今日の朝日歌壇から:
山をくだり里をめぐりて田をみたす明るく笑うような水の音 松阪市 こやまはつみ様
四月の終わりに植えられた稲が,しっかりと根付き分げつを増やしている。この辺の水田の水源は霞ヶ浦で,水不足の心配はなさそうである。
わたしは学部3年生の時,弘法教授から土壌学の講義を受けた。教授が定年の年で,東大での最後の講義だった。講義の締めくくりの時に言われた言葉を覚えている。
「同じ土地に同じ作物を2千年以上作り続けて,なおかつ収量が落ちないのは水稲くらいのものである。灌漑水が土に養分を供給してくれるのだ。」そして,「だから,次第に地力が落ちて行く畑作主体のヨーロッパ民族に比べて,アジアの米作民族は侵略的でない。」
前半の言葉はなるほどと感心した。まさに豊葦原瑞穂の国である。後半の言葉は,かつての日本や今の中国を考えると,ちょっと首を傾げるが。