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ノヴァヤゼムリャ(Novaya Zemlya)

2008-11-16 | ロシア北極圏&北極


ノヴァヤゼムリャ、この地名を聞いたことのある人も少なくないかもしれない。

 19世紀末、この岩山のそそり立つ凍った島に対岸のツンドラ地帯に住んでいたトナカイ遊牧民のネネツ人が入植し、開拓が始まった。北緯70度を超えた場所ではトナカイの飼育も難しくセイウチやアザラシなどの狩猟もしながら、村が徐々に作られていった。厳しい極北の環境の中、1950年代前半には500世帯あまりの家族が生活し、毛皮交易の船が頻繁に出入りしていたらしい。

 状況は突如変貌した。ソビエト連邦は1954年、ノヴァヤゼムリャを核実験場とすることを宣言し住民は強制退去を余儀なくされた。そして翌年からは実験が開始された。

 1961年10月31日にノヴァヤゼムリャ上空に投下された、史上最大の水素爆弾「ツァーリ・ボンバ」(広島型原爆リトルボーイの3300倍と言われる)の核実験では、爆煙は1000KM離れた場所からも確認できるほどの規模で、その衝撃波は地球を3周した。地震計による観測では、その規模はマグニチュード7.0の地震に相当したらしい。

 1990年に行われた核爆発実験が最後の核爆発実験となったが、1998年になると臨界核実験が毎年秋に行われるようになった。現在もここはロシア連邦の核実験場として使用されている。

 ノヴァヤゼムリャはロシア北西部の北極海上に位置する、北極海を西側のバレンツ海と東側のカラ海に分けている大きな列島である。南北2つの大きな島と多数の小島からなる。北島は面積の約半分が氷河で覆われており、南島はツンドラ気候が大部分。

 最大の町Belushya Gubaには2600人ほどの人口があり、ノヴァヤゼムリャの人口のほとんどが集まる。ノヴァヤゼムリャの南島の西海岸に位置し、バレンツ海に面している。この島の経済、政治の中心地だ。住民は核実験に関わる軍関係の人達だ。

 この島を是非旅行したい、という物好きな方もいるかもしれない。しかし残念なことに一般の旅行者はこの島への立ち入りは禁止されている。ここへの旅行は通常の手段では不可能だろう。しかも放射能汚染の問題もある。ここに住んでいる人は平気なのだろうか。



Belushya Gubaの北西9KMにRogachevo空港がある。軍用。



北東航路クルーズや北極点クルーズでノヴァヤゼムリャに寄るものがあるらしいが、上陸するかどうか不明。




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