「ボクセルポリゴンな日々」 - UnityでMakersとVRをつなぐ挑戦 -

Unityプログラムで3DCGアセットデータをVRや3Dプリンターで利用可能にする最新技術や関連最新情報を紹介します。

3Dプリンターの普及によって起こること。

2013年01月28日 11時12分12秒 | 立体出力(技術およびサービス)



現在、MakerbotやRepRap系のいわゆる「ABS溶融積層方式」の安価な3Dプリンターが日本でも比較的安価に入手できるようになってきています。

上記写真のモデルも20万円程度で入手されたそうです。現在、アメリカではこうした骨組みが露出している試作機っぽい3Dプリンターからメーカーが筐体デザインして作られた製品(例:3DSYSTEMS社のCUBE等)が存在します。


これらの3Dプリンターが増えていくために欠かせないのが立体出力可能な3DCGモデルデータです。


3Dプリンターを持ちたいという動機付けを強くさせるためには、やはり立体出力したいと思う魅力的な3DCGモデルデータが無ければいけません。

しかし魅力的な3DCGモデルデータとは何でしょうか?

例えばそれは私が「MMDアバンドール」で実現させようとしているMMDモデルの立体出力であると思います。が、それは一つの例であってそれが全てではないです。

ましてや「無い物は作れ」主義で自分で1から3DCGモデルデータを作ろうとするのも違います。

かつて3DCGツールの黎明期にそれで多くのアプリケーションユーザーを集めて疲弊させた「3DCG美少女」や「バーチャルビューティー」というキーワードがありました。

3Dプリンターの歴史がその過去の轍を踏む必要はないと思います。


それよりも3Dプリンターには、今現在出力して楽しいデータが増えています。

Makerbot.Thingiverseを始めとする立体出力可能な3DCGモデルデータを集めて出力してコレクションするだけでも楽しい物があります。

将来的には電子書籍連動型3DCGモデルデータコレクションが発表されて、画面で見るだけでなく自宅の3Dプリンターで出力して手にとることができたり集めたりできる3DCGモデルデータが出てくると思いますし、

3Dプリンターで玩具をプリントアウトして楽しむ事も出来ます。これらのうち一部は既に実現しています。


しかし一方で3Dプリンターを使って上記のような3DCGデータベースに登録されているデータを出力するのは、ネットに出公開されているPDFをプリンターで印刷するようなものだという論調で空しい行為であると指弾する向きもあります。これに対して筆者は単に3Dプリンターで3DCGモデルデータを立体出力するだけでも十分クリエイティブであると反論します。

何故なら、3Dプリンターで立体出力する事により物の持つ形という豊富な情報量を手にする事が出来るからです。


文章や絵でいくら説明しても、実物を見なければわからない事があります。そして、模型は実物の情報を余すことなく伝える義務を果たすために作られています。

これを3Dプリンターで手にする事が出来ると言う事は形の情報伝達なのです。


PDFで文字を印刷する行為と単純に比較したり、現在のプリンター感覚の手軽さを引き合いに出すこと自体前提がおかしいと思うのです。

それに、3Dプリンターで3DCGモデルデータを出力すると決める時、出力対象になる3DCGモデルデータは出力する人が気にいった形を選んでいる筈です。

この形を選んでいる人もまた、ある種のクリエィティブな行為を行なっているのです。


3DCGモデルデータを自ら作り出す事が出来れば3Dプリンターを使いこなす事はたやすいと思います。

しかし今後は3DCGモデルデータを作る努力を最小限のものにしなければ、3Dプリンターの存在意義も無くなります。

カジュアルに3DCGモデルデータをチョイスし3Dプリンターで出力できる時代にするには、3DCGモデルデータが豊富にあるだけでなく、ちょっとした工夫で3DCGモデルデータが作成可能な状況や技術が必要だと思います。

MMDアバンドール活動も、そうした状況や技術に貢献できる物にしていきたいと思いますし、そのために必要な技術開発についても個人的にですが追求し発表していきたいと考えています。(^^)



◎追記:


結局「3Dプリンターの普及によって起こること」とは・・・。

有用な3DCGモデルデータの流通と、その立体出力による製品の革新。あるいは立体出力による製品の革新が3DCGモデルデータの普及に拍車をかける。

かつて3DCGモデルデータの作成と立体出力がプロフェッショナルワークによって秘密裏に行なわれてきた時代は終わり、

誰もがアクセス出来て誰もがダウンロードできて誰もが3Dプリンターで出力出来て誰もがそのデータを改造出来て、そして誰もがその3DCGモデルデータを共有できる。

3DCGと立体出力がソーシャルを主導する時代を招来せしめると思うのです。


その中で3DCGモデルデータ制作のプロになりたければ専用ツールの使い方を習得すべしですが、プロになったからと云って食っていけるとは限らなくなります。

ある意味3Dプリンターは3DCGモデルデータを「音楽」と同じ次元にいざなうiPodのような存在になるのだと思います。(^^;)