太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

花の名前

2021-09-08 07:35:30 | ハワイの自然
職場の、従業員用のパーキングにある花。

オレンジのブドウみたいな実と、薄紫の花が一緒に咲いている。
これが10mぐらいにわたって咲いていて、とてもきれいだ。
誰に聞いても名前を知らない。
聞いたところで、私は花の名前を覚えていられないのだけど。
花の名前だけじゃない、人の名前もだ。
名前だけじゃない、人の顔も。
人の顔は、その人がいる場所とひっくるめて記憶するので、近所のおじさんとどこかでバッタリ会っても、わからなかったりする。
これは若い時からそうなので、老化ではないと思う。

久しぶりに会った人の名前が出てこなくて、当たり障りのない会話をしながら、
頭の中では「なんだっけ、なんだっけ、なんだっけ」と記憶の箱を引っ掻きまわしている。(見つかる確率はそう高くない)
だから私は誰かに出会ったとき、
「あらー、久しぶり!シロですー」
というように、自分の名前を言うようにしている。
記憶の箱を引っ掻きまわして出てこないのは私だけかもしれないけど、私なりの気遣い。


さて。この花の名前を勝手につけた。
花がスミレみたいなので、バイオレットグレープ。すみれぶどう・・・そのまんまじゃん。


うちの庭も、よその庭も、道端も職場も、とにかくものすごい種類の草木がある。
職場の従業員用のパーキングだけでも、この花以外に、モンキーポッド、ココナツ、コットン(綿の木)、ガーデニア、ノニ、バードオブパラダイス、ジンジャー、ハラチ、モンステラ、タロ、ガーデニアが群生している。
草木の名前も、このぐらい覚えていれば充分。
ということにしておく。




割れない食器

2021-09-07 07:31:11 | 日記
気に入っている食器ほど、なにかの拍子に割ってしまう。
使う頻度が高いからなのだろうけど、ポーランド製の手描きのティーポットを立て続けに2個割ったときにはガッカリもひとしおだった。
高価じゃないが、使いやすくて気に入っている手頃なサイズのボウルなど、
買った店がなくなっていたり、どこで買ったかも覚えていなかったりで、買い足すこともできない。

義両親の家の食器は、洋食器のフルコース。
お皿など、大中小が30枚ぐらいずつあり、同じ柄でコーヒーカップのセットもある。
いくら気に入った柄とはいえ、全部が同じお皿というのはつまらない、と日本人の私は思う。
日本の食事には、いろんな形や大きさの食器を使う。
焼き魚などにいい長方形とか(ここで焼き魚などやった試しはないけど)、
大皿でも平たいものだけじゃなく、少し深めのものもあると便利。
ご飯茶碗ぐらいの大きさのボウルは、卵を溶いたり、冷ややっこを入れたり、
刻んだネギなどを入れて食卓に出したり、おやつにおせんべいやドライフルーツなどを入れたりなど、1番活躍頻度が高い。

食器が好きなので、買い物に行ったときには必ず見る。
とはいっても、食器のスペースには限りがあるから見るだけで、
どうしても欲しければ、買った分だけ在庫を処分するしかないのだが、処分するのも勇気がいる。

最近、食器売り場や雑貨やで、割れない食器をよく見かける。
きれいなターコイズブルーに惹かれて、手にとってみたら拍子抜けするほど軽い。
質感などじょうずに出してあって、見た目には焼き物と変わらない。
これなら割れることもないし長持ちする。


だけど・・・・・

永遠に割れない食器って、どうなの?


割れない食器は、枯れない造花と同じ。
いつ見ても完璧な姿で、埃をかぶった造花ほど心寂しくなるものはない。
花は、命に限りがあるから美しい。
食器も、いつか壊れてしまうかもしれないものを大事に使うのが、いい。

永遠に形があるものというのは、この世界ではやはり異端なのだと思う。
うちの猫たちが死んだら、と考えただけで涙が出そうだけど、
いつか来るお別れがわかっているから、今この瞬間がいとおしいのだということも、わかっている。
生き物も、物も、同じだ。

だから、どんなに気に入った器が割れて悲しくなっても、割れない食器は私は買わないのである。






不思議な母の夢

2021-09-06 07:38:52 | 不思議なはなし
母の葬儀が、昨日無事に終わったそうだ。

ちょうど日本でお通夜をしているとき、ハワイは夜で、私は眠っていた。
夢に、母が出てきた。

母と私は、合宿所のような施設の、同じベッドに寝ている。
何があったかわからないが、私の人差し指の先がぽろりと取れてしまった。
取れたあとの断面が、アニメのように見えている。
私はおおいに慌てて母を起こした。

「指が取れた!急いで病院に行けばくっつくかも!」

すると母はめんどくさそうに、

「もう遅いでしょ、今行っても。どうせ先っぽだけなんだから、どうってことないしょ。あ、ここにあるじゃん」

と言って布団の隙間から指を拾い、寝てしまった。
指を見ると、人差し指の爪の半分ほど先がなく、見慣れれば、まあそれほど醜いというわけでもない。
まあいっか、と私もそのまま寝た。



翌日、その話を妹にLINEで送ったところ、こんな返事が返ってきた。

「人差し指は母親の象徴で、それが取れたというのは母の死を意味しているんだと思う。
それに対してお母さんが言ったことの意味は、自分がいなくなっても大丈夫、ということなんじゃないかな」

なるほど!
読めば読むほど、そう思えてくる。
この話を聞いた友人が、夢でメッセージを伝えただけじゃなく、それを解釈する人まで用意してるなんて!と言ったのを聞いて、二重に納得。


日本にいる友人と、電話で話をした。
彼女は25年前に母親を癌で亡くしている。
私はその訃報を、当時働いていた父の会社で聞き、とるものもとりあえず友人の実家に駆け付けたのを覚えている。

「この前、部屋で断捨離していたら、母が好きだったスカーフが出てきて泣いたよ」

25年たっても、何かを食べれば、これはお母さんが好きだった、と思い、目頭が熱くなるという。

「でもね、それでいいんだよね」


パンデミック前でも、年に1度しか両親には会えなかった。
彼らが元気でいる時ですら、ハワイに戻ってくるときには、これで会うのは最後かも、と思い、それがとても恐ろしかった。
そのうち、転んで骨折したの、肺炎で入院したの、ということが増えてきて
目に見えて弱ってゆく両親に、私は焦った。

その両親は、いなくなってしまった。
二度と会って昔話をすることもできないけれど、もう会えないかもしれない、という恐ろしさからは解放された。

「あ、お父さんが好きだったお菓子だね」

日本食スーパーで、夫がかりんとうを指さして言う。
今、見るものすべてに、父がいて、母がいる。

庭でにぎやかにさえずる小鳥たちの声に交じって、鳩が鳴く。
その鳴き声が、

おかあさーん、おかあさーん

と聴こえる。





ラッキー

2021-09-04 08:25:58 | 日記
今日が母の通夜で、明日が葬儀だそうだ。
昨日は湯灌で、父の時には式場の専用の部屋でやったのだけれど、
その時に母が、「私の時には家でやってほしい」と妹に言ったという。
父を送るとき、そのすべての行程において母は自分を重ねていたのだろうか。
仕事の休憩時間がちょうど湯灌の最中で、妹がそれを中継してくれるのを見ながら、初めてボロボロ泣けてきた。

「肌がとてもきれいだから、薄化粧でじゅうぶんですね」

担当の人がそう言って、眉を整えてほんのり薄化粧をしたそうだ。
85歳の母は、本当に肌がきれいだった。
しわくちゃでなく、白くてふっくらしていた。
髪を染めるのをやめてからは、白い髪と肌がよく似合っていた。

母はアイシャドウもマスカラも持っていなかった。
眉と、薄くおしろいと、口紅だけなのに、とても上品な女性だった。
父とお見合いをしたとき、一緒に行ったレストランで父が何かを書きとめようとして、
「マユズミ、持ってます?」
と母に聞いたが、母はマユズミなど使ったことがなく、恥ずかしかったそうだ。


「お母さん、きれいなおばあさんだったよね」
「うん、やはりソーマ化粧品の1本8000円の美容液か!」

妹とやり取りしながらボロボロ泣いていたら、マネージャーが肩をたたいた。
「いくらでも休んでいていいからね」
15分の休憩時間は過ぎていたが、私はしばらく仕事に戻れなかった。

ゼネラルマネージャー達が、すごくきれいな花束とカードをくれた。
オーナー夫妻が、お悔やみの電話をくれた。
同僚が夕方、家まで来て、お花と果物をわんさか置いていった。
ジュディスが毎日、電話をくれる。
日本にいる友人たちが、そっと寄り添ってくれる。
日本人の友人が、月曜日にランチに誘ってきた。

なんだかんだ、私はとてもラッキーな星の下にいるのではないか。
仲のいい姉妹がいて、自分の家族もあり、友人たちもいる。
父も母も、生ききって、思い残すことなく次の世界に行った。

「僕たちが死ぬまで、お母さんには会えないね」

夫が泣いた。

10年前、両親がハワイを訪れたとき






バナナ豊作

2021-09-03 07:48:41 | ハワイの自然
庭のバナナの豊作が止まらない。
とりあえず5本の木に実がたわわになっている。
なるべく刈り取る時期を延ばしつつ、今朝、1本を収穫。


上の方が黄色く熟し始めていて、もうこれ以上延ばせない。
夫が幹にロープをかけて、幹ごと引き倒す。
バナナは、1本の木に1回しか実をつけないので、木を切り倒さないでおくとただの観葉植物になってしまうのだ。

幹を倒したところ。
このあと、木の根元から切ってしまう。
そうすると、新しい木がにょきにょきと伸びてきて、また実をつける。


実を刈り取ったところ。

数えたら78本あった。
2人しかいないのに、どうやって78本消化せよと・・・・・
今日、30本ほどを職場に持ってゆくことにする。

ハワイはバナナは年中収穫できる。
うちのバナナはアップルバナナで、ほどよい酸味があってとっても美味しいのだ。