今日はマツコ・デラックスの誕生日だという。それをいいことに(笑)ラジオで「なんか、あれじゃない」を前置きにした話をリスナーから募っていた。確かに「なんか、あれじゃない」という言い出しはマツコがよく使っているイメージがある。たぶん口癖だろうが、意図的とは言わないまでも印象を作る要素になっている。
細かいことが気になる性分シリーズとして、この短いフレーズを分析してみる。「なんか」「あれ」「じゃない」の三つに分けて考えてみよう。「なんか」は当然「何か」の変化した語、くだけた言い方である。意味として該当するのは「副詞・漠然と感じられることを表す語」だろう。「どことなく」と同意と考えられる。
「あれ」とは何か。もちろん指示代名詞である。周知のように「これ」「それ「あれ」の使い方で距離感が伸びていく。「あれ」は話し手や聞き手から空間的、心理的、時間的にも隔たりの意識が大きい。また「はっきり言えない、うまく言えない」ということにもつながる。「これ」や「それ」であれば正体は見えている。
「じゃない」は辞書には載っていない。唯一「じゃないか」という見出しが「明鏡国語辞典」にある。語尾が上昇調か下降調かで違いはあるが、こう記されている。「相手に対する確認・共感や同意を求める気持ちを伴った控えめな断定・驚きや非難などの気持ちを伴った断定」。「か」を省略することで少しソフトになる。
これらを合わせると「なんか、あれじゃない」は「どことなくだけど、まあはっきり言えないことだけれども(これから話すことは正しい、鋭いと)あなたもたぶん、いやきっと思うはずよ」といった解釈になる。あの身体を伴って圧力をかけられ、まんまと聞く羽目になるのが視聴者だ。私も含めて。祝、誕生日。
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