博多住吉通信(旧六本松通信)

 ブログ主が2022年12月から居住を始めた福岡市博多区住吉の生活や都市環境をお伝えします。

暑くて寒い場所

2008年01月18日 | 宇宙開発・天文
 ここのところ、寒い日が続いていますね。
 朝日新聞の報道によれば、NASAの水星探査機メッセンジャーが日本時間15日午前4時4分に、太陽系第一惑星の水星に200キロまで接近したそうです。水星探査は1974年のマリナー10号の観測以来、33年ぶりになります(写真はメッセンジャーが撮影した水星表面の写真:出所:NASA)。
 私が中学2年の時に水星に接近飛行したマリナー10号は軌道の関係で水星の表面の約45%しか撮影できませんでした。今回のメッセンジャーは最終的に水星を周回する軌道に乗りますから水星の全表面が撮影されることになります。ただしメッセンジャーはこの後、再び太陽を周回して実際に水星の周回軌道に乗るのは2011年の予定です。まだ3年もかかるのです。
 宇宙探査機を水星に送るのは大変な仕事です。水星は太陽系で最も重力の強い太陽の直ぐ近くにありますから、太陽の強大な重力に逆らって飛ばなければなりません。そのためには大量の加速用燃料が必要になりますが、探査機にはそんなに沢山の燃料は積めません。そこで惑星や太陽の重力を借りて勢いを付ける飛行方法をとります(スイングバイ飛行と呼ばれています)。そのためにメッセンジャーは何度も地球や、水星と地球の間の金星、太陽に接近して勢いを付けて加速してきたのです。さらに水星の周回軌道に乗るときはこれまでの加速を打ち消すブレーキを掛けねばならず、これも大変です。それでメッセンジャーはこんなに時間がかかるのです。ちなみに33年前のマリナー10号は史上初めてスイングバイ飛行を行った探査機です。
 また水星は太陽に近いので探査機は高温にさらされます。メッセンジャーはぶ厚いセラミック製の日除けを付けています。水星表面の温度は一番高い所で400℃を超えます。鉛も溶けてしまいます。大気はほとんどないに等しいので夜は-180℃位まで下がってしまいます。こんな極端な環境ですが、面白いことに水星の北極地方には大量の氷があるらしいのです。太陽光が当たらない極域のクレーターなどのくぼみの中に氷があるらしいことがレーダー観測で分かっています。メッセンジャーは氷についても調査することになっています。
 太陽系で最も熱い場所に、氷が沢山あるというのは興味深いことです。
 スティーヴン・バクスターのSF『プランク・ゼロ』(ハヤカワSF文庫)には、水星の氷の下にあるかもしれない液体の海に住むイカに似た知的生物が出てきます。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。