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三輪車、走り続ける

2009年12月05日 | 雑記帳
 全校PTAの日であり多少その準備もあったのだが、午前中に校長室の書棚から学校文集を取り出したらあまりに興味深くて、やめられなくなった。

 なんといっても本校の文集は、今年度で第60号を迎える。
 年に一回(創刊当時は少し違っているが)発行であるが、ここまで号数を重ねている文集は、県内では、いや全国的にも珍しいだろうと思う。
 北方教育、生活綴り方運動の流れが底にあり、かつその継続を支えてきた教育文化があればこそだったのではないか。

 第1号の表紙には1952.3.20という日付が表紙にふられてある。
 西暦を使っていることにもその当時の空気に触れる思いがするし、巻頭言、あとがきに書かれた熱い文章を読んだとき、照明もあまり明るくない昔の教室の中で遅くまでガリ版に書き込んでいる音が聞こえてくるようだ。

 第1号はコピー版できれいな状態であるが、同じ年6月に出された第2号はかなりくたびれてきて、ぶさぶさの状態だった。綴じ込みを丁寧に外しながら、スキャンしてデータ保存ができたことは何かとてもいいことをしたような気分になった。

 さて創刊号の「編輯後記」(この輯の字は初めて見た)に「I生」氏は、発刊の理由を端的にこう記した。

 この綴方とゆうものが、どんなに学習にも生活にも、いいものであり、大切なものであるかの理由にもとづく

 綴り方運動の歴史を語るほどの知識は持ち合わせていないが、この思いの根っこにあるものは自分でもなんとなく感じ、大事にしてきたように思う。

 へき地の初任校でひたすら日記を書かせ続けて三年、その次に赴任したのがこの学校だった。ここで私はどんな文を子どもたちに書かせたのだろう。それもこの文集の三十何号かに載っているのである。冊子の束にじっくりと付き合うことにしたい。従って後日に。

 学校文集の名は「三輪車」。
 長い道のりを走り続けている。

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