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誰に声かけ、目を合わせるか

2019年03月02日 | 雑記帳
 先週土曜、ずいぶんと長時間、一日何度も…と思い番組表を見た。NHK『家族になろうよ』…タイトルは福山雅治の歌と同じだが、中身は「犬と猫と私たちの未来」と副題がつけられている。諸所で保護されている犬・猫を紹介し、飼い主との出会いの場にするという趣旨だ。公開飼い主募集がメインということか。


 犬のしつけ専門家として登場した方の、実際の「教室」の様子がとても興味深かった。保護犬ということもありなかなか人に慣れず騒がしい犬を、短時間で落ち着かせた。ドッグフードを使った遊びを取り入れ、犬が飼い主の顔を向くようにさせる技に驚いた。「目を合わせている時、犬は幸せ。人も幸せ」に首肯した。


 ペットを飼った経験がない者にはわかりづらいが、よく「癒し」という言葉が使われることに対して納得できる部分もある。メインゲストの形で出ていた糸井重里が「犬や猫のことって、損得や善悪に関係ないでしょう。そういう所が、なんだか大事なことなんじゃないか」と語った。そのシンプルさが失われつつある。


 何でも損得や善悪を考えてしまいがちだ、と改めて思う。些細な事までコスパがどうとか、報道のいちいちを善悪で二極化して見聞きしている。子ども時代の暮しはそんなことお構いなしだった。人間はいつ頃からそうなるのか。他者との関係は特に、少しずつ損得・善悪が入り混じった感情に染まっていくように思う。


 「家族」も人間同士の関係だが、本来それらの感情は抑えられていたはずだ。しかし核家族化や個別消費の拡大によって、徐々に家庭でも損得や善悪が大きな顔をし始めたのだろう。今この時「家族になろうよ」と呼び掛ける対象を何にし、どう働きかけるか。自ずと社会や個人の歩んできた道の過程が明らかになる。


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