不慮の事故で不遇の最後を遂げたS13シルビアの次に購入した車がP10型プリメーラでした。
シルビアを買ってから3年しか経っていませんから予算に余裕が無かったのですが、S13シルビアの保険が80万円下りたことと、P10型プリメーラがモデル末期を迎え大幅な値引きを出してくれたことで何とか手に入れることが出来ました。
プリメーラが納車されるまで、まめ八は車無しの生活を余儀なくされました。
毎日の通勤はもちろんの事、この頃熱中していたサーフフィッシングに行けない事がシルビアを失った悲しみに輪をかけました。
ところが、納車まであと1週間程まで迫ったある日、担当の営業氏から電話が入り、阪神・淡路大震災の影響で工場から九州に車を運ぶ事が出来ないから納車が遅れる、とのことでした。
6000名もの人命が失われた大震災の影響ですから、納車の事くらいで文句を言っては罰が当たります。結局、納車されたのは予定より2週間遅れた2月中旬だったと思います・
S13シルビアの事故はまめ八の車に対する考え方を変えました。
どんなに走りが良くてもスタイルが良くても事故を起こしてしまっては何にもならない、車は“走る、曲がる、停まる”の基本が良くないと・・・その為には、しっかりとしたボディ剛性と足回りのある車を選びたい、これが、この車を選んだ理由です。
もちろん、自身の腕を過信した無謀な運転を慎む、という事も勉強しました。
グレードはスポーツタイプのTe。オプションはサンルーフを付けて貰いました。
この車を選んだもう一つの理由は、“プリメーラ・パッケージ”と呼ばれた車内の広さです。比較的小さなボディサイズの割に5ナンバーセダン最大の車内空間を実現していました。
プリメーラに乗り始めた頃は、シルビアのタイトな車内に慣れていた事もあって広すぎて落ち着かなかったものです。もちろん同乗の釣り仲間には大好評で、大人の男4人がゆっくり座れる車内を見て、これでゆっくり寝られる、と喜んでいました。
トランクもかなり広く4人分の釣り道具やクーラーを入れてもまだ余裕がありました。
フロントがマルチリンク、リアがストラットのサスは、スポーツグレードのTeだったこともあってやや固めでした。ただ、ボディ剛性が高かったので安っぽいガタガタ感は無く、乗り心地は悪くありませんでした。かえって高速道路や路面の良い道では高い次元での安定感があり、安心してハンドルを握っていられました。
エンジンはS13シルビアと同じSR20DEエンジンでしたが、チューンによって10馬力超の150馬力になっていました。パワー的には可も無く、不可も無いというところでした。
ただ、回した時のだるさとガサツなエンジンノイズは改善されていませんでした。
この頃の車は、トヨタ車以外は遮音ということに余り気を使っていなかったみたいで結構煩かったものです。このプリメーラに乗っていた時に友人のMarkⅡの助手席に座ったことがありましたが、余りの静かさに驚いたものです。
それとインテリアの古臭さも目に付きました。P10型プリメーラのデビューは1990年。その後、マイチェンがあったにせよ、95年当時にはかなり古臭さを感じました。
例えば、センタークラスターが1Dinタイプで、2Dinタイプのカーオーディオを付ける事が出来ませんでした。シルビアに取り付けてあったカロッツェリアのカーオーディオをプリメーラに移そうとしたら、整備の方から無理だ、と言われました。それでも何とかしてくれ、と頼んだら、2段あったオーディオ取り付け開口部の仕切りをノコギリで切って取り付けてくれました。
また、当時、2兆円とも言われた赤字を抱えていた日産は、コストダウンのために車の装備を簡略化していました。このプリメーラでは、グローブボックスや灰皿、パワーウインドウの照明が廃止されていました。
1500ccのアスティナでさえグローブボックスや灰皿の照明は付いていました。特に喫煙者であるまめ八にとって、灰皿の照明が付いていないことは結構大きなショックでした。
プリメーラの最大の美点は、日産が会社を挙げて取り組んでいた“901運動”の賜物であるハンドリングでした。
この美点については、当時、“ドイツ車を越えた”とまで言われ、語り尽くされた感がありますが、本当に素晴らしいハンドリングでした。如何なるスピードで走っていても意図した所にスッと鼻先が向いてくれる、2000ccのFF車とは思えないキビキビ感のあるハンドリングは運転していて本当に楽しかったです。
この頃には峠に車を持っていくことも無かったので、振り回すような乗り方をしたことはありませんが、現在も含めてまめ八がハンドルを握ったFF車の中では一番良く曲がる車でした。
このプリメーラもよく運転しました。
毎週末の釣行で熊本県の海岸はほぼ全域回りました。他に、鹿児島市、指宿、雲仙~長崎市、大山、松江、萩、津和野・・・総走行距離は、ファミリアやアスティナ程ではなかったにせよ、7万㎞に達していました。
また、この車に乗っている時に今の奥さんと知り合い、2人でよくドライブに行きました。
そして奥さんにプロポーズしたのもドライブに行った先のプリメーラの車中でした。
その時にはトランクの中に大きな花束を隠しておいて、清水の舞台から飛び降りるつもりで渡したことを覚えています。
長女が生まれた時にもこの車で迎えに行きました。
まめ八の人生の中でも最も大切な出来事に立ち会ってくれたのがこのプリメーラでした。
ただ、子どもが出来てから道路交通法の改正によりチャイルドシートの設置が義務付けられると、当時、奥さんの車であった3ドアのスターレットでは不便になりました。
まめ八がスターレットで通勤するから、プリメーラに乗るように勧めると、旧免許であるにも拘らず奥さんは、ATしか運転できない!と言い張りました。
また、この頃にまめ八の父親が70歳を過ぎて車の運転が危なくなってきて車の運転を止めてしまいました。これからは、事有る度にまめ八が両親の足にならなくてはいけません。その為にはチャイルドシートと大人4人を乗せられる車が必要ですが、いくらプリメーラの車内が広いといっても少々役不足です。
そこで、思い出が一杯詰まったプリメーラともお別れする事になりました。
プリメーラには、1995~1999年の5年間、お世話になりました。
この車には、“お世話になった”という言葉が一番適当です。
シルビアの事故から、まめ八の結婚、長女の誕生という人生の節目に立ち会ってくれた車でした。
“ありがとう。プリメーラ”
P10型プリメーラTe・・・まめ八は、“技術の日産”が生んだ、最高の名車の一台だと今でも確信しています。
コメント
- Luxio [2009年5月27日 23:35]
- こんばんは^^
P10プリメーラ、デビューしたのは1990年の2月で、あれから20年近くの歳月が経ちましたね^^
このクルマの印象、ハンドリング面で高い評価を下されていていたと、当時の雑誌にて記されていました。
うちでも、15~20年前の我が家の足であったB12サニーの次期車種として密かに考えていたのですが、4WDモデルのT4がFFのTeに準じる装備だったことから、候補として落としました^^;
私的には、P10プリメーラで好きな色は、ダークブルーパールでしたね☆ - W650 [2009年5月27日 23:39]
- こんばんわ!
こりゃまた懐かしい車ですね。
たしか、ツーリングカーレースでもカルソニックプリメーラとして活躍してましたね。
当時としてはヨーロッパ的なデザインが受けて人気があり、走りにも定評がありましたよね。
まめ八さんにとっても人生の節目を共にした思い入れのとくに大きい車ではなかったのでしょうか?
>その時にはトランクの中に大きな花束を隠しておいて・・・。
いいですねぇ。ドラマのようです。
私もそんな風にプロポーズしてみたかったです。
なんかあっさり終わったような・・・。(笑) - まめ八 [2009年5月28日 19:37]
- Luxioさん、こんばんわ。
いつもコメントを頂き、有難うございます。
Luxioさんも買い替えの際に候補のひとつとしてプリメーラをお考えだったのですね。
ハンドリング、安定性等の走りと、広い室内空間がプリメーラの売りでしたが、装備や静粛性などファミリーカーとして重要なファクターでは、最上級グレードのTeですら当時のトヨタ車にはるかに及びませんでした。
従って、“我が家の足”としてお使いになるならば“没”という選択は正しかったのかもしれませんね。
実際に余りの乗り心地の硬さに、すぐに買い換えるファミリーユーザーが多かったと聞いています。
LuxioさんはGazooブログを休止されるそうですが、余り無理をなさらずに・・・
Gazooでは超人気ブログですから、それなりのプレッシャーや思うところもお有りでしょうが、楽しみの範囲でされるのがいいと思います。
Yahoo!の方も時々覗かして頂きたいと思います。 - まめ八 [2009年5月28日 19:46]
- W650さん、こんばんわ。
いつもコメントを頂き、有難うございます。
カルソニック・プリメーラ、カッコ良かったですね~。昔、1/24でタミヤから模型が出ていまして、思わず手が伸びそうになった事があります。!(^O^)
プロポーズの件は、若気の至り、ということで・・・(;^_^A
まぁ、奥さんにとっては一生に一度の事だから(・・・んっ!そうでもなかったか?)と思い、それなりにドラマティックな演出をしてみました。
お陰でうまく騙されてくれてめでたくGet!となりました。でも、最近、こちらが騙されてGetされたのではないか?という恐ろしい妄想が湧いてくる事があります。(;^_^A - にーなな [2009年5月29日 23:57]
- こんばんは。
P10プリメーラ。。いいですよね。ヨーロッパ車的な雰囲気が漂う、日本車離れしたスタイルの日本車でした。3BOXセダン(いまは絶滅危惧種?)が多く走っていた当時、プリメーラはちょっと気になるクルマでした。
まめ八さんにとりましても”重要な”1台だったのですね。。 - まめ八 [2009年5月30日 10:52]
- にーななさん、おはようございます。
続けてのコメント、有難うございます。
P10プリメーラは、当時のオペルやBMWに似ていてドイツ車的なイメージでしたよね。
まめ八は、このプリメーラの斜め後方からの姿が特に好きでした。
今ではよく使われる“パッケージング”という言葉を初めてCMに使ったのもこの車でした。
昨日、偶然にも久しぶりにこの車(しかも同じ色のTe!)を見ました。凄く懐かしかったです。 - EP82-SW20 [2009年6月20日 19:55]
- こんばんは。
まめ八さんの、一番の青春時代を共に過ごした車がこのプリメーラですねw。
やはり、セダンタイプの車は用途が広いから、 独身-結婚-お子さん幼少期
を十分カバーできますよね。
そこから先になると、どうしてもステーションワゴンやミニバンに移らざるを得ないですね。
セカンドカー持っていれば、そちらで青春継続できるとは思いますけどw
私はKeiワークスで、またまた青春復活です(何回目だろう 笑) - まめ八 [2009年6月20日 23:03]
- EP82-SW20さん、こんばんわ。
2連投有難うございます。
まめ八の家ではセカンドカーといえども奥さんが運転する可能性があるのでMT車を買うことは難しいでしょう。(;^_^A
それでもソニカを購入してから久しぶりに車に対して熱い気持ちを持つ事が出来ました。
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