博多住吉通信(旧六本松通信)

 ブログ主が2022年12月から居住を始めた福岡市博多区住吉の生活や都市環境をお伝えします。

徴兵制

2010年03月04日 | 時事
 東京新聞の報道によると、自民党憲法改正推進本部は4日の会合で、徴兵制導入の検討を示唆するなど保守色を強く打ち出した論点を公表したそうです。それを同党の改憲草案に加えて5月に(憲法改正の手続きを定めた国民投票法が施行される)公表するのだそうです。
ソースです ⇒ http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2010030401000592.html

 自民党も野党になったショックで、どうかしてしまったのではないかと思いました。
 仮に徴兵年齢を18歳とすると、現在の18歳人口は最大だった昭和40年代初頭の半分の120万人程度まで減っていて増えていく見込みは無いわけです。そんな少ない若者を(旧軍と同じだとすれば)2年間も労働市場や進学市場から引き抜いたら国民経済は目も当てられないことになるでしょう。全く現実的ではないし、7月の参院選で国民がそれを支持するとも思えませんね。
 一般的には先進国では徴兵制は廃止される方向にあります。軍事技術が極度に高度化、専門化して、素人に毛が生えたような徴兵兵士では役に立たない傾向が強まっているからだそうです。
 
 ところが今から25年ほど前に『クーデター―軍隊と政治権力 』(1981年) ジャック・ウォディス (著)という本を読んでいたら、意外な事実を発見しました。民主主義国では徴兵制が望ましいという主張です。軍事専門家だけで構成される軍隊は反民主主義に染まった場合に民主的な政府に背くこともありえる、だから普通の市民が徴兵制によって軍隊を構成している方が抑止力になるというのです(前ブッシュ政権時代のアメリカ民主党議員がそんなようなことを主張していたらしいです、この場合は貧困層やマイノリティが多く入隊することになるのは不公平だという理屈らしいです)。
 もっとすごい主張は著者のジャック・ウォディス自身が伝統的な左翼の人らしいのですが、暴力によって社会主義革命を起こすためには徴兵制の軍隊「でなければならない」と主張していたことでした。暴力革命では軍隊を味方に付けた方が勝ちです。1917年のロシア革命は確かにそうでした。徴兵制の軍隊であれば、兵士というのは要するに武装した労働者だから都合が良い。彼らを説得して味方に付ければ勝ちということです。軍隊が軍事専門家ばかりで構成されていたらそういう可能性は先ず無くなるでしょう。こういう主張を読んだときはウーンと思い少し頭が痛くなりましたが、自民党は何かそれに近いことを考えているのでしょうか。

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