EasyRecasterの開発状況についてですが、本日ようやくレリーフ処理結果がプログラムウィンドウ内に表示できるようになりました。
現状ではまだまだ実験プログラムの域を出ず、レリーフ平面位置の設定も現状ではソースコードの編集に依っています。
この辺りを変更して最低限のプレーン位置設定機能や、その設定情報のファイル入出力機能を早急に作成したいと考えています。
・・・・・・・・・・【EasyRecaster明日からの実装機能開発について】・・・・・・・・・・
それよりも、
プログラムが動き始めてから気になりだしたことなのですが、
このプログラムでは画面に正対するピクセルの立体曲面化は現在正しく動作しています。
しかし横から見ていただくと分かる通り、レリーフ状になっているので背面の板とストレートにつながっています。
正面から見る限りは立体物として楽しめますが、横から見るとプログラムの立体化の限界をさらけ出してしまうのです。
出来れば横から見ても立体物として見られるようなレリーフ化が出来れば、立体出力物はより一層フィギュアに近い形状になります。
それが開発者としての願いでもあります。
ここ数日間横面ないし背面から見ても立体物になるような計算方法は無いか検討していましたが、
一昨日はたと思いつきました。
「裏面も同様に描画し、同様に立体化処理してから表面と統合してしまえばいいじゃないか!」
考えてみれば、このプログラムではメタセコイアモデルを描画する際に画面正面から見て裏側になるポリゴンは自動的に描かないようにする設定(=カリング)を行なっています。
このカリング設定はOpenGLにより柔軟に行えるようになっており、これとは逆に「裏面」のみを描画して表面は描画しないようにすることが出来ます。
しかしその場合においてもまだ問題は残ります。それはOpenGLが採用している描画計算アルゴリズムである「Zバッファ法」の処理方針です。
「画面の手前のポリゴンを残し、奥のポリゴンを消去する」
ところがOpenGLではこの処理方法を変更し、
「奥の物を残して手前の物を消去する」描画を行うことが可能なのです。
(専門的な話ですが、glDepthFunc()関数の利用により実現出来ます。)
ということは、「裏面ポリゴンを、奥の物を残して手前の物を消去する」方法で描画すれば、背面モデルの表面形状を計算により生成することが可能です。
ここまでわかった以上、やらないわけには行きません。
ということで、明日以降この機能の実装に向けて挑戦を始めます。(汗)
今週中に出そうと思っていました試作物ですが、この機能の実装を確認次第改めて試作ぶつを出し直し、
立体出力サービスにかけてその結果を確認したいと思います。(^^;)
・・・・・・・・・・【昨今の3Dプリンターをめぐる論争に対するアレコレ】・・・・・・・・・・
最近は3Dプリンターについての様々な最新ニュースが飛び交うようになり、立体出力界隈も楽しそうな状況になって来ました。
中でも朗報なのは米国の老舗3Dプリンターメーカーのコンシューマー向け低価格3Dプリンターの販売が始まる等の情報が出てきたことです。
(※2013年4月25日現在、ソースを失念したため具体的にかけなくて申し訳ありません。ソースを発見次第再掲します。)
それに呼応するかのように米国内で展開している様々な3Dプリンターとその出力用形状データ共有サービスが日本でも紹介され、
日本においても同種のサービス開始が待たれる状況になって来ました。
現在開発中のEasyRecasterもそうした流れを支援する存在としてお役に立てるように頑張りたいと考えています。
しかし、こうした流れの中で「3Dプリンターは米国のような具合には普及しない」という論調が認められます。
3Dプリンターを利用するには3DCGモデリングスキルがなければならない、という主張も見受けられます。
こうした意見は、米国から始まった3Dプリンターブームとは真逆の意想ベクトルから発せられたものと思います。
何故こうした意見が出るのでしょうか?
それは日本国内における3Dプリンターの登場と過去の利用シーンが絡んできます。
昨年のMakersブームが発生する前から3Dプリンターという機械は存在していました。但しその頃は3Dプリンターとは呼ばずに
「RP機(Rapid Prototyping Machine)」と呼称していたのです。
その頃の3Dプリンターの役目は、
「金型を作成するための試作モデルを評価するための立体出力装置」だったのです。
すなわち、3Dプリンターの立体出力物は、
それをそのまま何らかの製品として売るためではなく、
その出力品を利用して金型を作成し、低価格で同じ形の製品を量産するための試作品として利用するためのものだったのです。
しかし、金型を作るということはその時点で100万円オーダーの製作費がかかります。
昨年末以降注目されている3Dプリンターは、この金型をすっ飛ばして直接最終製品を制作することを目標に開発が進められているのです。
それは金型陣営にとっては市場縮小を意味します。すなわち死活問題です。
そのため、以前から金型市場向けに3Dプリンターを売ってきた人たちは、
3Dプリンターにより金型市場を潰されることを恐れて微妙なネガティブキャンペーンを張っているのです。
(「微妙な」と記述したのは、3DプリンターもRP機も同じ種類の機械であるため、それぞれに興味をもつ人間をDisることになればどちらからも批判されてしまうのを回避する狙いがあることを指しています。)
とは言うものの金型製作のために3Dプリンターを利用する人口よりは、個人的な立体物の入手や商品の生産のために3Dプリンターを利用する人口のほうが今後は増えることは目に見えています。
米国におけるWebでの3Dプリンターサービスはどれも後者の人口増を狙ってのものばかりですし、ソーシャル内での興味は常に後者の側にあります。
これらに背を向けて、3Dプリンターの生産性をことさら否定しようとするのは建設的ではないし、むしろ哀れな気がします。
個人的に金型の有用性については否定しませんが、量産して量販するといった20世紀後半の大量生産大量消費モデルを推し進めるには現在は情報が多様化しすぎているのです。
セオリー通りにTVCMを打って10万100万さばける製品を作る場合は量産コストとクォリティを考慮する必要があったのですが、
既にその産業は新興国にシフトしていってます。
(※生活必需品や、需要が決して無くならない製品については日本国内での量産を続ける必要があると思います。)
さらにWebの普及はスマフォによって加速し、商品をあらゆる場所で検索し調査し比較検討しできるだけ安く購入できるようになりました。
そのため小売は常に苦戦を強いられています。大型家電量販店ですら売上は下がっていますし、既にTVやオーディオといった主力商品も市場の縮小が続いています。
物が売れないのは消費者の意識が変わってきたためです。
その消費者のこだわりをすくい上げる機械として3Dプリンターは注目されつつあるのです。
そしてその可能性を信じる人達がネットやソーシャルツールを介して集まってきています。
こうして集まった人たちの頭脳と情報交換が、今後の3Dプリンターと、そこから生み出される新しいアイデアを加速することは目に見えています。
意想の集合体による生産性の加速は既にWeb上で何度も証明されています。
この流れを無視することは、ガラパゴスと揶揄された日本の携帯電話以上に日本人のクリエイティブ能力を後退させる要因になり得ると思うのです。
故に、歩みを続けましょう。(^^)