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ブログ版 シュプリッターエコー

師走・神戸の風物詩

2006-11-26 16:34:36 | 舞踊
 師走の京都の風物詩といえば南座の顔見世ですが、この時期の神戸の風物詩といえば、やっぱりここは地層の底にヨーロッパの文化が流れているんですねえ、貞松・浜田バレエ団の「くるみ割り人形」です。今年も12月の23日(土)と24日(日)の二日間にわたって神戸文化ホールで開かれます。クリスマスの夜の少女クララの冒険を楽しみながら、クリスマスそして年末を迎えるというのが、バレエを愛する市民たちの暮らしのスタイルになっています。

 貞松正一郎さんや上村未香さんや瀬島五月さんら、日本のバレエ文化を支える実力のダンサーをたくさんそろえて、舞台に深さと奥行きを創り出してきたのが市民の支持を受けている要因ですが、その舞台を都市の風物詩にまで高めてきたのは、演出・振付に当たっている浜田蓉子さんとその子息・貞松正一郎さんの妥協のない美意識です。「雪の国」のスリリングとさえいえる群舞は、もう欧米をすら超えているだろうと思います。内に厳しく、外に華やかな貞松・浜田スピリットが、市民の圧倒的な称賛の最も大きな理由というわけです。

 そんなわけで、市民にとってちょっと面白いのがオーケストラの緊張度です。本当は神戸市にちゃんとしたオーケストラがあればいいんですが、いまのところそれは夢また夢の物語です。それで外から招くということになるんですが、市民はどんどん耳が肥えてきてますから、出来が悪いと名の通ったオーケストラでもケチョンに言われることになるわけです。一度など地元の新聞までが不満の記事を書いたことさえありました。

 もっとも指揮の堤俊作さんへの市民の信頼は絶対です。星野タイガースの優勝のときなどはカーテンコールに「六甲おろし」を演奏して、ベテラン人気ダンサーの井勝(い・まさる)さんがタイガースの旗を振り振り踊るというハプニングまで誘い出した堤さんで、これで堤さんが隠れトラキチだったこともバレてしまったというわけですが、このタイガース・ハプニングでまたこの指揮者への信頼は超絶対になったのでした。あの切れ味のいい速めのテンポが市民の都市的リズムに合うんですねえ。願わくば、堤さんの指揮をオーケストラが100パーセント音に表してくれますように。
 
 さてそのバレエ団の今年の「くるみ割り」は「お菓子の国」バージョンと「お伽(とぎ)の国」バージョンの二つのバージョンで構成するということです。前へ向かってどこまでも意欲的なバレエ団です。そしてこの公演が終わると、神戸は正月を迎える支度にはいります。

 貞松・浜田バレエ団 TEL078.861.2609 http://www.sadamatsu-hamada.com
(なお貞松・浜田バレエ団のこれまでの公演を知りたいと思われるかたは、「Splitterecho」Web版の記事KOBECAT0033,0032,0007,0002およびCahierを参照してください。http://www16.ocn.ne.jp/~kobecat/ )

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3 コメント

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Unknown (ktooha)
2006-11-26 19:09:49
先月『創作リサイタル』を拝見してすっかりファンになったのですが、クラシックバレエの公演をまだ一度もみていないんです。
チラシで拝見すると夢のように華やかなクリスマスツリーがあってお衣裳もきらびやか。それにオーケストラの生演奏もあるなんて…バレエ公演で迎える年末って素敵ですよね。あこがれます。
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Unknown (SS)
2006-11-27 00:56:58
kotoohaさま
貞松・浜田バレエ団はもともとクラシックバレエを骨格に置いている舞踊団です。創作は伝統的なバレエ界に目を見張る新鮮なビジョンを開いている新しい分野なんです。
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Unknown (ktooha)
2006-11-27 02:59:05
そうですよね。肝心のクラシックバレエをみなくちゃ!ですよね。
これまでクラシックは敷居が高くて堅苦しいかなぁと考えてしまっていましたが、あの団員の方たちのすばらしい踊りをもう一度みるために今年こそは!と思っています。
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