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109 栗

2012-10-09 00:07:38 | 雑記

 クリ

秋の味覚を代表する「栗」には大きく分けて4つの種類がある。国内で一般に販売されている

ニホングリ」、天津甘栗でおなじみの「チュウゴクグリ」、マロングラッセなどに使われる「

ロッパグリ」、そしてニホンではあまり見かけない「アメリカグリ」。

ニホングリは野生のシバグリ(柴栗)を品種改良したもので、果実が大きくて風味が良い。しか

し、甘みが少なく、渋皮が剥がれにくいのが難点。一方チュウゴクグリは甘くて渋皮も剥き易い

が、果実が小さくて、果実の害虫である「クリタマバチ」の被害を受けやすく、日本では栽培され

ていない。

(1)ニホングリの特徴

落葉性高木で高さ17m、幹の直径80cmあるいはそれ以上になる。樹皮は灰色で厚く、縦に

深い裂け目を生ずる。葉は長楕円形で薄くパリパリしている。表は光沢があり、周囲には小さ

な鋸歯が並ぶ。雌雄異花で5~6月にかけて開花。雄花は穂状で斜めに立ち上がり、全体に

クリーム色を帯びた白で個々の花は小さいものの目を引く。また香りが強く非常によく昆虫が

集まる。虫媒花である。花の香りは芳香成分のスペルミンを含むため、ヒトの精液の臭いに似

た独特の香りを持つ。一般に雌花は3個の子房を含み、受精した子房のみが肥大し果実とな

る。910月に実が成熟すると、自然に「いが」のある殻斗(かくと)が裂開して、中から堅い

果実(堅果であり種子ではない)が1~3個ずつ現われる。果実はクリ(栗)またはクリノミ(栗

の実)と呼ばれ、ドングリとは区別される。果実の香りの主成分は、メチオナール(サツマイモ

の香りの主成分)とフラノン(他にはイチゴとパイナップルに含まれる)など。

★ニホングリはシナグリに比較して渋皮剥離が困難であり、生食用用途では渋皮を直下の

果肉とともに削り取る作業が必須である。特にこのことが近年におけるニホングリの需要を

を低下させる原因となってきた。

(2)ニホングリの栽培

栗の歴史はとても古く、縄文時代の遺跡「三内丸山遺跡(青森県:約5,000年前)」からも数

多くの栗が出土している。

年間平均気温10~14℃、最低気温氷点下20℃を下らない地方であれば、どこでも栽培可

能。生産量は、茨城、熊本、愛媛、宮崎、岐阜県などに多い。

栗の害虫被害については、平成初期まではクリタマバチの被害が問題であったが、クリタマ

バチの天敵チュウゴクオナガコバチが栗の生産地に放詞されたことにより被害が激減

し、現在ではあまり問題になっていない。次に問題になっているのがクリシギゾウムシによる

果実被害である。これまでは収穫後の臭化メチルくん蒸を主として防除がなされてきたが、

2012年をもって臭化メチルが全廃される。代替品の開発が急務。

(3)主な栽培品種

●筑波(つくば)

日本で最も広く栽培されている品種で、「岸根(がんね)」と「芳養玉(はやたま)」の交配種で

1959年に命名された。甘みのある果実は粉質で香りが良く品質が高いのが特徴。果皮は

赤褐色で光沢があり、果重は20~25gと大きめ。貯蔵性がよく、加工原料としても使われ

る。収穫は9月中旬~10月。

●丹沢(たんざわ)

8月下旬頃から店頭に並ぶ早生品種の代表。「乙宗(おとむね)」と「大正早生」の交配種で

1959年に命名登録。北海道と沖縄を除く全国各地で栽培される。果重は20~25gと大

きめで、果皮は淡褐色、果実は粉質で、甘みと香りは控えめだが、早生品種の中では品質

優秀。

●銀寄(ぎんよせ)

大阪府豊能(とよの)郡能勢(のせ)町原産の歴史ある品種。果重は200~25gと大きめで、

果実は粉質で甘みが多く、風味も豊かで品質良好。ただし、貯蔵性はやや劣るため加工用

には不向き。収穫は9月下旬から。

●ぽろたん

渋皮が簡単に剥けるクリとして注目を集めている新品種。このぽろたんは加熱前に鬼皮

(外側の堅い皮)に切れ目をつけることで簡単に渋皮を剥くことができる。加熱方法はお湯

で茹でるほか電子レンジでOK。親は「550-40」と「丹沢」で2007年に品種登録。

(4)クリの選び方

果皮に張りと光沢があってずっしりと重いもの。古いクリは水分が減って重くなく、味も風味も

落ちている。傷がついていたり、黒っぽく変色したり、穴が開いているものは避ける。

(5)クリの保存方法

クリは堅い果皮に包まれているが、あまり保存はきかない。時間がたつと水分が飛んで、実

が収縮して味が落ちたり、虫に食べられたりするので、購入したら早めに食べる。保存する

時は新聞紙に包んで冷蔵室に入れる。多少風味は落ちるが、クリを水洗いし、ポリ袋に入れ

冷凍すれば半年ほど保存可能。食べる時、そのまま茹でればOK。

(5)クリの栄養と効能

☆主な栄養成分(可食部100g中)

*カリウム(420mg) *葉酸(74μg) *食物繊維総量(4.2g) *ビタミンC(33

 mg)*ビタミンB1(0.21mg) *ビタミンB2(0.07mg) *ビタミンB6(0.27

 mg)

★主な効能

*葉にはカリウムが豊富に含まれているので、高血圧予防や動脈硬化などに効果がある。

*血を造る葉酸も含まれていて、貧血予防や葉酸をたくさん必要とする妊婦の方にも最適。

*食物繊維は便秘の改善

*ビタミンCは風邪予防や美容に効果がある。クリのビタミンCは、でんぷん質に含まれてい

 るので熱による損失はそれほどない。

*ビタミンB1は疲労回復、ビタミンB2は細胞の成長を促進し老化防止に役立ち、アミノ酸

 の合成や代謝に必要なビタミンB6も豊富に含まれる。

(6)雑学

☆クリという言葉は「くろみ(黒実)」が訛ったものとも、クルクル転がるからその名ができたと

も言われ、後者の派生語として「クルミ」が挙げられる。また古代日本では石ころのことを「

」と呼んでいたこともあった。

☆英語でクリを意味するチェストナットという言葉は、ラテン語のカスタネア、ギリシャ語のカス

タノンが語源で、そのどちらも「クリの木」を意味する。楽器のカスタネットはクリの木を使うこ

とからその名がついた。

 

 

 


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