しゅぷりったあえこお nano

ブログ版 シュプリッターエコー

歓びと努力

2007-01-07 00:25:36 | 音楽
舞台上には、カットソーやセーター、シャツなどを白に統一してこの日の衣装にした若き演奏者たちが並ぶ。無事演奏を終えた彼らの表情は自信に溢れ、カーテンコールにはそのかわいらしい笑顔を観客たちに向けていた。

お稽古ごとをはじめる時「誰に何を習うのか」はとても重要である。例えば一口に舞踊といってもバレエにはクラシックやモダンがあるし、他にも社交ダンス、フラメンコ、フラダンス…など素人の私が知っているだけでも多彩に教室が存在する。それに指導者との相性もあるのだから慎重に選ばなくてはならない。場合によっては習う前に嫌いになるというような不幸な出会いもありうるからだ。だから目的にあった教室を見付けるためには情報収集のための時間を惜しんではならない。とはいうものの手始めに何を基準に選べばいいのか…という方にはその教室の発表会を見学するのもひとつの方法だろうと思う。

昨年の12月10日。芦屋ラポルテホールにて第3回ブライスファンが開催された。主役はこのピアノ教室「ミュージックブライス」に通う子供たちだ。第一部ではピアノの連弾で「ジングルベル」や「きよしこの夜」などの定番曲を。そして第二部ではクリスマスを楽しみしている動物たちのお話「コーギビルのいちばん楽しい日」にのせてドラム、ベース、サックスをいれたカルテットでの演奏(以上、プログラム案内文より抜粋)が披露された。
このブライスファンは私がイメージしていた発表会とは全く違っていた。スクリーンに映し出された絵と司会者によるナレーションに合わせて、子供たちが(ピアノの単独演奏ではなく)プロのミュージシャンと共演するといった構成にも驚いたのだが、演奏者である子供たちも始めから終りまで観客として会を楽しんでいたのだ。なるほど、プログラムのあいさつ文にもこう書いてあった。

…ブライスファンは、私たちミュージックブライスがめざす「音楽を楽しむ力をつけてほしい」というコンセプトを形にしたミュージックパーティーです。…

そう、ミュージックパーティー。子供たちはいままでの練習成果を披露すると同時に演奏を聴くことも楽しんでいたのである。あとで指導者にお話を伺うと、こうおっしゃっていた。
「会で子供たちが演奏した曲はこれまでの会で演奏された曲のどれとも重複していません。だから子供たちは、この曲は前にわたしが弾いた曲だわ、ということがないのです。」
だから彼らは初めて聴く演奏に興味津々だったのだ。
しかし、ということはあれである。指導者は、会の構成を考えると同時に子供ひとりひとりのレベルに合わせて何十曲、何百曲と演奏する曲の候補を考え、さらに演奏に適した楽譜も探してらしたということだ。それはとても多くの時間と手間を必要とする作業に違いない。楽しそうに笑って私に話してくださったお顔からはそんな苦労は少しも感じられなかった。

指導者が自ら努力を惜しまないこの教室なら生徒たちも音楽を楽しむための何かを学ぶに違いない、そう思った。