリサイクルによる飲料水化まで真剣に検討されるにいたっているわけです。本書で指摘されている危機が現実化してきているのです。
 本書が指摘するオーストラリアの生態学的脆弱性は、1)オーストラリア大陸は数億年前から火山活動や地殻の隆起、氷河による侵食がほとんど無かった古い大陸であるため土壌の栄養分がほとんど流出してしまって極めて貧栄養な土地であること、2)エルニーニョなどの影響を受けやすく旱魃が起こりやすくかつその予測が困難であること、の2点です。まとめると水が極端に乏しく土壌の栄養分も極めて貧弱であるということですね。私たち日本人はオーストラリアというと牧畜や小麦など豊かな農業をイメージしますが、実はその二つはかなり無理をしてここ250年ほど推進してきたということだそうです。外部から栄養分を肥料という形で投入し、水は地下水を汲み上げて灌漑を行っています。肥料は石油化学工業の産物ですから、その農業は工業によって運営されているともいえます(これは日本の農業も同じですね)。地下水はやがて枯渇してしまいます。
 現在のオーストラリアは人口約2000万人ですが、本書の記述では養いうる人口の上限は800万人程度なのだそうです。うーむ。(続く)

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