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ブログ版 シュプリッターエコー

花になったこどもたち―江川バレエスクール公演

2007-08-16 16:03:14 | 舞踊
 こどもたちがワッと出てくる舞台というのは、2階席から見下ろして楽しむのがサイコーです。
 舞台全体がお花畑のように見渡せます。
 赤や青や黄色やピンクや…、ほんとうに江川バレエスクールのステージは、色とりどりのお花畑のようでした。
 神戸文化ホールで開かれた53回目の発表会でのことでした(2007年8月11日)。

 こどもたちのための今年のプログラムは「さくらさくら~祭り」です。
 タイトル曲の「さくらさくら」をはじめ「しゃぼん玉」「茶摘み」「われは海の子」「たなばたさま」など6場構成の創作です。
 バレエの舞台というのは鋭いジャンプやスピーディーな旋回やスリリングなバランスでしばしば雰囲気を盛り上げますが、このようなしっとりと落ち着いた日本の曲でエレガントに、端正に、軽やかに踊り通すのもいいものです。
 チュチュとトウシューズの“舞い”が、まるで昔からこういう踊りのジャンルがあったように、花や風や海の情景を晴れやかに繰り広げていくのは見事でした。
 これは振り付けを担当した太田由利先生と田中英子先生、そして指導にあたった泉敦子先生と宮崎みき子先生の、さすが、と感嘆させられる感性と技量です。

 それにしてもこどもたちひとりひとりの、あの美しさはどうでしょう。
 発表会というとだいたいは、「大目に見る」という空気が舞台にも客席にも暗黙のうちに漂います。
 すでにすばらしい技量を発揮する少女たちがいる一方で、ようやく幼児と呼べるようなそんなこどもたちも出るわけですから、その心の幅は当然です。
 けれどもこのバレエ学校のステージのすばらしさは、すべての点でその心の幅をずっと先へ超えることです。
 ひとりひとりがまるで美神の申し子のようにこれ以上ない最高の輝きを放つのです。

 ああ、こどもたちを教え導くというのは、ほんとうはこういうことなんだ、と思いました。
 一輪一輪のバラの花を丹精込めて育てるように、先生がたが体じゅうの心と体じゅうの技術をこどもたちひとりひとりにそれこそ全力で注いでいる、そのことが舞台にありありと出ているのです。
 それは美をこの地上に現すためのすさまじい情熱とさえいえるでしょう。
 70年超の歴史を持つこのバレエスクールのそれが伝統なのでしょうか。
                  ☆
 第53回江川バレエスクール発表会ではほかに深川秀夫さんの振り付けによる「スワニルダの結婚(コッペリアより)」が先生たちの出演で上演されました。また同スクールの出身で、新国立劇場バレエ団のソリストを務める湯川麻美子さんが創作舞踊「Digves Amic―愛しい人よ 教えておくれ」を初演しました。なおこの湯川作品については、個別の批評記事「黒のダンス」を本ブログの姉妹編「Splitterecho」Web版に掲載しています。Web版はhttp://www16.ocn.ne.jp/~kobecat/


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2 コメント

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Unknown (太田 由利)
2007-08-16 19:58:49
ありがとうございました。子供達をこんなに見て頂け、今後の励みになります。湯川の評も本人が、感激しておりました。感謝!!
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Unknown ()
2007-08-16 21:46:16
太田由利先生へ
 ご自身すばらしいバレリーナとして多くの実績を積まれ、そのうえ大きく深い指導力で後進を育てておられる、そのお姿にはただただ感服するばかりです。美しい舞台をありがとうございました。
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