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「事実の素性」を想像する

2018年08月09日 | 読書
 『テレビの嘘を見破る』の著者今野勉氏が秋田出身だとは知らなかった。この方はあの長野五輪の開・閉会式プロデューサーも務めている。
 さて、この新書で考えるべきことはいくつかあり、前回書き残せなかった下記のことが特に印象強く、メモしておきたい。

Volume115
 「厳しく問われはじめた事実の素性」


 「事実」を扱うドキュメンタリーには、作品に取り込まれる事実もあれば、そうでないものもある。
 
 事実は一つではないという、もはや慣用的な言いまわしを今野氏は現場に照らし合わせて次のように分割してみせた。


・カメラの前で自然現象のように起こる事実

・意味を担って撮られ、選ばれた事実

・撮影のプロセスの記録としての事実

・典型としての事実

・カメラが発見する未知なるものとしての事実

・撮影という行為が引きおこしたもう一つの事実



 おそらく現在のテレビ界は、おそろしくコントロールされたものが大きいだろう。
 バラエティっぽい旅番組や食番組が全盛なのは、親近感や意外性への近道と考えているに違いないが、そこに映し出されたものが「演技」ではなかったとしても、上のような背景があることは、心に留めておきたい。

 不祥事報道などにしても、画面に映し出されることを鵜呑みにするのではなく、どういう「素性」なのか、想像してみることが大事だ。


 私達を騙そうとしている輩は、様々な層になって存在している。


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