博多住吉通信(旧六本松通信)

 ブログ主が2022年12月から居住を始めた福岡市博多区住吉の生活や都市環境をお伝えします。

古琉球

2016年02月18日 | 読書・映画

 上の写真は以前に読了した『古琉球』(岩波文庫 2000年)です。Amazonの書誌情報では「薩摩藩による支配に続く明治政府による沖縄人に対する不当な差別を目の当たりに見,骨身にしみて育った「沖縄学の父」伊波普猷(1876-1947)は,沖縄を識るために,「おもろ」に学び,歴史を探り,言語や民俗を確かめた.本書は沖縄学樹立の記念碑的作品であり,『おもろさうし』とともに,沖縄を知るための必読の書」と紹介されています。私はこの書物で「沖縄の万葉集」と呼ばれる「おもろそうし」に接してその魅力に惹かれました。「ゑ け あがる 三日月や、ゑ け 神ぎや 金まゆみ・・・(あれ! あがる 三日月は あれ! 神の金の弓・・・)」は南海のどこまでも広がる夜空をうたっています。これを読むと沖縄の海辺が思い浮かびます。本書を読んでいて気になったのは沖縄を支配した日本と同化することが沖縄住民にとっての幸福という伊波普猷の見方でした。

 この点について思想家の山崎行太郎氏は、氏のブログで「伊波は、大日本帝国による沖縄植民地化、つまり、琉球処分を「一種の奴隷解放」と賞賛し、「日琉同祖論」的言説を繰り返しながらも、一方では、「古琉球」論を根拠にした「沖縄ナショナリズム」の推進者でもあった。伊波の思想が「二重構造」と言われる所以である。しかし、伊波がどれだけ琉球や琉球王国の歴史を愛し、琉球王国の歴史を賞賛したところで、伊波がはたした政治的役割は、日本の沖縄支配を正当化する「植民地主義文化人」のものでしかなかったことも事実である」と論じておられます。

山崎氏の伊波論はこちらです ⇒ http://d.hatena.ne.jp/dokuhebiniki/

 「おもろそうし」の素晴らしい世界を知った後に、このような事実を知ることはとても悲しいことでした。東京帝大卒の当時の超エリートであった伊波普猷にしてみれば、沖縄が近代化していくためには日本との一体化もやむえをえないという思いがあったのかもしれません。私は沖縄の未来は沖縄の人々が決めるべきだし、もし沖縄の人々が独立を選択するのであれば、それはそうすべきだと思っています。独立しても米軍基地はなくならないかもしれませんが、日本政府を間に挟むことなく沖縄の人々が直接米国政府と交渉できるようになれば良いと思っています。さて本日このブログを書いているこの時間に東京の豊島公会堂では「翁長沖縄と共に闘おう!」東京大集会が開催され、山崎氏も講演なさっています。詳細は上のURLをご参照ください。

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