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ノルウェー本土と北極点の中間に浮かぶ北極の島、スピッツベルゲン島に2008年に完成した種子貯蔵庫「The Svalbard Global Seed Vault」。
この種子貯蔵庫「スバールバルの箱舟」は、数ある世界の種子サンプル貯蔵庫の中でも最も多様なコレクションを誇っている。核戦争が勃発したり、地球温暖化の影響で農場用の種子が絶滅しても、未来の人類がこれらの種子を再生できるように保存する施設ということだ。
海抜130mのところにあるため、グリーンランドや南極の氷が解けても水没する危険性はない。地下130mに設置された施設は、一帯に地震の可能性がまったくないため永久凍土層と厚い岩により停電などの場合でも、種子サンプルは凍結されたまま保存される。この施設は世界の食糧供給のための究極の保険と考えることもできる。最近では、内戦状態のシリアからヒヨコ豆、ソラマメなどの種子が新たに持ち込まれた。
この現代版ノアの方舟計画の旗振り役はノルウェー政府だが、運営面で全面的に資金協力しているのが「ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ基金」、つまりあのマイクロソフト創業者が設立した基金である。
そしてゲイツ基金のほかに、ロックフェラー財団や、シンジェンタ、モンサントなどの巨大アグリビジネス多国籍企業が、「地球最後の日に備えて未来の作物の多様性を確保する」と称して、世界中から種子を集め保管している。
過去4年間で、75万ほどの種子サンプルを集めていて、最終的には今まで人間によって利用されたすべての作物の種子を収容することになるだろう。
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施設でのセキュリティは、最先端かつ完全に自動化されている。フルタイムのスタッフはおらず、施設に入るために必要なすべてのコードを持っているスタッフもいない。
新しい種子に関しても、年に数日のみここに運びこまれるだけである。
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現在、世界各地で森林の伐採や干ばつなどで多くの動物、植物が地上から姿を消し始めている。人類の将来の食糧危機に備え、健康維持に必要な成分、素材を確保することは意義深い。しかし人類の未来を左右することになりかねない種子の保存や選別が一部の多国籍企業によって極秘に進められていることには、無関心でいるわけにはいかない。我々の知らないところで、種子を通じた世界の農業コントロール戦略が急ピッチで進められているようにも見える。
将来、自然な作物の種子を手に入れようとしても、ビル・ゲイツに使用料を払わないと手に入らない、そんな近未来が迫っているようだ。