Mayumiの日々綴る暮らしと歴史の話

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◆臆病につけ込む ニセ幽霊の犯罪

2024-05-13 10:50:46 | Weblog

1人のイラストのようです
月岡芳年の肉筆絹本 『幽霊』

オーバーコート、テキストの画像のようです
江戸っ子に知名度が高い幽霊 お菊 月岡芳年

 文化十五年(1818)三月頃のこと。奥州若松(福島県会津若松市)で、ある者の妻が病死した。
妻を愛していた男は、死後、毎日のように妻のことを語って止まず、遂に病気になってしまった。
するとその後、毎夜、八つ時分(午前二時)になると、男の寝ている枕元に、亡き妻が現れて、
「私が生きている時に持っていた品々が心懸かりで、浮かばれずにおります。どうか望みの品をお渡し下さい」という。
亭主は臆病者で、言われる通り押し入れの中の簪の入れてある箱を教え、布団を引っかぶって慄えていた。
幽霊は自分で櫛・簪を取り出して持ち去った。
それ以来毎晩のように幽霊は八つ時分に来て戸を叩き、衣類も持ち去った。
男は増々病気が重くなり寝ついてしまった。
近所の心やすい友人が見舞いに来て、いろいろ問いただしたところ、
毎夜、亡妻の幽霊が出て物品を持ち去ることが分かり、友人は妙に思って、
その夜、九つ(十二時)頃から物陰に隠れて見張ることになった。
程なく定刻、例の幽霊が白装束で現れ、物品を受け取って帰ろうとする。
友人は背後から抱きとどめ、灯火に照らしてみれば白い着物を着て青ざめた顔色の不審な女、
顔を洗い流すと、かつて亡妻が病気中に看護を依頼した女とわかり、
死後に遺品を盗み取る為の芝居であると判明した。

この女は召し捕らえられて一件は落着となった。
               




                    (『文化秘筆』 巻二)
   


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 高橋作左衛門(1785~1829、幕府天文方、シーボルト事件に関与して獄死)の子ども二人が八丈島に遠島処分になった時のことである。他にも島送りの囚人十四人が船に乗せられて行く中に、五十五歳の婦人がいた。
その女の罪状を訊いたところ、去年(文政十二年、1829)三月、築地(東京都中央区)辺りの大火の時、
ニセ幽霊となって人を騙し盗みを働いた罪であるという。
その方法はというと、闇の中で白い衣服の裾の下部を黒く染めたものを着、背中に黒い板状のものを背負い、
チラリチラリと人前に出る。
逃げ去る時は、背負った板が黒い為、闇に紛れて消え失せたように見える。
このようにして多くの人の眼をかすめ、家財を盗み取ることができた、という。
実に新手法である、と人々は感服していたが、文化中(1804)、永代橋が崩れた時にも、
この手のニセ幽霊事件があり、今回はその模倣犯にすぎない。
          




                   (『甲子夜話続編』 巻四十一)





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                               江戸時代 怪奇事件ファイル

 

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