1月から始まったツヴァイシェンレーズンク製作記も、どうにかこうにか最終回を迎える事が出来ました。
前回、迷彩と塗り分けを完了したので、いよいよ最終工程に入ります。
まず、デカールを貼ります。
このデカールの貼り付けにはマークソフターを使用しますが、余り大量に塗布するとデカールがヘロヘロになって位置決めが難しくなるので注意が必要です。
デカールを貼る位置に予めデカールソフターを塗り、その上からデカールを貼り付けます。位置決めが終わったら、デカールソフターをもう一度デカールの上から塗り、暫く時間をおいた後、余分な水分やデカールソフターを綿棒で吸い取り、デカールを貼付面に密着させます。
デカール貼りが終わりました。
デカールがしっかり定着したら、足回りに薄く溶いたアクリルのフラットアースをエアブラシを使って吹き付けます。これが薄く積もった埃になります。
この後、ウォッシングに入ります。
エナメル塗料のレッドブラウンとフラットブラックを7対3の割合で混色し、ペトロールでかなり薄く希釈します。
このシャブシャブになったこげ茶色を平筆を使って模型全体を洗うように塗っていきます。
この工程をウォッシングといいます。
ウォッシングが終わった車体側面及びエンジンルームと、まだ終わっていない足回り部分を比較するとその違いがはっきりとお解りになると思います。
全体にこげ茶色を塗り終わったら、塗料が完全に乾くまで待ちます。
ペトロールは乾燥が速いので作業効率が良く、気に入っています。
塗料が乾いたらペトロールを染ませた綿棒で、コレを拭き取っていきます。
その際の基本原則は、必ず上から下へ綿棒を動かす事です。
これによって雨垂れによって出来た汚れ染みが表現できます。
テールランプやドアノブ、サイドミラーの基部から黒い汚れ染みが縦方向に付いた車を時々見かけますね。この汚れを再現してやるのです。
写真は転輪なので適当に拭き取っていますが。。。
ウォッシングの際には綿棒を大量に消費します。
まめ八は“百均ショップ”で300本入り100円の物を使っています。
奥まった所は綿棒の先を爪で少し伸ばして使いますが、更に細かい所は赤ちゃん用の綿棒を使っています。
赤ちゃん用の綿棒は、百均ショップでは手に入りませんから薬局やベビー用品店の安売りの際にまとめて購入しています。
右が大人用、左が赤ちゃん用の綿棒です。
赤ちゃん用の綿棒を使い、通常の綿棒では拭き取れない転輪のハブキャップ周辺を拭き取っている所。。。
綿棒による拭き取り作業が終わると、完成まで秒読み段階。。。
エナメル塗料のバフを使ってドライブラシを全体にかけてやります。
その後、メタルカラーのダークアイアン、スーパーアイアンを金属がむき出しになっている部分にドライブラシ。
それが終わったら、今回初挑戦してみたチッピングの作業です。
チッピングとは、塗装の剥げや斑点状に浮いた錆を再現するAFV模型独特の塗装技法です。
これまでまめ八はこのチッピングの作業は行ってきませんでしたが、今回のツヴァイシェンレーズンクは、バトルダメージによってトーマシールドが外れた状態にしているので、他の部分に傷が無いのも矛盾していると思い、敢て初挑戦してみました。
毛の硬い筆をわざとバサバサに荒らして、その筆にエナメル塗料のガンメタルを付け、紙パレットの上で余分な塗料を落としてから角の部分を中心に軽く押し付けて行くと、擦れて塗装が剥れてしまった様子が再現できます。
ただ。。。これが意外と難しい。。。
塗料が筆に残りすぎているとベタッと付いてしまうし、逆に塗料を落とし過ぎると何度やっても色が付かない。。。
エナメル塗料を使っているので失敗したらやり直せば済む事ですが、せっかくドライブラシをかけた部分まで色が落ちてしまうので、今回はごく一部に施すに留めました。
いつもならば、この後、パステルを使って泥や埃、錆を表現する所なのですが、いつもいつも泥まみれの車両では面白くないので今回はこれで終了。
フラットホワイトを混色して明度を上げたアクリル塗料のダークイエローを薄く溶いて、エアブラシを使って全体にサッと吹きかけ完成です。
ついでに前回のSd.kfz.7/2に乗せたフィギュアを塗装する際に顔だけ塗っておいたフィギュアも完成させて乗せてみました。
完成写真は、次回の戦車模型展示室にてご紹介したいと思います。
コメント
- EP82-SW20 [2010年10月4日 21:15]
- こんばんは。
いやいや、泥の表現は無くてもこの写真を見ると十分プラスチック感が無くなっていますよ。
それにしても、工場が空襲でやられてしまったとはいえ、Ⅳ号の車体にそのまま駆逐戦車の上部を載せてしまうとは、いかに戦況が逼迫していたかわかりますね。
設計者として見れば、砲の下端の位置を操縦手のペリスコープ近くまで下げて全高も下げたいですよね。
むしろⅣ号突撃砲の方がまとまりとすればスマートかも。
絶対的な破壊力ではこちらが、しかし機動力とのバランスの良さを加味すると、攻撃力では互角でしょうかね。
防御力は車体上部を出しただけの状態では、こちらは傾斜部だけを露出させられるから有利かもしれませんねw - まめ八 [2010年10月5日 20:54]
- EP82-SW20さん、こんばんわ。
いつもコメントを頂きまして有難うございます。
金属表現が出来ているという感想を頂きホッと安堵しております。!(^O^)
Ⅳ号突撃砲の方が兵器としてのまとまりというか、完成度は高いのでは?というご意見には私も賛成です。この手の車両の運用戦術は待ち伏せ攻撃がセオリーですから、背が低いということは絶対条件となるはずです。それがツヴァイシェンレーズンクは元になったⅣ号戦車よりも背が高くなったということは、カタログデータ的にはⅣ号戦車よりも強力に見えますが実際の戦闘では、旋回砲塔付きのⅣ号戦車よりも運用が限られていた物と想像できます。
JS-2やT-34/85といった強力なロシア軍戦車に対抗出来なくなったⅣ号戦車を何とか戦力化するために生み出された苦心の車両である事には間違いないようです。
蛇足ながら、連合軍の空襲により工場が壊滅的な打撃を受けたⅢ号突撃砲の代わりに生産されるようになったのはⅣ号突撃砲で、Ⅳ号駆逐戦車並びにツヴァイシェンレーズンクは、ロシア軍の新型重戦車に対抗すべく開発されたⅣ号戦車の発展型になります。 - おぺ [2010年10月9日 0:22]
- こんばんは。
ウォッシングやドライブラシとAFVモデリングの真髄をみる思いです。素晴らしい質感ですね。
アクリル、エナメル、ペトロール…塗料の重ね方がすごく複雑ですね。順番がわからなくなってしまいそうですw。ペトロールはエナメル溶剤とほぼ同じ性質なのでしょうか? - まめ八 [2010年10月9日 21:37]
- おぺさん、こんばんわ。
いつもコメントを頂き、有難うございます。
お陰をもちまして何とか完成にたどり着けました。o(^▽^)o
塗装を重ねて行く順番は、塗料の強度と溶剤への耐性で決めています。
ラッカー系塗料を、エナメルやアクリルの上から塗ってしまうとそれらの塗料を溶かしてしまって色が混ざってしまいます。エナメルの上からアクリルを塗ると、アクリル塗料がダマになってしまいます。そこで必然的にラッカーの上からアクリル、その上にエナメルという順番になってしまうのです。
ペトロールは、元来は油絵の具の溶剤です。
性質としてはエナメル塗料と殆ど同じで、臭いも同じように石油系です。
ただ、タミヤエナメルの溶剤と決定的に違うのは、プラスチックや接着面を余り侵さないところにあります。また塗料の伸びも良いようですし、乾燥してからも完全に拭き取る事が出来る事も利点です。値段もタミヤエナメルの溶剤と変らないのでとても気に入っています。
今後、同じ油絵の具の溶剤であるオドレス・ペトロールやターペンタイン(テレビン油)も試してみたいと思っています。
あなたのブログにコメント投稿されたものです。