山の郵便配達(映画)
1999年に公開されたフォン・ジェンチイ監督による中国映画。話には聞いていたがテレビで初めて観た。
1980年代の中国湖南省西部の山間に点在する村々をまわって、郵便物を集配する配達人父子の物語である。
集配は徒歩で3日間を要する。20年間この仕事を続けてきた父親は足を痛め。郵便局長の指示で24歳の息子にその職を譲ることになった。
息子が初仕事に出発する前夜、父親は郵便物の仕分けを丹念に点検する。
出発の朝、配達の道案内と手伝いに欠かせない次男坊という犬を息子に付き添わせようとするが、父親が家に残っているため、次男坊は息子の後を追おうとしない。
やむなく父親は次男坊とともに息子に付き添うことにする。
配達で留守がちだった父親を、息子はなんとなく怖い存在と感じていた。しかし、道中で会話を交わすうちに親子の情が少しずつ芽生えてくる。
集配所に行く道を逸れて、父親は一軒家に一人で住む目の見えない老婆を訪ね、遠くに暮らす孫からの手紙を渡す。
老婆は封筒から取り出した金を懐に入れ、一緒に入っていた白紙を父親に渡し、「手紙」を読んでくれと父親に頼む。父親はそれらしく読みあげ、後半を息子に託す。老婆は息子が後を継ぐことを知り、孫への返書を書いてくれるよう依頼する。
そこまでしなければならないかと息子はやや不満だが、最初の集配所で、父親が引退することを知った村人が別れを告げるために集まってくる。息子は父親の偉大さと仕事の大切さに気付く。父親は息子を村人に誇らしげに紹介する。
途中難所の川では、息子は父親を背負った瀬を渡り、二人は犬が集めてきた薪を燃やして火にあたりながら煙草をのみかわす。
トン族の村に集配で立ち寄った二人は婚礼の宴席に招かれる。若い娘たちと語り、歌い、踊る息子を見ながら、父親は昔配達の途中で見染めた妻との思い出に浸る。
犬の次男坊に助けられながら帰宅した二人を、母親は暖かく迎える。
2回目の配達に出かける息子の後を追おうとして、父親が残っていることに気づいた次男坊は、自宅に戻ってくる。
そんな犬を叱咤して父親は息子の後を追わせる。
映画はここで終わる。
ストーリーに大きな起伏はない。しかし、全編に流れる人と人、人と犬とのふれあいに心が満たされる。
弦楽器が奏でる音楽とともに写し出される画面は詩情に溢れている。
テレビ画面を撮影
愛おしさ、嬉しさ、寂しさをわずかな表情の動きで表現する主演のトン・ルゥジュンの演技は素晴らしい。
観て良かった。
孫の作品です
STOP WAR!