優生保護法
旧優生保護法が違憲であり、国は強制不妊手術を受けた被害者に謝罪と賠償をすべきことが最高裁判決で確定した。
当然すぎることが決まるのになぜこれだけ時間を要したのか、考えてみると不思議である。
しかし、自分について考えてみると、障害者の方々によって取り上げられるまで、この問題に全くといっていいほど関心を持たなかったといわざるを得ない。
かりそめにも遺伝学や進化学について勉強し、優生学についても何冊かの啓蒙書を読んでいたにも関わらず、現実に起きていた事態に無関心であったことに、わたしは忸怩たる思いを持っている。
科学者がこの法律の成立と施行をむしろ推進してきたことについては、詳細な検証が必要である。
日本医学連合は2019年に「旧優⽣保護法の検証のための検討会」を発足させ、2020年4月に報告書を発表している。その中で医学会のこの法律へのかかわりを点検し、反省を述べるとともに、強制不妊手術などを受けた被害者に謝罪すべきことを提言している。
これを受けて関連医学会でも旧優生保護法への関与についての反省と、遺憾の意の表明がなされている。
しかし、ことは医学会にとどまるものではない。遺伝学会や人類遺伝学会等においても、なぜこの問題への有効な発言ができなかったかを点検する必要があるのではないだろうか。
ゲノム解析、ゲノム編集などの進展は、優生思想のかかわる事態により深刻な問題を提供している。旧優生保護法にみられた問題について、学術横断的な検討を行い、将来に向けて備えていくことが必要である。
昨晩のNHK「クローズアップ現代」を観た。障害者に対する差別構造の中で、仕方なく不妊を選ぶ方々が大勢いることが報告されていた。違憲判決ですべてが終わったわけではない。出産が本人の意思で決定できる社会の実現には、問題が山積している。
スメハラ
この言葉を、昨日の朝日新聞「論の芽」で知った。「スメルハラスメント」という和製英語の略語である。
列車の中で食事をしたときに生じるにおいに対する不快感を指しているとのことだ。
この問題について、東北大学教授の坂井信之さんがコメントしている。
コロナ下で個人の空間が広がり、空間に漂うにおいを個人の領域を侵すものとする拒否反応が強くなっているのではないかと、坂井さんは推測している。
しかし、車内で食事をする人にはその人の領域があり、隠れて食べるより堂々と食べたほうが、においが仮にあったとしても人に与える不快感は小さくなるのでは、と坂井さんはいう。
そして、列車内で食べるときは、「気をつかいながら気にしない」くらいが適当と提言する。駅弁だけではなく、いろいろなことに当てはまる含蓄ある言葉と感心した。
散歩の途中で
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