「ボクセルポリゴンな日々」 - UnityでMakersとVRをつなぐ挑戦 -

Unityプログラムで3DCGアセットデータをVRや3Dプリンターで利用可能にする最新技術や関連最新情報を紹介します。

「立体出力可能な形状モデルに作り変え(その17)」あにまさ式弱音ハクさん立体出力ギャラリー・その2

2013年01月27日 21時29分41秒 | MMDアバンドール



あにまさ式弱音ハクさん(あにまささんに許可を頂いた上で改造させて頂いてます)の立体出力改造作業シリーズ第17弾です。

第16弾に引き続き、立体出力モデルの撮影画像です。今回は1眼レフカメラ「EOS KissX3」で撮影しました。

撮影場所は大阪日本橋のほど近く、南海難波駅のすぐ近所。浪速郵便局の真正面にあるがれ喫茶・猫鯖さんです。(^^)















さすがに1眼レフ撮影だけあって、石膏粉末出力タイプ立体出力品の細部を余すことなく撮影出来ています。(^^)


表面のざらざら感はこの方式独特の物です。

他の出力品に比べて壊れやすい性質を持つのもこの方式独特と言えます。

しかし、含侵(出力品の強度を上げるためシアノアクリレート系接着剤を出力品に吸収させる)工程において、シアノアクリレート系接着剤の代わりもしくはそれと併用する形でエポキシ系のレジンを含侵させればモデル表面の手触りや丈夫さがある程度改善できる事が分かっています。

ただ、エポキシ系レジンは時間がたつと黄変(すなわち黄ばむ)するのがネックでした。


ところが、昨日その問題を解決する素材がある事を知ったのです。

今後それを使って含侵テストをやってみたいと考えてます。(^^)


今後の目標について。

2013年01月26日 23時08分16秒 | 立体出力(技術およびサービス)



あにまさ式弱音ハク姉さんの立体出力は成功裏に終わった訳ですが、

今後の立体出力を考えると今回立体出力までに至る作業量はまだ誰もがカジュアルに立体出力したいという思いを持てない程の現実を示していると言えます。


これを画期的に変革し、誰でも楽に立体出力できる3DCGモデルデータを得られるようにするには2通りあります。


(1)MMDモデルデータを最初から立体出力を考慮した形で極力「水漏れしない形状データ」
   で組んでおき、立体出力前のポリゴン修正作業を最小限にする。


(2)レンダリングしたイメージを立体出力用データに自動変換するプログラムを開発する。


(1)については、今回あにまさ式弱音ハクモデルの立体出力で行なった「水漏れしない形状データ」への作り替えをMMDの標準ボディに対して行なうというものです。

但し気をつけなければならない点があります。

MMDモデルは表情アニメーションを行なう際、顔部分の形状をモーフィング(ポリゴンモデルの変形)処理を行なう事で実現しています。

それ故に顔部分に水漏れ改造のためにポリゴン追加を勝手に行ったら、表情アニメーションでモーフィングターゲットとなるポリゴン形状の座標およびポリゴン情報の順番が狂う事になるため結果的に顔がぐちゃぐちゃに潰れる等モーフィングの失敗処理が発生する事になります。

これを回避するには顔部分のポリゴン追加を回避するより他方法はありません。立体出力する場合顔部分のポリゴン修正が残る事になりますが、その他のパーツの水漏れ防止が完了していた場合には作業量がかなり軽減される事になります。これは決して効果の無い方法とは言えません。

現在筆者は顔部分の形状モデルも水漏れ防止形状に作り変えた独自制作モデル(次期そむにうむ式初音ミク)を制作中です。(汗)

時間を見て顔モーフィング以外の水漏れ防止を施したMMDモデルの作例を公開したいと思います。(^^)


(2)については、フィギュア的なモデルの出力は現状難しいのですがレリーフのような立体感を持った立体出力用形状データを制作する上で補助になるプログラムの設計を進めています。

そのヒントとなるプログラムとしては既に公開されているDotFabがあります。(名前クリックでダウンロードサイトに飛びます)





このプログラムでは画像データを構成する「画素」の一つ一つをキューブ型のポリゴンデータに変換するというユニークな物です。

また、設定を弄るとキューブをその場で回転させる事が出来、アニメーションにするとユニークな展開を見る事が出来ます。





ところで3DCG描画においては面同士の前後関係を判定するために「Zバッファ法」という処理を利用しています。

このZバッファとは3DCG描画により各画素に色を書きこむ際に、同時に計算した各画素ごとの奥行き情報を記録する場所です。Zバッファは各画素と1対1の関係になっています。

すなわちZバッファ法で描画処理が行なわれる時、各画素ごとに奥行きすなわちZ位置情報を記録しているのです。

この情報を取り出して上のキューブの奥行き距離に設定すると、平面的な画像が立体的に盛り上がるレリーフ状になります。

この原理を利用すれば、上記のような水漏れ防止形状データを作らなくてもどんな3DCGモデルでも描画が出来れば直ちに立体出力が可能な形状として取り出す事が可能になるのです。


今後このコンセプトを実現する試作プログラムを開発し公開する予定です。(^^)


「立体出力可能な形状モデルに作り変え(その16)」あにまさ式弱音ハクさん立体出力写真ギャラリー

2013年01月25日 20時31分10秒 | MMDアバンドール



あにまさ式弱音ハクさん(あにまささんに許可を頂いた上で改造させて頂いてます)の立体出力改造作業シリーズ第16弾です。

昨晩は慌てて写真を撮影したので結構ピンのきてない画像が多くて失礼しました。

今晩はあらためて写真を黒バックで撮影し直しましたので、昨日よりはピントの合った画像になっていると思います。

改めて正面アップと各アングルからの画像をご覧ください。



















今回はモデルの大きさもコンパクトにまとまっているので持ち運びも手軽です。(^^)




「立体出力可能な形状モデルに作り変え(その15)」遂に完成!フルカラー立体出力モデル。(^^)

2013年01月24日 20時15分10秒 | MMDアバンドール



あにまさ式弱音ハクさん(あにまささんに許可を頂いた上で改造させて頂いてます)の立体出力改造作業シリーズ第15弾です。


このシリーズを初めて一か月あまりが経過しました。

前回フルカラー立体出力を発注して1週間と少し。本日、事務所に小箱が届きました。(^^)





中を開けるとこんな感じで丁寧に梱包されてました。





梱包を開けると、ハク姉さんの姿がちらり…。





衝撃を吸収するため様々な工夫がされていました。





それらを慎重に取り除き、やっと立たせてみました。

























おおおおおおおおおおおおお!!


懸念されていたパーツ破損の問題は全くなく、細かい部分も非常に美しく仕上げられています。
リボンの縁のエッジが立っている様は感動的でした。

それではじっくりと見て行きましょう。まずは上半身のアップから。





次に横から見た姿を。





少し斜めから。





フラッシュライトをつけて上半身を。





ここまで美しいと大満足です。


ここで今回立体出力した弱音ハク姉さんの出力方式とスペックをまとめます。


【立体出力方式】

 ・石膏粉末積層型(フルカラー塗装済み)

【3Dプリンター機種名/メーカー名】

 ・ZPrinter650 / 3DSYSTEMS Inc.(旧ZCorporationを買収)

【出力サイズ(縦・横・奥行き)】

 ・11.5cm×3.1cm×6.1cm

【縮尺比率】

 ・ほぼ12分の1.(figmaと同縮尺)

【出力をお願いしました立体出力サービス会社さん】

 ・株式会社アイジェット


そして、気になる今回の出力コストは以下の通りです。

 ・立体出力代: 8,400円(税別)
 ・送   料: 2,000円(税別)

ということでトータル10,920円かかっています。

しかしこれを手作りしたりガレージキットが出来るのを待つよりははるかに早く、そしてはるかに美しく、さらにはるかに手間がかからないお値段以上の成果だと思います。



・・・・・・・・・・


このように、あにまさ式弱音ハク姉さんを3次元世界に召喚するミッションは無事終了しました。

このモデルデータは後日公開予定です。Thingiverseにはモノクロモデルの出力可能形状データが公開されていますが、

ここまでこのモデルの製作にかかった工程や出力結果を表示するための動画の制作に入ります。

フルカラー対応立体出力3DCG形状データの公開は動画のリリースと共に行ないます。

それまで今しばらくお待ちください。(_ _ )

海外における3Dプリンターの動向

2013年01月23日 18時18分16秒 | 立体出力(技術およびサービス)



MAKERSやFablab活動が注目されている昨今において、海外とりわけアメリカにおける3Dプリンターの動向はどうなってるのかというとやっぱり盛んではあるようです。

その動きを代表する物としては、やはり3Dプリンターメーカーの増加傾向にあると思います。

昨日3Dプリンター関係の業界情報を扱うブログサイトFabbalooに以下の記事が載っていました。


"Emerging Personal 3D Printer Business Patterns"(Fabbaloo, Tuesday, January 22, 2013 )


英語なのでサクッとGoogle翻訳にかけて読むのがよいでしょう。翻訳された題名は「新興のパーソナル3Dプリンタ事業のパターン」となっています。

翻訳された本文に目を通す限りでは、新興3Dプリンターメーカーが心がけるべき4つの事柄について書かれてあります。

1.自分の工場で、独自のプラスチックを作り出す

これは自社の3Dプリンターの出力精度(=どれだけ細かなパーツを出力できるか)を保証するための大切なプロダクトです。3Dプリンターは装置の精密な動作もさることながら、その精密な動作に対応して精密なモデルを出力できるプラスチック素材の確保が重要なのです。これが確保できないとどの3Dプリンターも性能面での差別化が難しくなります。


2.独自のカートリッジ内の材料を出荷する

3Dプリンターもプリンターという周辺機器である以上、ビジネスモデルの構築に不可欠なのが「消耗品ビジネス」です。日本のフルカラープリンターが2000年代初頭にがくっと値を落としてきた背景には、ビジネスモデルを本格的に消耗品ビジネスに切り替えたという歴史的経緯があります。具体的に言うと「プリンター本体は低価格で販売してどんどん使ってもらい、インクカートリッジや紙などの消耗品を大量消費させることで儲ける」と言うスタイルです。3Dプリンターも一般普及に弾みをつけるためにはこのビジネスモデルに舵を切らなければなりません。


3.印刷するために顧客のための偉大な3Dモデルの大規模なリポジトリを持っている

このあたりは翻訳が少しおかしいです。少し成形すると「印刷する顧客のために広大な3Dモデル用大倉庫を持つ」となります。すなわちお客様に3Dプリンティングを楽しんでもらえるようにするための様々な3Dデータが詰まった倉庫を用意しておけと言う事です。これは新興会社が1社で賄うのは難しいと思います。Thingiverse等の3Dデータ系SNSとの連携は不可欠でしょう。


4.生成的なカスタム3Dモデルを提供する

上記の膨大な3Dデータ倉庫を用意するだけでなく、3Dプリンターユーザーが望めば少しの労力で望みの改造3Dモデルが出来るツールやプログラムやWebサービス等を自前で調達せよ。ということですが、これには各会社のソフトウェア開発技術力等のノウハウが必要になります。


このように新興企業ではなかなか難しい事柄が書かれています。しかし、これらのどれもが3Dプリンター事業を成功させるために必要な事であるのは明らかです。


その他、一般向けの3Dプリンター解説動画で面白い物を見つけました。(^^)


The 3D Printing Revolution



英語なのが残念ですが、それでも映像を見てるだけで3Dプリンターに期待している事が理解できます。
米国においては3Dプリンターが家庭用に使われる最終商品を作成する道具として活躍する事を考えているのです。(映像の例では靴ですが)


実は上記の3Dプリンターの使われ方は、日本では想定できていなくて、3Dプリンターの専門家にこの話をしても殆どの場合笑い話にされてしまいます。

曰く「まだ実用的な性能を備えていない」「出力コストが高すぎる」「時間がかかり過ぎる」「出力品の強度が確保されていない」という答えが返ってくるだけです。

このあたりは既存の3Dプリンターで辛酸を舐めつくしている者だけが知る情報なのですが、それゆえにそこから出て次の手を考えられていないとも思うのです。


しかし、そうこうしているうちに高い目標を掲げている者達は前に進んで行きます。

米国3DSystems社が画期的な低価格3Dプリンター「Cube」を昨年発売した事は記憶に新しい所ですが、既に多色プラスチック素材で立体出力が出来る新しい3Dプリンター「Cube X」を発売しています。


CUBEX FEATURES(Cubify 3DSYSTEMS)


世界に目を向けると、様々な3Dプリンターや3DCGコンテンツの「夢」が落ちているようです。(^^)