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スマホというドラッグを…

2021年03月24日 | 読書
 『スマホ脳』(アンデシュ・ハンセン 新潮新書)を続けて読む。脳内でストレスのシステムと同様に発達してきた「報酬システム」。ここでのキーワードはよく見聞きするドーパミンという物質。人の行動を促し、満足感につなげる役目を担っている。ドーパミン量を増やすことが人間を突き動かす原動力になるという。


 著者は、「スマホは、報酬システムの基礎的なメカニズムの数々をダイレクトにハッキングしている」と書く。スマホは、ドーパミン量を増すため脳が欲する新しい情報、環境、出来事等の提供媒体として、人間の心身を虜にしていると言えるだろう。第3章の見出しはこうだ。「スマホは私たちの最新のドラッグである


 かのスティーブ・ジョブスが、自分の子どもにiPadを持たせなかったことは有名だ。ビル・ゲイツも子供が14歳になるまでスマホは持たせなかったという。これはテクノロジーがどんな影響を与えるかを見抜いていたことにほかならない。けれどその事実と裏腹に商品は世界中を席巻し、脳の機能を支配していく。


 第4章から7章は、具体的に危惧される内容が記されている。「集中力」「睡眠」「メンタルヘルス」そして「学力」。SNS全盛の中で、様々に懸念されることを脳科学的にとらえている。特にネットでのつながりは「比べあっている世界」の拡大となり、それが精神状態に影響を及ぼすとすれば、看過できない気がする。


 結論は見えている。汎用的に語れば「テクノロジーで退化しない」ための行動となるだろう。最終章で、当然の「スマホ利用制限」を筆頭に複数のアドバイスがまとめられている。個人的には「使いこなせていないスマホ(笑)」のままでいること。社会的には「利用規制への社会的合意形成」に微々たる力を使いたい。


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